ZK -瑞雲仮面- #4

考えてみたら、初代三国志大戦の刑道栄の一騎討ちネタとか今の時代で通じるわけねえじゃねえか! 3:https://togetter.com/li/1176541 5:https://togetter.com/li/1177581
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劉度 @arther456

(これからSSを投下します。TLに長文が投下されますので、気になる方はリムーブ・ミュートなどお気軽にどうぞ。感想・実況などは #ryudo_ss をお使いいただけると大変ありがたいです。忙しい方はtogetterまとめ版をどうぞ。それでは暫くの間、お付き合い下さい)

2017-11-30 21:01:03
劉度 @arther456

「オラァッ!」チェンの振りまわした薙刀が、揚陸級を両断した。体液を撒き散らし、甲羅を纏った蜘蛛のような生物は絶命した。後ろから矢が飛んできて、別の揚陸級の目に突き刺さる。「賢治の若旦那は!?」「無事だ」バオが応えたのと同時に、おぞましい咆哮が響き渡った。1

2017-11-30 21:03:01
劉度 @arther456

水路から上がってきたのは、4、5mはあろうかという、ヤドカリめいた巨大な揚陸級深海棲艦だった。巨大揚陸級が、鎌のついた腕を振り下ろすと、乗り捨てられていた車が潰れた。「いかんな……デカすぎる、手に負えん!」バオが矢を放つが、巨大揚陸級の甲羅がそれを軽々と弾き返す。2

2017-11-30 21:06:02
劉度 @arther456

シンが大斧を持って前に出た。「あいつは、俺が殺ってくるぁ……」巨大揚陸級は腕を振り下ろすが、シンが振り上げた斧がそれを受け止める!一合!さらに斧を横薙ぎに振るう!腕で受ける揚陸級!二合!鋭い牙で噛みつこうとしたが、シンが斧の柄で受け止める!三合!3

2017-11-30 21:09:02
劉度 @arther456

「うるぁっ!」シンの膝蹴りが、揚陸級の喉に突き刺さった。四合!そしてシンは、斧を両手で握り締め、態勢を崩した巨大揚陸級に振り下ろした。斧は、防ごうとした揚陸級の両腕を断ち切り、顔面を叩き壊した。五合!大斧が引き抜かれる。「へっ、俺の勝ちだ、うるぁ!」4

2017-11-30 21:12:01
劉度 @arther456

そこに、建物を破壊しながら駆逐イ級が現れた。「次かぁ?」シンは斧を構えるが、賢治が止めた。「下がれ、シン!」「わぁかったよ」自慢の大斧も、駆逐艦相手には分が悪い。シンはイ級に背を向け逃げる。イ級は水路を泳ぎ、建物を回り込んでシンを追う。5

2017-11-30 21:15:01
劉度 @arther456

「ようこそ」建物の影には、オランダ陸軍の戦車がいた。主砲が火を噴き、イ級の額を貫通する。力を失ったイ級は水路に沈む。「1隻撃墜!」「ッ、上だ!」意気揚々と次の獲物を探そうとした戦車に、ロケットが空中から降り注いだ。戦車は乗員ごと爆散した。6

2017-11-30 21:18:01
劉度 @arther456

オランダの空には、新たな機影が現れていた。対地ロケット砲を吊り下げた、エイ型の深海攻撃機だ。陸軍の決死の反撃は、この空飛ぶエイたちによって灰燼に帰した。乗っていたトラックを破壊された賢治たちに、もはや逃げ場はない。沈みゆく街の中で右往左往するだけである。7

2017-11-30 21:21:01
劉度 @arther456

路地を抜けると、水没しかけたシェルターと、人間を千切る揚陸級がいた。何匹かが、賢治たちに気付き襲い掛かってくる。「ふんっ!」日向が刀で応戦する。ほかのSPたちも銃や近接武器で応戦する。そこへ、エイ型攻撃機が狙いを定めて急降下してきた。8

2017-11-30 21:24:02
劉度 @arther456

「うおあああっ!?」爆発。ロケットではない。攻撃機が突如火を噴き、コントロールを失って揚陸級の群れのど真ん中に墜落したのだ。何かに撃ち落とされた。見上げれば、今までの深海のものとは全く違う機体が次々と現れ、街を襲う飛行機を攻撃し始めていた。9

2017-11-30 21:27:01
劉度 @arther456

「何だ、あれは!?」「……遠すぎて見えん!」賢治たちは目を凝らすが、機体はラグビーボール程度の大きさだ。とても肉眼で見えるものではない。ただ、艦娘の日向だけは、それを見て驚きに目を見開いていた。10

2017-11-30 21:30:04
劉度 @arther456

ジーランド州最東端。内陸部とつながる道路を要するこの場所に、次々と深海棲艦が押し寄せている。ミサイル、戦車砲、迫撃砲、機銃弾、ありったけの火器が反撃する。「撃て、撃て、撃て!一人でも多く逃がすんだ!」ここを制圧されれば、逃げ道はない。そして、陥落は時間の問題だ。12

2017-11-30 21:33:01
劉度 @arther456

「隊長!水が限界です!最上段へ退避を!」「……ちいっ!最終ラインまで退避を始めろ!」くるぶしまで迫った水を蹴りつけ、オランダ陸軍の隊長はテントを出た。軽巡の砲弾が近くに着弾した。人が、テントが破片と衝撃を浴び、水に叩きつけられる。13

2017-11-30 21:36:01
劉度 @arther456

隊長が目を覚ますと、攻撃機が頭上を通り越していくところだった。その先には、内陸部に伸びる道路。避難民を乗せたトラックが、列を成して通っている。「やめろ……」街が沈み、命が奪わる。そうさせないための戦いだったのに、何もできない。「やめてくれぇ!」ただ、叫ぶしかできなかった。14

2017-11-30 21:39:01
劉度 @arther456

空を飛ぶエイが、爆散した。隊長は自分の目を疑ったが、見間違いでも幻覚でもなかった。深海の攻撃機が次々と火を噴き、墜落していく。それどころが、似たような大きさの飛行物体が現れ、戦闘機のようにエイに襲いかかり始めた。何が起こっているのか、隊長の理解が追いつかない。15

2017-11-30 21:42:03
劉度 @arther456

そうしているうちに、人影が近付いてきた。信じられないことに、水の上を滑っている。目を引くのは、鎧をまとったかのような、巨大な両腕だ。人影は顔を上げ、攻撃機隊に腕を向ける。肩の砲塔が動き、そして砲弾を放った。狙いは正確無比、攻撃機は1機残らず炸裂弾の露に消えた。16

2017-11-30 21:45:02
劉度 @arther456

対空攻撃を終えた人影が近付いてくる。人影は、緑色の法被と仮面を身に付けていた。2児の父親である隊長は、その仮面が日本のトクサツ・ヒーローのデザインであることに気付いたが、何のヒーローかまではわからなかった。「あんた……何者だ?」すると、相手は答えた。「瑞雲仮面だ」17

2017-11-30 21:48:01
劉度 @arther456

背後から爆音が響いた。振り返ると、見慣れない集団が深海棲艦たちを砲撃しているところだった。そちらもまた、緑色の仮面と法被を身に付けている。「あいつらは?」「瑞雲仮面隊だ」「何なんだよ瑞雲って!?」すると、瑞雲仮面は巨大な腕で頭上を指差した。18

2017-11-30 21:51:02
劉度 @arther456

隊長たちの頭上を、フロート付きの飛行機が飛び越えていった。緑色の飛行機は、新たに向かってきた深海の攻撃機に対し、果敢に格闘戦を挑んでいった。「あれが瑞雲、水上爆撃機だ」19

2017-11-30 21:52:01
劉度 @arther456

「遅かったか……!?」ドイツ軍基地航空隊のBf109は、ようやくオランダに到着した。ドイツ領から急いでやってきたのだが、既に街の半分以上が沈んでいる。地上で巻き込まれるより、上空から見た方が絶望感は大きかった。《まだ終わってません!避難中です!》僚機から通信が入った。21

2017-11-30 21:54:04
劉度 @arther456

目を凝らせば、残った陸地に車列が見えた。トラックだ。人々を乗せ、爆撃をかいくぐりながら必死に内陸へと向かっている。地上部隊が彼らを守り、戦っている。土地はほとんど沈んでしまったが、まだ生き残っている人々はいる。「……各機!生き残りを守るぞ!気合を入れろ!」22

2017-11-30 21:57:01