ZK -瑞雲仮面-　＃５

劉度 @arther456

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（これからSSを投下します。TLに長文が投下されますので、気になる方はリムーブ・ミュートなどお気軽にどうぞ。感想・実況などは #ryudo_ss をお使いいただけると大変ありがたいです。忙しい方はtogetterまとめ版をどうぞ。それでは暫くの間、お付き合い下さい）

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【ZK -瑞雲仮面-】　＃５

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The Justice Ray Part 3 [Thunder Force VI] youtu.be/MolJ4IntStw @YouTubeさんから

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「鉄・拳・制・裁！」大仏がオランダの海を走る。繰り出された拳は、虚しく宙を切った。「……どうなってるのよ！？」戦艦仏（ブッダ）棲姫は、目の前の出来事を信じられず、叫んだ。先程から大仏が振るい続けている拳が当たらない。標的は、全長200mを超える戦艦だというのに！1

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放たれた砲弾を、大仏は拳圧で迎え撃つ。衝撃で砲弾が炸裂するが、それは破片ではなくプラズマを撒き散らした。「熱っ……！」戦艦仏棲姫は顔を腕で覆う。大仏が相対しているのは、ドイツ海軍が誇る超兵器の１隻、超高速巡洋戦艦・シュトゥルムヴィントだ。2

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最大速度90ノットを誇り、41cmプラズマ連装砲を８門装備した、規格外の巡洋戦艦。カイジュウと戦うために、コストを完全に度外視して作られた『超兵器』である。「マズい！お前ら、援護するぞ！」不利を悟った戦艦棲姫は戦闘に加わろうとしたが、そこに立ちはだかる者がいた。3

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「行かせないわよ！シュペー、やっちゃいなさい！」「ちゃー！」要塞めいた砲撃ユニットに身を固めるのは、ドイツの艦娘・グナイゼナウ。そして斧を両手に持って駆逐艦を薙ぎ倒していくのはアドミラル・シュペー。他にも、シュトゥルムヴィントに相乗りした艦娘たちが戦線に加わりつつある。4

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「このっ……！」反撃する戦艦棲姫だったが、そこに緊急通信が入った。送り主は今回の総司令官。内容は、地上への総攻撃。「うるさいっ！」一蹴！それどころではない。眼前に敵がいるのだ。「まずはこいつらを片付ける！全艦、突っ込め、やるぞぉっ！」5

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ハーグを囲む深海棲艦たちは、指令に従い総攻撃の準備を整えていた。「全軍、準備はいいな？これから白兵戦に移る」全身鎧に身を包んだ戦艦棲姫の号令により、揚陸級を満載した輸送ワ級が前進を始める。すると、左翼がざわめいた。「どうした？」戦艦棲姫が通信を送る。7

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《敵です、閣下。北東部から……》猛烈なノイズが通信に割り込んできた。戦艦棲姫は、そのパターンに聞き覚えがあった。「……まさか！」レーダーの出力を引き上げる。北東、デンマーク方面から近付いてくる船がある。常識外れに巨大な艦影。そんなものは、この大西洋には１つしかない。8

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「敵、超兵器接近！」ドイツ海軍東方艦隊旗艦、『洋上の摩天楼』グロース・シュトラールが、遂にオランダに到着した。「白兵戦中止！総員、第一種戦闘態勢！」戦艦の甲板から、多数の飛行機が射出される。「敵艦載機確認！数80！」「防空部隊は軽空母を守れ！残りは突撃準備！」9

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戦艦棲姫は巨砲と大盾を構え、水平線上に姿を現した超巨大戦艦に向き直った。何度も戦った相手だ。この一大決戦に現れた以上、逃げる気は無いし、逃がすつもりもない。「決着をつけるぞ、グロース・シュトラール！者共、このヨーク公に続け！」「オオオオォッ！」10

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「こちらインディアナポリス。人間の基地に到着した」フリジンゲン海軍基地に、深海棲艦の部隊が到達した。率いるのは、肩に巨大なロケット砲を担いだ重巡棲姫だ。地上兵器がまばらに攻撃してくるが、水上にいる深海棲艦にとっては大した脅威にはならない。12

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「役立たずどもめ……」ロケット砲で狙いをつけた重巡棲姫の背中に、いきなり砲弾が直撃した。「ｳﾞｪｱｱｱｱ！？」ロケット砲は明後日の方向に飛び着水、大きな水柱を上げた。「だ……誰だぁっ！？」振り返った重巡棲姫は、見慣れぬ艦娘が味方を蹴散らしているのを見つけた。13

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「戦艦リシュリューよ！どきなさい！」律儀に名乗った艦娘は、戦艦砲を振り回し、次々と周辺の深海棲艦を薙ぎ倒していく。「どこから湧いてきたぁ！？」突然の敵の出現に、重巡棲姫は驚きを隠せなかった。索敵は怠っていないのに、なぜ？不審がる彼女の前に、更にもう１人艦娘が現れた。14

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「Feu！逃がしはしません！」水上機母艦の艦娘はカタパルトを展開、水上機を撃ち出す。実体化した水上爆撃機の精霊が、リシュリューの砲撃に右往左往する深海棲艦たちに、的確な追撃を与えていく。重巡棲姫は歯ぎしりする。攻撃されているからではない。彼女が水中から現れたからだ。15

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「そこかァッ！」重巡棲姫は水中に向け、主砲を放つ。幾つかの水柱が上がった後、それは海中から姿を現した。人間たちが乗り込む潜水艦だ。驚くべきことに、この巨大な潜水艦は、重巡棲姫たちのソナーに一切引っかからないほどの隠密性を有していた。16

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更に驚いたのは、潜水艦の甲板上に、腕を組んで仁王立ちする男がいたことだ。黒に近い濃緑のタキシードは、水の中から出てきたというのに、水滴１つついていない。可視化されるほど強力な魔力のオーラが、彼の全身を覆っているからだ。只者ではない。重巡棲姫は慎重に身構えた。17

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「警戒するか。確かにそれは正しいだろうよ」男が喋ると、それだけでマントが翻った。「だが、備えたところで力が無ければどうにもならん。戦艦の姫ぐらいの実力は、持っているのだろうな？」「何ィ……！？」耳を疑う言葉だ。生身の人間を止めるのに、戦艦棲姫ほどの力が必要だというのか？18

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重巡棲姫は知らない。原子力潜水艦『ノーマッド』艦長、ダンデス大将を。大西洋に最初に現れた戦艦棲姫を倒した、フランス海軍の切り札を。あの"超人"三笠が全盛期の時に渡り合い、そして"壊し屋"トゥーリオと互角に戦えるとも言われる、世界最大の魔力を持つ男を。19

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「ふざけた奴め……死ねェ！」重巡棲姫が潜水艦を砲撃！「クハハハ！」対するダンデスは左手から黒い魔力の光線を放つ！相殺、爆発！「ヴェアッ！？」重巡棲姫は驚きの声を上げた。こんな人間は見たことがない！規格外の魔力を持つダンデス大将だからできる芸当だ。20

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「お兄様、大丈夫ですか！？」艦霊コマンダン・テストを宿した少女、コマン・ダンデスが潜水艦に駆け寄る。「案ずるな。魂の籠もらぬ砲弾に、俺の恩讐の炎を吹き飛ばすことなどできぬ」「なら良かった。フリジンゲンも攻撃を始めました、そろそろ後退を！」21