52 適度に気がついて、さり気なく優しい彼がモテないわけなくない? 美味しいお酒を飲みながら、彼を少しずつ知って行くのが楽しくて… 《こう言ったらアレやけど、最初はみんな俺になんか期待して近づいてくんねん》 #とししたのかれ
2017-05-13 11:06:3653 アルコールで饒舌になった横山さんは顔もほんのり紅くして今までの戦歴を語る。苦笑 《とりあえずその頃は好きな相手もおらんかったし…それこそ来るものは拒まずみたいな//》 口調も流暢な関西弁 「ふーん…」 意外とやるね… 《あ、や…やけど、》 #とししたのかれ
2017-05-13 11:07:0554 急にシュンとなって 《派手に遊ぶのも女の人の喜ぶように振る舞うのも段々疲れてもうて…なんか違うねんな…て、そんでずっと彼女作らんできました。彼女いない歴10年です!》 ん?… 「じゅーねん?」 …ウソだあ。笑 #とししたのかれ
2017-05-13 11:07:4655 《あれ?その顔…信用してへん?》 うーん…微妙 私も人のこと言えないしな イナイ歴… それでも3年とちょっと… 10年て。笑 「…そんなに長い間って…淋しくないですか?」 イロイロと… 《まあ。淋しい言うたらそんな時もありましたけど》 #とししたのかれ
2017-05-23 10:08:0656 …ですよねー…で、そんな時はどうしてましたー? …なんて聞けません! 《…そんな時は、》 ってひと呼吸置くから思わず顔を見つめてしまう 《───ふw…俺のそういうの気になります?》 え…/// 「あ、やっ…//」 #とししたのかれ
2017-05-23 10:08:3557 女子高生のようにうろたえちゃって、水を飲もうとして伸ばした手がグラスにぶつかり─── 「あっ!」 反応虚しくグラスはおきあがりこぼしのように揺れて倒れた 「ごめんなさいっ」 《大丈夫やって、かかってへんし》 そう言ってくれたけど恥ずかしい #とししたのかれ
2017-05-23 10:09:1158 《自分意外とおっちょこちょいやな。笑》 そう言って細められた目が 凄く優しく笑って あれ?なんだこれ…。 テーブルを拭きながら 《ん?笑》 って、楽しげにするから… …好きになるかも── そんな予感が?期待が?グルグルと頭の中を巡った #とししたのかれ
2017-05-23 10:10:0959 * きっと穏やかで楽しいんだろうな 彼と付き合ったら 凄くモテそうなのがちょっと心配だけど浮気とかしなさそうだし 「ふーー…」 喫煙ルームで煙草の煙を吐き出して昨日のことに思いを馳せる でも付き合ったら禁煙しなきゃダメだよね? どっちだろ? #とししたのかれ
2017-05-23 10:10:4260 『なにが?』 「ひっ!!え?!」 『ん?どっちって』 ぼんやりしてたら背後にいた大倉くんに気付かなかった! 「ちょっとー、そんな猫みたいに忍び寄らないで」 熊みたいな体格のくせに 『あーつっかれたー』 そんな熊はどかっとベンチに足を投げ出す #とししたのかれ
2017-05-23 10:11:2661 『気づかんほどボケェっと…あ、違うわ。デレぇっとしてたのそっちでしょ』 なんだ、トゲがあるぞ キッと振り返ると …? 顔色悪い? 目を閉じて、咥えた煙草に火をつけるでもない 「…で、デレっとなんてしてないし」 #とししたのかれ
2017-05-23 10:12:1062 『…どっちでもええけど』 なんなん!?怒 めんどくさいこの男! ようやく煙草に火をつけると紫煙を燻らせる 『はー、しんど』 「そーですか。それはお疲れ様です」 『俺が仕事で大変やった時に自分は楽しいデートとか』 だからトゲ!! なんか…痛い #とししたのかれ
2017-05-23 10:12:3863 「デートじゃなくて…トモダチなんだけど…」 そのトゲが痛くて余計な言い訳をしてしまう 『ふーん?』 興味なさそう… 携帯を取りだして見始めた 「た、大変ってなんかあったの?」 『…まあちょっと』 そんなそっけない言葉に溜息がでそうになった #とししたのかれ
2017-05-23 10:13:1764 こんな時 お節介やきのおばちゃんのようにもっとつっこむべきなのか それともそっとしておくべきなのか… わからない 彼は謎だ 横山さんより理解不能 短くなった煙草を揉み消して手持ち無沙汰の手をジャケットのポケットに突っ込んだ あ… #とししたのかれ
2017-05-27 09:22:2965 「……食べる?」 ポケットの中にあったチョコレートを手の平に乗せて差し出した それを一瞥して 『俺甘いの苦手』 ぐっ…ぬぅ… そうか…そっか… その手を引っ込めようとしたら 「っ!うわっちょ…」 それを引かれて、ベンチの彼の隣に座らされた #とししたのかれ
2017-05-27 09:39:2466 『今日…なんかつけてる?』 大倉くんの顔が耳裏に近づいて… スンって匂いをかいだ 今日… 自前のお気に入りつけてきた もうバレた 別に大倉くんのためにつけたわけじゃないし!……て、我ながらアホな言い訳… 『…なんか落ち着く…』 #とししたのかれ
2017-05-27 09:40:0067 うっ…!なっ…!? そう言ってコテンと肩に頭を乗せて目を瞑った// ドキドキドキドキ… 「あ、の…」 『……』 情けない 36歳が32歳に手も足も出ない 為す術もなく 大倉くんの手の中の、火がついた煙草の灰が長くのびるのをじっと見ていた #とししたのかれ
2017-05-27 09:41:3668 く…う……ダメだ! 気が気じゃないよ!こんなとこ誰かに見られたらめんどくさいことになるって! 大倉さん目当ての娘沢山いるのに、仕事やりづらくなるって!! ──なのに …なんで私ほのかに幸せ感じちゃってんの…? 『…ゴソゴソうるさい』 ハイ!… #とししたのかれ
2017-05-27 09:42:2269 「…でも…誰か来たら…」 はぁ…なんか 毅然とできない 『…俺はええけど』 え…だめだよ… 『ミキさんがややったら退いたらええやん』 そうだけど… 動けないっていうか、頭ではよけなきゃって思うのに体が連動しない #とししたのかれ
2017-05-27 09:43:0070 答えに詰まっていると 不意に大倉くんが起き上がってコキコキと首を鳴らした 『煙草ヤバッ』 手元の煙草が指ギリギリまできてる それを目の前の灰皿に押しつぶすと大倉くんは立ち上がった 『誰も来なくてよかったよね』 膨れたような眼差し #とししたのかれ
2017-05-27 09:43:5871 「…大倉くん…」 『…さっきのちょうだい』 「え?」 ん、って手の平を向ける でも私は躊躇する 今度は何も起こらない? 握りしめていたチョコを恐る恐る大倉くんの手に乗せた 『あんがと……… さて、厄介なん片付けてくるかぁ』 #とししたのかれ
2017-05-27 09:44:4372 チョコを口に放り込んで彼は行ってしまった ……なんか、おかしかったな いつもどおりめんどくさかったけど、なんとなく本当に疲れてる感じ 大丈夫かな… もう少し優しくしてあげたらよかったかな… ──香水は 大倉くんに気付いてもらいたくてつけてきたの #とししたのかれ
2017-05-27 09:49:2973 ガラにもないってからかわれたくて でも、ええやんって言ってくれるのかななんて思ったりして そうやっていつもどっかで大倉くんのことを考えてる それなのに素直になれないのは… ──やっぱり…縮めることの出来ない年齢差と そこを乗り越える勇気がないから #とししたのかれ
2017-05-27 09:50:4874 それでも35歳を過ぎるまではまだどっか余裕もあったんだけどなあ… 何をするにもめんどくさい年齢になっちゃったよね。苦笑 「っと、ヤバイ。私も早く行かなきゃ」 昼休憩終わり! いつまで独り身かはわからないけど稼げる時に稼いどかないと! #とししたのかれ
2017-05-27 09:51:3075 [なんかお隣大変みたいですよ?] 夕方のかきいれ時が落ち着いた頃 アルバイトの1人が隣をチラッと見ながらそう言った 「あー…なんかあったようなこと言ってたけど…なに?」 そこは私も噂話好きなおばちゃん だけど、気になるのは大倉くんも関わってるから #とししたのかれ
2017-05-30 10:21:5276 乱れた商品を畳みながら彼女は楽しげに話だした [大倉店長ってモテるじゃないですか。スタッフ間のトラブルが絶えないみたいで。前は大倉店長も平等にというか程よい距離感だったみたいなんですけど──] モテるっていいコトだけじゃないのね… #とししたのかれ
2017-05-30 10:23:02