ヴァルター・ベンヤミン 仲正昌樹

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GMBO2008 @GMBO2008

ユートピア願望を原動力とする歴史の進歩と、それが生み出す廃墟、取り残されたものを同時に、しかも一体不可分の関係にあるものとして視野に入れるところ、そういうどっちつかすの観察者のまなざしを持ち続けたところにベンヤミンの面白さがあります。 「ヴァルター・ベンヤミン」 仲正昌樹

2017-11-22 23:51:16
GMBO2008 @GMBO2008

ベンヤミン自身は、それを「遊歩者flâneur」のまなざしといいます。 「ヴァルター・ベンヤミン」 仲正昌樹

2017-11-23 00:06:09
GMBO2008 @GMBO2008

他言語の中に呪縛されていたあの純粋言語を自身の言語のなかで解き放つこと、作品のなかに囚われていた言語を改作のなかで開放することが、翻訳者の課題である。 「翻訳者の課題」 ヴァルター・ベンヤミン

2017-12-03 11:26:36
GMBO2008 @GMBO2008

ヘルダリンは、ベーレンドルフという友人宛の書簡の中で、「固有のもの das Eigene」を知るには、「異質なもの das Fremde」を知らなければならない、という趣旨の考え方を表明しています。 「ヴァルター・ベンヤミン」 仲正昌樹

2017-12-03 11:35:57
GMBO2008 @GMBO2008

ドイツ語(の可能性)を知るためには、ギリシア語の芸術の世界を知らないといけない。(中略)ベンヤミンは、二つの言語の間のそうした弁証法的往来の次元から更に掘り下げて、両者に共通する「純粋言語」への志向という問題を考えようとしているわけです。 「ヴァルター・ベンヤミン」仲正昌樹

2017-12-03 11:41:07
GMBO2008 @GMBO2008

神の啓示のエクリチュールでもある聖書が、真の言語、純粋言語と直接的に繋がっているとしたら、それは、ベンヤミンの言う意味での「翻訳」の可能性を最高度に備えているわけです。実際、ルターは聖書翻訳を通して、ドイツ語の表現の可能性を大きく拡張した。 「ヴァルター・ベンヤミン」 仲正昌樹

2017-12-03 11:45:54
GMBO2008 @GMBO2008

神々の暴力が発揮された後、「法が措定される」という場合、(中略)その「法」は「運命」という形で一方的に措定されます。人間が「踏み越える=違反するübertreten」ことが許されない境界線は、神々の側から設定されます。 「ヴァルター・ベンヤミン」 仲正昌樹

2017-12-09 23:47:16
GMBO2008 @GMBO2008

神々の方は、恐らくこれからも勝手に人間の領域に現れては暴力をふるい続けるでしょう。でも「法」なのです。 「ヴァルター・ベンヤミン」 仲正昌樹

2017-12-09 23:51:02
GMBO2008 @GMBO2008

押し付けであっても、形式的には平等な当事者間の合意であるかのように見せねばならない。それを二義的で、「悪魔的dämonisch」と言っているわけです。 「ヴァルター・ベンヤミン」 仲正昌樹

2017-12-09 23:57:16
GMBO2008 @GMBO2008

既にこの地上から消え去ったもの、その存在意義が理解されることのなかった"もの"たちまで救済=解放しようとすると、どうしても、現在の"我々"の目には入って来ないもの、見えないものを、公平な目で見渡すことのできる神のようなまなざしが必要になる。 「ヴァルター・ベンヤミン」 仲正昌樹

2017-12-16 16:13:51
GMBO2008 @GMBO2008

「唯物史観」に、「現在」を超えた視点を要求すると、否定したはずの「神学」に再接近していく。 「ヴァルター・ベンヤミン」 仲正昌樹

2017-12-16 16:15:19
GMBO2008 @GMBO2008

「過去の真のイメージ」は瞬間的にしか現れない、という前提に立ちながら、その瞬間を、あるいは、その瞬間に現れるものを、あるがままの形で書きとめようとする。 「ヴァルター・ベンヤミン」 仲正昌樹

2017-12-16 16:21:28
GMBO2008 @GMBO2008

それらの「書きとめられた瞬間」の間に無理やり線を引いて、統一的な歴史の流れをねつ造しようとはしない。個々の「現れの瞬間」をひたすらに記録し続ける。 「ヴァルター・ベンヤミン」 仲正昌樹

2017-12-16 16:26:56
GMBO2008 @GMBO2008

そうやって記録し続けている間に、記録された瞬間同士の間に、記録者の意図を超えた意味連関が見えてくるかもしれない。『パサージュ論』は、まさにそれを試みた仕事です。 「ヴァルター・ベンヤミン」 仲正昌樹

2017-12-16 16:28:05
GMBO2008 @GMBO2008

それにはひとりの天使が描かれており、天使は、かれが凝視している何ものかから、いまにも遠ざかろうとしているところのように見える。彼の眼は大きく見ひらかれていて、口はひらき、翼は拡げられている。 「歴史の概念について」 ヴァルター・ベンヤミン

2017-12-16 16:42:04
GMBO2008 @GMBO2008

歴史の天使はこのような様子であるに違いない。かれは顔を過去に向けている。 「歴史の概念について」 ヴァルター・ベンヤミン

2017-12-16 16:44:42
GMBO2008 @GMBO2008

ぼくらであれば事件の連関を眺めるところに、かれはただカタストローフのみを見る。そのカタストローフは、やすみなく廃墟の上に廃墟を積みかさねて、それをかれの鼻っさきへつきつけてくるのだ。 「歴史の概念について」 ヴァルター・ベンヤミン

2017-12-16 16:48:45
GMBO2008 @GMBO2008

たぶんかれはそこに滞留して、死者たちを目覚めさせ、破壊されたものを寄せあつめて組みたてたいのだろうが、しかし楽園から吹いてくる強風がかれの翼にはらまれるばかりか、その風のいきおいがはげしいので、かれはもう翼をとじることができない。 「歴史な概念について」 ヴァルター・ベンヤミン

2017-12-16 16:54:03
GMBO2008 @GMBO2008

強風は天使を、かれが背中を向けている未来の方へ、不可抗的に運んでゆく。その一方ではかれの眼前の廃墟の山が、天に届くばかりに高くなる。ぼくらが進歩と呼ぶものは、〈この〉強風なのだ。 「歴史の概念について」 ヴァルター・ベンヤミン

2017-12-16 16:59:14
GMBO2008 @GMBO2008

周知のように、未来を探ることはユダヤ人には禁じられていた。律法と祈祷は、そのかわりに、彼らに想起を教えている。占師に予言を求めるひとびとが囚われている未来の魔力から、想起はユダヤ人を解放した。 「歴史の概念について」 ヴァルター・ベンヤミン

2017-12-17 23:23:28
GMBO2008 @GMBO2008

しかしそれだからといって、ユダヤ人にとって未来が、均質で空虚な時間になったわけではやはりなかった。というのも、未来のどの瞬間も、メシアがそれを潜り抜けてやってくる可能性のある、小さな門だったからである。 「歴史の概念について」 ヴァルター・ベンヤミン

2017-12-17 23:29:01
GMBO2008 @GMBO2008

ヤング=ブルーエルによる優れた評伝『ハンナ・アーレント伝』によれば、アーレントは「歴史の概念について」の筆者稿のひとつを生前のベンヤミンから託されていて、 「フランクフルト学派」 細見和之

2017-12-17 23:36:42
GMBO2008 @GMBO2008

ベンヤミンの死ののちに、ニューヨークへ向かう船の出港を待つあいだ、リスボンの港でまわりの難民たちにそれを読み聞かせていたといいます。 「フランクフルト学派」 細見和之

2017-12-17 23:42:45
GMBO2008 @GMBO2008

この一節をたずさえて海を渡ってゆくアーレントの姿も、20世紀の思想史を考える上で、私たちが逸することのできないものです。 「フランクフルト学派」 細見和之

2017-12-17 23:43:14
GMBO2008 @GMBO2008

夜のなかを歩みとおすときに助けになるものは橋でもなく翼でもなくて、友の足音だ。 『書簡』 ヴァルター・ベンヤミン

2017-12-17 23:46:47