仔オーク探検隊、雪山へ #ぴくめす

仔オークのはなしと仔エルフのはなし in 冬の雪山 pixivのR-18企画 【pixiv牝化騎士団陵辱】 略称 ぴくめす 企画目録 http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=6313499
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帽子男 @alkali_acid

「おい!ゆきやまの!きたぞ!」 ガブが洞窟のいりぐちで叫ぶ。やがて奥からのそのそと毛むくじゃらの白いオークがあらわれる。 「よくきた!ちっさい!だけど、ころしたり、おかしたり、できそうだな!」 「ころす。とくいだ」 あいさつらしきものをかわして奥へ。

2017-12-17 18:05:59
帽子男 @alkali_acid

進んでいくと、変な匂いと湯気がただよい、気温が急に上がる。 「なんだ」 「あつい、みず」 「あつい、みず」 ゴマがくりかえして見まわす。蒸気のあいだに、腹のおおきな雌が何匹もねそべって、ゆったり息をしている。 あいだを小さな仔オークが走り回っている。 どれも裸だ。 #ぴくめす

2017-12-17 18:09:23
帽子男 @alkali_acid

仔オークのほうはもう、雪山の一族らしく毛皮が生えそろっているが、雌はつるりとした肌が多い。 「さむく、ない?」 「さむく、ない」 じっと観察するゴマ。ガブはめんどうになって蒸気を吹いている筒のようなところにせおっていたゼマを投げ込む。 「ギヤアアア!!」 「あついぞ」 「あつい」

2017-12-17 18:11:04
帽子男 @alkali_acid

さらに先へゆきと、お湯ではなく泥が沸いている一角に出る。さらわれてきた雌達が泥を肌に塗ってくつろいでいる。仔オークはいない。 ゴマが試しに手がさしのばすと、泥がいびつな人型になって踊りはじめる。 雪山オークがおどろく。 「おお、まほう!まほうだ!オークの!まほう!」 #ぴくめす

2017-12-17 18:13:48
帽子男 @alkali_acid

「おれも!まほう!」 尻をやけどしたゼマが拳に光を宿してつっぱしり、泥の中につっこむ。 「ギィイ!!」 「どろ、やけど、けが、きく」 うなずく雪山オーク。ためいきをつくガブ。 「ギィ!!」 ゼマがでろでろの沼から、泥玉をなげつけるが、ガブはわずかに身をそらせてかわす。 #ぴくめす

2017-12-17 18:16:00
帽子男 @alkali_acid

「あつい、みず、どろ、あびろ、つよくなる」 雪山オークがすすめる。不審げに見つめるガブ、泥でさまざまなかたちを作り出して雌たちの関心を集めるゴマ 泥の中でもがくゼマ。 #ぴくめす

2017-12-17 18:17:11
帽子男 @alkali_acid

そのときおそろしいうめき声とともに、傷だらけの雪山オークの一隊がなだれこんでくる。 「うおおお」 「ぐえええ」 「うぎいい」 けがをした毛むくじゃらの雄を、なめらかな肌をした捕虜の雌は恍惚としながらかいがいしく世話する。 #ぴくめす

2017-12-17 18:19:00
帽子男 @alkali_acid

「どうした」 ガブがたずねる。 「やられた…サスカッチ」 「サスカッチ?」 「つよい、でかい」 #ぴくめす

2017-12-17 18:19:51
帽子男 @alkali_acid

雪山オークの説明はこうだ。サスカッチは雪山オークに似ているが、よりさらにひとまわり大きな怪物。しかし雄だけでなく雌もいる。 そのため雪山オークは、サスカッチの雄に化けて村に入り込み、雌をさらってこようとするのだが、雄に見つかるとたいていボコボコにされる。 #ぴくめす

2017-12-17 18:21:50
帽子男 @alkali_acid

ほとんど生息地では怖いものなしの雪山オークだが、いいつたえにある雪女をのぞけば唯一恐ろしい敵がサスカッチだ。 「で、やられた」 「やつら、あたらしいおさ、いる」 「あたらしいおさ?」 「ちいさい、でも、つよい。あたま、いい」 「あたまか」 「おれたち、わな、はまる」 #ぴくめす

2017-12-17 18:25:02
帽子男 @alkali_acid

「ゆきやまの、なんびきも、なんびきも、なんびきも、しんだ。くやしい。つぎ、ころす」 地団駄をふむ毛むくじゃらのおとなに、ガブは首をかしげる。ガブもオークではあるが、その血筋は古く、頭も同族よりはるかに切れる。 オークがこうやって怒っているときは大抵、まずい状況だ。#ぴくめす

2017-12-17 18:27:00
帽子男 @alkali_acid

狡猾な敵に追い込まれ、全滅の縁にたっている場合が多い。オークは劣勢にあることをうまく理解できない。 見まわすと、雌や仔オークにくらべておとなが少ない。相当数が減らされたのだろう。 「サスカッチ、ころす!」 泥のなかからゼマ。 「ころす。たのしい」 にんまりするゴマ。 #ぴくめす

2017-12-17 18:28:54
帽子男 @alkali_acid

ガブも笑う。オークメイジの弟子の中ではあまりつきあいのない二匹だが、こういうときは気持ちが合う。 「ころす。サスカッチのおさ」 「ころす!」 「ころす!」 「殺す!」「殺す!」「殺す!」「殺す!」 大合唱。興奮した雪山オークはそばの雌を犯し始め、嬌声が死を求める叫びに和す。 #ぴくめす

2017-12-17 18:31:55
帽子男 @alkali_acid

翌日。ガブは、サスカッチの縄張りを見下ろせる崖にのぼっていた。体重の軽さと、景色にとけおむ体色を生かした離れ業。 「でかい」 なるほど雪山オークよりさらにひとまわり大きな毛むくじゃらの怪物が、何匹も石を割って作った鈍器を手にのし歩いている。 #ぴくめす

2017-12-17 18:35:19
帽子男 @alkali_acid

サスカッチが雪山オークに似ている、というより、長いあいだにオークが、雪山で最強の存在であるサスカッチに似たすがたになったのかもしれない。 ガブには関係ないことだ。それより怪物の群に一匹、あきらかにほかより小さい雄がいる。子供といっていいサイズ。だが皆に指図している。 #ぴくめす

2017-12-17 18:37:35
帽子男 @alkali_acid

なにか打ち合わせたあと、その小さな雄は群を離れた。ガブはこっそりあとをつける。 雄は一匹だけになると、おもむろに己の頭をつかみ、ひっこぬいた。 驚くべきことに、中からもうひとつの頭があらわれたのだ。 彫の深い顔立ちは人間のものだ。 #ぴくめす

2017-12-17 18:39:17
帽子男 @alkali_acid

「やれやれ。単細胞どもめ…奴等を山からおろすにはどうすればよいものやら…」 独白の響きには覚えがあった。ガブ達オーク砦がもっともよく戦う王国、ではなく、もう少し遠くから攻めてくる帝国の言葉だ。 「このままでは皇帝陛下にしめしがつかん」 #ぴくめす

2017-12-17 18:41:27
帽子男 @alkali_acid

帝国の騎士。それがサスカッチのふりをしているのだ。うまくだましおおせているようだ。 だがほかに人間がいないのが心にこたえるのか、ひとりになるとぶつぶつと自分で自分に話しかけている。 「おちつけ。夷を以て夷を討つ策が成功すれば、褒美は思いのまま。男爵家の地位は私のものだ」 #ぴくめす

2017-12-17 18:44:24
帽子男 @alkali_acid

「よし。未来の男爵よ。いまいちど策を確認する。サスカッチの占いを信じれば、明日起こるという吹雪にまぎれてオークどもの巣穴に突入。とらわれた帝国臣民の婦女を奪還し、奴等を皆殺しにする。あとはなんとかサスカッチどもを説得して、帝国騎士団の駐屯地まで捕虜を運べれば…」 #ぴくめす

2017-12-17 18:47:19
帽子男 @alkali_acid

「しかしまことか?明日、超常のもの同士の戦いが起き、はぐれ白妖精と、雪の女が対決して吹雪になると…サスカッチごとき亜人になぜ分かる…だが奴等の占いは外れた試しがない…しかも明日の襲撃は凶だと…ふん…だが戦士どもは私を信じる…占いもいいが、最後にものを言うのは軍略だ」 #ぴくめす

2017-12-17 18:50:32
帽子男 @alkali_acid

ガブはすべてを聞き取った。帝国の騎士は、こんな地の果てに自らの言葉を解する間諜がいるなど想像すらしていないようだ。 「獣くさい着ぐるみともそろそろお別れだ。まったくサスカッチの暮らしとは。生肉だけの食事。寒さを忘れるための歌に踊り。あとは大いびき…ま、悪くはないが」 #ぴくめす

2017-12-17 18:53:13
帽子男 @alkali_acid

作りものの頭をかぶりなおし、群にもどっていく騎士を、古オークの少年はじっと見送った。 「騎士…なら、いつもどおり」 にやりとして引き返すと、雪山を吹き抜ける寒風よりはやく同族の待つ巣穴に還っていった。

2017-12-17 18:54:23
帽子男 @alkali_acid

占いどおり、やがて山の反対側で白妖精と雪の女の戦いが起きたのか、尾根のあたり一帯は銀の嵐にかきくもる。 並の人間であれば立っているだけで血まで凍てつく寒さ。だが密集体形をとったサスカッチの群は、まるで生きた雪崩のように突き進む。 #ぴくめす

2017-12-17 18:57:44
帽子男 @alkali_acid

氷でふさがった横穴の入り口を石器で砕き、オークの巣穴へ侵入を開始する。 「ころせ!おまえたちのにせものを!やまをけがすメスさらいどもを!ころせ!」 身振り手振りで小さな長が伝えると、たくましい戦士の群が足を踏みならして応じる。 #ぴくめす

2017-12-17 18:59:35
帽子男 @alkali_acid

サスカッチの群はずんずん洞窟へ踏み込む。ぬくもりとしめりけが増す。 毛皮をまとう真の戦士には不快な暑さだ。だが今は戦いの興奮がそれをしのぐ。 「もうすぐだ!もうすぐにせものどもの血の雨がふるぞ!」 小さな長のうながしに沿い、さらに奥へ。 「このあたりが苗床のはず…」 #ぴくめす

2017-12-17 19:02:03