フォレスト・サワタリ=サンのナム妄想まとめ

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

フォレストは言い放つや、身を翻し、ノレンの奥へ飛び込んで行った。ディスカバリーと呼ばれたニンジャはしかめ面で肩をすくめて見せ、その後に続いた。ニンジャスレイヤーも走り出した。その遥か下、ボーンアーマーの無惨に切断されたバラバラ死体と、粉塵の中で苦悶するアサイラムが残された。 31

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すすめ！すすめ！すすめ！すすめ！銃声と爆発音、ジェット機の通過音がフォレスト・サワタリの周囲で渦巻いた。フォレストは後続の味方たちを叱咤した。洞窟は狭く薄暗い！だが敵は変幻自在だ、ゲリラ達は穴を自在に往き来して獲物を殺す！何人もの仲間が餌食になってきた。油断すべからず！ 33

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「サイゴン……ホーチミン……グエン・グエン・グエン・グエン・グエン・グエン・グエン・グエン」フォレストはダガーをベルトへ戻し、弓矢を構える。彼は獣だ。手負いの、飢えた獣だ。洞窟がひらける。光が瞬いた。明るい！彼は眼下の光景を注視した。ミサイル発射基地の管制コンピュータ群！ 34

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「これは……ソビエト製」フォレストは唸った。「ここまで戦力を展開しておったか。ナムからワシントンを直接核攻撃する気か」彼は戸口に潜んで、壁を背に、慎重に覗き込んだ。「……非常にまずいな……だが……」 35

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彼は管制コンピュータを前に繰り広げられる戦闘を見守った。コンピュータを操作するヨロシサンのサラリマンらを前に、敵将サブジュゲイター、そして……ハイドラ！「グワーッ！」蹴り上げられたのはニンジャスレイヤーの仲間、ディテクティヴ！そこへサブジュゲイターのスリケンが突き刺さる！ 36

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「ハイドラ……」フォレストは目を細めた。何をしている？事情如何では軍法会議にかけねばならぬ。「ハハハ、あんたのお仲間、一足先に暴れてるな！だが劣勢じゃねえか？」追いついたディスカバリーが言った。「ハイドラってのは、アレだろ？ヒョロっちい奴。洗脳済だな、ありゃあ」37

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己の当惑と逡巡、恐れ、これまでの己の歩みに対して油断すれば沸き起こる疑念、悔悟……そうしたものをフォレストは、グエン・ニンジャの戦闘本能で……時にはベトコンに、時には米兵に感情移入する擬似記憶で……塗り潰そうとした。彼の心は引き裂かれた。彼は咆哮した。「AAARGHHH！」42

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フォレストは弓矢を投げ捨て、瞬時にマチェーテ2刀を抜き放つ。「全軍！突撃せよ！」彼は吠えた。「おう！ゆくぞ！突撃！」兵士達が口々に応えた。「ドーモ。ディスカバリーです」ディスカバリーがフォレストの横でアイサツ！フォレストもまた叫んだ！「フォレスト・サワタリである！イヤーッ！」43

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「ミサイル発射阻止！イヤーッ！」フォレストはさらにUNIXデッキに拳を叩き込み破壊！「イヤーッ！」そこへ後ろから飛びかかり、組み付いたのはハイドラだ！「イツデモヨロシサンイツデモヨロシサン」「グワーッ！」振りほどこうともがく！だがハイドラのニンジャ腕力は強く、果たせぬ！ 46

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「アイエエエ」サーバー機器の陰で、生き残りサラリマンが震えた。「殺すな」ニンジャスレイヤーがフォレストを見た。フォレストは答えず、いまだニンジャスレイヤーを睨むハイドラの肩をどやした。「撤退する。戦果報告と軍法会議は後だ」「ボス……そいつは誰だよォ」「新入りだ」「後輩か！」15

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フォレストは咳払いし、全員を見渡した。「我らの戦場は苛烈だ。いずれまた戦死者が出よう。軍備増強はクランの命題だ。サヴァイヴァルの為に」「そうか」ディスカバリーはあえて（その後どうする？）という問いを発さずにおいた。フロッグマンが呻いた。「頼んだぞ」「アンタは早く治ってくれよ」39

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「……なんてカワイイなんだ。オレンジ色の水牛だ。オレンジ色の水牛だぞ。これはかなり珍しい。そこら中にいる。ジャングル……あれは……虹色の虹色の象が……虹虹色の象が……虹色水牛を踏みつぶすぞ……アブナイ！やめろ！アイエエエ！アイエエエエエエエ」サワタリは幻覚を見ているようだ。　22

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サヴァイヴァー・ドージョーの主、フォレスト・サワタリはご存知の通りベトコン妄想を持つ狂人であり、しばしば現実世界とナムのジャングルを誤認してしまう。だが今回の彼の幻覚は、いつものナム妄想とは全く別種の……ケミカルめいた何かであることが、賢明なるファーリーマンには見て取れた。　23

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「それが…」それがこんな事になろうとは。フロッグマンはうらめしそうに枕元のソバ容器とポットを見た。食後、ソバを食べるのに使ったショーユをお湯で割って飲むというジャングルの知恵が、裏目に出たのだ。味の変化をいち早く指摘したファーリーマンとセントールの言葉に耳を貸すべきだった。　26

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「大将は好き嫌いするなって怒ったよな……でもそれが……」フロッグマンが言う。ディスカバリーは不機嫌そうにだんまりを決め込んでいた。「エ？いつものアレじゃないの？これ」新入りのカマイタチが不思議そうに聞く。彼はまだ他の者たちのように、サワタリのナム幻想を呑み込めていないのだ。　27

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「……物資に乏しいナムの地獄で、粗悪ケチャップとソーセージで作ったのがナポリタンで、イタリアのナポリにナポリタンは無いんだって……」フロッグマンがサワタリの教えを反芻する。「ふーん」カマイタチはいかにも暇そうに屈伸運動を始めた。つまらない葬式に連れてこられた子供のように。　28

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「ハハハハハ……ハハハハ……」サワタリが突然、弱々しい声で笑い出した。だがその眼はナパーム投下後に立ち上る硝煙のように曇っている。「ハァーッ！ハァーッ！……ショーユ……ショーユを……」彼は横を向き、その指先はふらふらとショーユ瓶へと伸びた。ファーリーマンはそれを取り上げた。　29

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「おのれ……ベトコンだ……ベトコンが俺たちの潜伏に気づき、井戸水に毒薬を混入させたに違いない……！俺としたことが、何たるウカツか！」サワタリは自戒の念をこめ、ショーユ瓶をマチェーテで叩き割った。気を抜けば、今でも無意識のうちにそれを啜ってしまいそうだったからだ。　30

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もはやサヴァイヴァー・ドージョーに退路は無い！ゾンビーニンジャの追っ手が、下水道の隠しドージョーに到達したからだ。しかも卑劣な幻覚剤攻撃により、彼らの重要な食料であるアルビノアリゲーターたちは全滅！ショーユも汚染され、もはやバイオニンジャたちが潜伏する必然性は皆無となった！　13

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「敵は民間人に化けているかもしれん！躊躇するな！部隊の生存だけを考えろ！」サワタリが二刀流マチェーテでヤクザも奴隷職人も御構いなしに殺戮する！首が！手足が！血飛沫が飛ぶ！それに続くカマイタチも、両肘のバイオブレードで血の円弧を描く！ファーリーマンが長いボーを振り回す！　15

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「ショーユに毒を仕込んで俺達を殺そうたあ、えげつねえ連中だぜ！やっぱりヨロシサンか！？ゾンビーニンジャも仲間か！？」ハイドラはメンポの奥で三ツ眼を不気味に光らせた。両手にはクローンヤクザと民間人の死体が一個ずつ掴まれていた。「俺たちゃ孤立無援ってことよ！」フロッグマンが言う。19

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「……では敬礼を示せ！」サワタリが叫び、一歩前に出る。チバも一歩前に歩み出し、サワタリと同時に敬礼を交換した。「我が部隊は！敵司令官に敬意を表し！これより！北へと転進する！」サワタリが号令を発した。最終決定の後で異論を唱える者は、サヴァイヴァー・ドージョーにはいない。　70

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ヤクザたちが銃を収めた。そしてサヴァイヴァー・ドージョーも武器の切っ先を下げ、黙々と北の隔壁に向かって行進してゆく。抜かりなく、メコン川を挟んだ西の対岸に不信の目を向けながら。……おお、ナムアミダブツ！彼らは脱走者たちの救世主とは成り得ないのだ！　71