ストライダー:サーチ・アンド・デストロイ #2
「アバッ……アババッ……」無軌道大学生のシナマミは、混濁した意識から逆さ吊りの状態で目覚めた。まず目に入ったのは、奇妙な外套と銀の拳銃で武装した恐ろしいニンジャの姿である。たちまち恐怖の記憶が蘇り、彼を逆さ状態で失禁せしめた。「アイエエエエ……!」 22
2017-11-16 22:58:26コバジ、タチガラ、そしてシナマミの三人は、あの日河川敷で面白半分に浮浪者を襲い、暴力を存分にふるって楽しんだ。それから商店街のシャッターを棒で殴って憂さを晴らし、オイランを買い、コバジが調達したクスリでハイになり、素晴らしく開放的な時間を過ごした。だがそれが恐怖の始まりだった。23
2017-11-16 23:00:48コバジは突然に自首。そのまま収監された。コバジのガールフレンドが言うには、正体不明の犬に襲われた彼は怯えきってしまい、面会でも「オバケに殺される」と繰り返しているという。タチガラはシナマミがそれをIRC通話で伝える最中にやはり襲われ、集中治療室行きとなって、連絡が取れない。 24
2017-11-16 23:03:53コバジはマッポに浮浪者への暴行を全て自供しているという。逮捕を恐れ、シナマミは家に帰れない。就職先も決まっていたというのに。だがそれ以上に、彼が真に恐れているのは、オバケ……罪を犯した彼らを順々に襲う超自然の存在であった。 25
2017-11-16 23:06:53シナマミはIRCネットワークに助けを求めた。「犬のようなオバケ、あるいは、オバケのような犬が友達を襲い、自分もこのままでは殺されてしまう」。不特定多数の集合知に頼り、霊媒的な手段で解決できる者を探そうとした。レスポンスは想像以上に早かった。彼が面会したのは……ニンジャだった。 26
2017-11-16 23:09:20その者は自らをエグゾセットと名乗った。話を聞くなり彼は「お前は呪われておる。私に任せておけば万事解決だ」と言い切った。目の前のシナマミを見ているようで見ていない目、常にブルブルと震えている様子から、シナマミは完全にトラブルに巻き込まれたと感じた。しかし既に退路は断たれていた。 27
2017-11-16 23:11:56エグゾセットはシナマミの退席を許さなかった。その場でニンジャの何たるかを強制的にわからされた。時すでに遅し。そして彼はそのままシナマミを拉致し、地下室で「除霊」と称して更にひどく痛めつけた挙句、ワイヤーで縛り付け、こうして風吹きすさぶ屋外の高架下に吊るしたのだ。 28
2017-11-16 23:15:00「間違いなし。お前の血の匂いが邪霊を呼び寄せる。私に任せておけば問題なし。お前の命を生贄に、必ずや仕留めて見せようぞ」「アバーッ!」 ……「アイエエエ……」シナマミにはもはやどうする事も出来ない。死の予感しかない。これが罰か。 29
2017-11-16 23:17:19朦朧とする意識下で彼は考えた。恐怖と共に、彼は、己が犯した罪について考えを巡らせた。暴力……何故あんな行いに自分は高揚したのか? 仲間外れにされたくなかった? 度胸を見せたかった? ファック、なにが度胸だ……。 30
2017-11-16 23:20:48「GRRRR……」銃で撃たれた筈のオバケの犬が、よろめきながら起き上がった。「ウオン!オン!」犬はエグゾセットに向かって二度吠えた。それに対してエグゾセットはアイサツを返したのだ!「ドーモ。ストライダー=サン。エグゾセットです」 31
2017-11-16 23:23:18何らかのコミュニケーションが成立している事は明らかである。狂っている。シナマミは恐怖に震えた。ストライダーと呼ばれた犬は身を沈め、唸り……エグゾセットに襲い掛かった。エグゾセットは外套を翻し、二連拳銃で攻撃した……! 32
2017-11-16 23:26:26