ツイッター小説 お気に入りセレクト 2011/03/28

今日読んだついのべの中から独断と偏見で味のある作品をセレクトしてみました。 ついのべ #twnovel とは140文字以内で書かれた短い物語です。
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のろろ / Nororo @WhoGoesSlowly

「お年玉なくなっちゃった」小学生の妹がため息をついた。僕は理由を聞いた。どうやら友達の誕生日プレゼントに全額つぎ込んでしまったらしい。「本当に大切なのは、物ではなくて気持ちじゃないのかな」 #twnovel あれから十年が経つ。今でも僕の誕生日には、妹から心のこもった手紙が届く。

2011-03-26 22:01:17
辛島5/26大阪え2b @karashimab

#twnovel いい風、と彼は笑う。能天気な顔。頭が悪そうだとさえ思う。それに私は、春の風は花粉と埃が身体中にまとわりつくみたいで好きじゃない。…いつからこんなふうになったんだろう。彼の笑顔が大好きだったはずなのに、春のいきいきとした景色が心地よかったはずなのに。いつから。

2011-03-26 22:07:01
水木ナオ @nayotaf

電気が点いたらサヨウナラ。座敷童子との逢瀬はいつも、闇に紛れて。今夜も、「もうすぐ停電終わるね」「え〜、いいじゃん、電気消してりゃ」「駄目、君はもう大人だから。…あまりこちらに引かれると帰れない」ばいばい、と手を振る。僕が子供だったら、そんな顔させなかったのに。 #twnovel

2011-03-26 23:50:54
@lunaticaX913

最中に目をじっと見つめられるのは苦手だったよね。知っててそうする私のことも。骨張った手を引き寄せて、薬指の先から付け根まで舌を這わせたら、君がきゅっと眉を寄せるいつもの癖。それを見上げるのが私の密かな楽しみだって知ってた? #twnovel

2011-03-27 00:19:58
17+1 @17plus1

帰ってきてから左右異なる色の靴下を履いていることに気づいた。黒と濃紺。誰かに見られただろうか。一日を振り返りながら風呂を沸かす。明日はお休みなので、脱衣所には履いてないほうの濃紺と黒の靴下を持って行った。風呂場の鏡をくぐり抜けるにはうってつけの格好というわけだ。 #twnovel

2011-03-27 00:58:41
雪月 @setugetufuka

#twnovel 不思議なカメラで変わった彼を元に戻したいが、どこにピントを合わせたらいいのかわからない。慌てて聞くとカメラ屋さんは言った。「そのカメラは自分が被写体のどこにピントを合わせて見るか決めるもの。彼は変わらず、彼を見る貴女の目が変わったのさ。色んな面が見えただろ?」

2011-03-27 01:43:11
ひょろ @hyoro4779

『垢嘗』 #twnovel 「垢嘗がでる」という祖母の言葉に、幼い私の好奇心は刺激された。私は深夜、そっと風呂場を覗きに行く。そこには、垢を嘗める福助の置物みたいな男。あっ、と思ったときには唇を塞がれていた。歯垢だらけの歯を男の舌が嘗める。嗚呼、寝る前に歯を磨いておけば良かった。

2011-03-27 02:06:40
@nanisore_kawaii

中二の夏祭り。焼きそばの紅生姜が食べられなかったお前を、みんなしてからかったよな、「子どもだー」って。そしたらお前、むきになって紅生姜ほお張って涙目だった。お前はあの時得意気になってたけど、みんなは「やっぱり子どもだな」って思ってたんだぜ。知ってたか? #twnovel

2011-03-27 03:01:48
烏人 @karasumezuki

#twnovel 今日はとっても楽しい遠足でした。でも先生が言うには帰るまでが遠足なのだそうです。なので一時補給するためにお菓子を買いに寄ったところ、先生とはちあってしまいました。先生の遠足はどうやらまだまだ終わらないようでした。

2011-03-27 04:07:11
辛島5/26大阪え2b @karashimab

#twnovel いつもなら十回以上コールしてやっと起きるのに、今朝は待ち構えてたみたいな速さで電話に出てはっきり「おはよう」って言うからかなり驚いた。その次に「誕生日おめでとう」って。思わずコーヒーを畳に溢してしまった。「今、きみんちの前だよ」今度はマグカップごと取り落とした。

2011-03-27 07:20:08
皆川 @saihateru

今朝起きたら、腕が一本増えていた。左の脇から一本、いつも通り。右の脇から二本。いつも通りじゃない。これ服の袖通んないよなあ、どうしよ。と思って、ためしに新しい腕に、胸の上を横断させてみる。左の脇に指をはさんだところで、新しい発見。「巨乳になったみたいに見えるなぁ」#twnovel

2011-03-27 08:57:26
@olive_sw

高校の時、名前に総の字がある人に片思いしていた。おかしなもので総計とか総合とか総がつく全ての語にときめいた。その人は、背が高くてやせっぽちで足が速かった。私の転校が決まった時その人は「すぐ戻ってこいよ」と私の頭をぽんと叩いた。なにも言えなかった事が今でも心残り。 #twnovel

2011-03-27 12:36:34
@nanisore_kawaii

小6の女子です。慣用句のテストで「赤子の手をひねる」が出たんです。だから「残酷」って書いたんですけどバツでした。先生は「容易」だとかなんとかって言うんです。わたしは、ふつうはそういうことはしないと思うんです。大人になると赤ちゃんの手をひねれるようになるんですか? #twnovel

2011-03-27 13:48:44
ミドリハだったもの @midoriha

王子様は「してほしいことなんでも言ってごらん」と言いました。でもお姫様は、王子様に嫌われてしまうくらいのとんでもないわがまましか思いつかなかったので、黙っていました。王子様は「君はなんて欲のない良い姫なんだ!」と言いました。お姫様は泣き出してしまいました。 #twnovel

2011-03-27 19:49:11
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 私の彼は電気仕掛け。「ちょっとぉ。寝ないでよぉ」「ごめん。気持よかったから」彼は食卓の電源から電気を食べていた。その間何もする必要がないから、ついつい居眠りしてしまうみたいだ。「私というものがありながら、電気に浮気するなんて!」「ちょっと君、それはおかしいよ」

2011-03-27 19:59:41
たいこやき @taikoyaki

夫妻が水浸しになった洗面所で、壊れた洗濯機を前にして争っている。夫が叫ぶ「なんで早く壊れることを言わなかったんだ!洗濯機なんか使うな、手で洗えよ!」妻が言う「貴方が新しいのを買ってくれれば良かったのよ!私の仕事に文句ばかり言うんだから!」床は水浸しのままだ。 #twnovel

2011-03-27 20:44:24
雪月 @setugetufuka

大丈夫?って聞くとあなたはとびきりの笑顔で「大丈夫だよ」って答える。全然そうは見えないのに。そうすると私はそれ以上何も言えなくなる。何かを言えば言うほどあなたを追い詰めてしまいそうで。だから私はバカみたいに黙ってここにいる。あなたの中の雨が止むまでただ傍にいる。 #twnovel

2011-03-27 20:53:41
҉A҉ a.k.a ҉A҉ @4x1h170fh41vlvl

「あ、犬」空に犬が浮かんでいた。よく見れば、ただの犬の形をした雲だったけれど、私には、毛並みまでなぜかはっきりと見えていた。その二日後、父がそっくりな子犬もらってきた。もしかしたら犬と暮らしたことのない私を慌てさせないよう、心の準備をさせてくれたのかもしれない。 #twnovel

2011-03-27 22:59:25
添嶋譲 @literaryace

友達キットの充電が終わるまでの間、友達のいない少年は考えます。フランケンシュタインは本当は友達が欲しかったのかもしれない。ときどきほめてくれたり、ときどき諭してくれたり。いっしょに笑ったり、泣いたりする、そういう友達。どんな形でも友達なのに。ずっと。ずっとね。 #twnovel

2011-03-27 23:00:33
トーリン @1thorin

#twnovel リサイクルショップに立ち寄ると猫足のかわいい鏡台が目に付いた。ワケアリと書いてある。部屋に設置してみると確かに抽斗が無い。「また、無駄買いね」そう言った妻は鏡台に手を掛け、するりと入った。妻は抽斗になった。それきり返事もしなくなったので、今日の紅茶は僕の役目だ。

2011-03-28 00:33:21
ジュン @jun50r

#twnovel 夫が仕事から帰ってこない。夫の勤める工場から電話があった。「実は、旦那さんが帰られないのは、仕事でトラブルがありまして…」「分かってますよ。夫は仕事人間だから。どうせ仕事で缶詰になってるんでしょ?」「…よ、よくお分かりで…。五つです」「五つ?」「缶詰の数です」

2011-03-28 01:52:26
泥辺五郎 @dorobe56u

#twnovel 落ち着いて読書に集中出来ないのは灯りが十分でないから。大勢の人が体育館の中を動き回っているから。疲れているから。物資が届くたびに何かしら声があがるから。時折誰かが冷たくなってしまうから。本の中でグスコーブドリは何度も一人で死にに行く。文字を追えない夜が毎日来る。

2011-03-28 06:24:33
@kotyouaiu

#twnovel コロボックル/ぼくの一日は動物のえさやりから始まり、作物に水をあげ、果実を拾います。合間に雑草を抜き、不要な樹木の伐採などもします。小柄なぼくにはこれが重労働。しかし頑張ればあの人がほめてくれるのでぼくは一生懸命働くのです。だから今日もあの人のために頑張ります。

2011-03-28 09:04:35
@chiho_yoshino

さっきから彼女がソワソワしてる。初デート、楽しくないのかな。だんだん顔色も悪くなってきたみたいだ。とりあえずカフェに入ると「電源あった」と、ホッとした顔。なんだ携帯が心配だったのか。「ちょっと充電させてもらうね」そう言って、彼女は体から電源プラグを引き出した。 #twnovel

2011-03-28 12:15:04
@laybacks

「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか」手を上げた医師が倒れた男を診る。そして首を横に振る。「なんとかして下さい」CAは医師にすがりつく。「私は神ではありません」CAは振り返り再び声を張り上げる。「お客様の中に神様はいらっしゃいませんか」客が皆手を上げた。 #twnovel

2011-03-28 19:36:52