或る傷心男の心情

こんにちは 最近いろいろあって、どこにもやり場のなくなった思いを物語に乗せて綴ってみました。自分でいつでも見返せるようにまとめたかっただけですので、内容は大したものではないです。文章に関しては素人のため、乱文乱筆ご容赦ください
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@Amplectobelua

昔々あるところに貧しい母娘がおりました。二人は慎ましいながらも、幸せな毎日を送っておりました。そんなとき娘が流行り病にかかってしまいました。娘を医者に見せるために、母は必死で働き、お金を稼ぎました。荒い呼吸、下がらない体温、朦朧とした意識の中で娘はこういいました。続く→

2011-04-01 16:32:28
@Amplectobelua

「お母さん、うんと美味しいものが食べたいの…」母は頷きました。普段は硬いパンと、冷たい水のようなスープしか食べられないような家庭環境でしたので、一生に一度くらい美味しいものを食べてみたかったのでしょう。母はか細い手に小銭の入った袋を握り、夜の街に繰り出しました→続き

2011-04-01 16:37:51
@Amplectobelua

娘は母の戻りを待っているうちにいつしか意識を失ってしまいました。半日ほどたったころでしょうか、物音に目を覚ますと、そこには優しく微笑む母の顔が。「さぁお食べ、国一番のシェフに作ってもらった温かいスープだよ」。娘がそれに口をつけると、今までに味わったことのない豊潤な香りと味でした。

2011-04-01 16:41:08
@Amplectobelua

娘はスープをあっという間に平らげました。「お母さん、もうないの?」「ごめんね、それだけしかないんだよ」娘はスープの味に魅せられました。何日かして、無事病から回復した娘ですが、あのスープの味が忘れられません。しかし、相当に高価なものだろうと思い、母を慮って言い出せませんでした

2011-04-01 16:43:14
@Amplectobelua

日増しにスープへの想いは高まって行きました。そして半年後、ついにこらえきれなくなった娘は書置きを残しひとり家を飛び出しました。「あのスープを探してきます。そのためのお金も自分で稼ぎます。心配しないで」。娘はいろんなところであくせく働きつつ、スープの味と香りだけを頼りに探しました

2011-04-01 16:45:41
@Amplectobelua

そのうち、1か月がたち、3か月がたち、1年が経ちました…スープはまだ見つかりません。母のことは心配ですが、スープを見つけるまでは帰りたくありませんでした。娘は母の言っていた「国一番のシェフ」を探すことにしました

2011-04-01 16:47:42
@Amplectobelua

国一番と言われるシェフはの場所はすぐにわかりましたが、向こうは国一番の腕前ですから、それは高貴な身分で、とても貧しい娘の身なりでは会いに行くことができませんでした。娘はシェフにあうために、さらにお金を稼ぎ、お化粧や、服や、奇麗なアクセサリーを買って自分を着飾りました

2011-04-01 16:50:12
@Amplectobelua

月日はさらに流れます。少女だった娘も妙齢の女性となり、それはそれは美しくなりました。スープへの思いはさらに強まっていました。そして、努力の甲斐あってついに国一番のシェフの働く店に入ることができるようになりました

2011-04-01 16:51:41
@Amplectobelua

店に入った娘は、真っ先に厨房へと赴き、シェフに尋ねました。これこれこんな女性がやってきてこんなスープを作らなかったかと。しかしシェフは知らないと答えます。何度問いただしても答えは一緒です。忘れているわけでもないようです。

2011-04-01 16:54:11
@Amplectobelua

娘は焦りました。夢の手がかりが全くなくなってしまったのですから。ならば母に直接問いただしてやる、と娘は数年ぶりに生家に戻りました。

2011-04-01 17:17:24
@Amplectobelua

数年ぶりの我が家は…朽ち果てていました。ガラスはすべて割れ、ツタが這い、雑草が生い茂っています。誰の気配もありません。「何…これ…」と打ちひしがれている娘にだれかが声をかけました「あんた…ひょっとして昔ここにすんどった…?大きくなったのぅ…」それは近所のおじいさんでした

2011-04-01 17:17:40
@Amplectobelua

「どこに行っておったんじゃ…アンタの母親はのぅ…愛しい娘が突然いなくなって、おかしくなってしまったんじゃ…気が触れたようにうわごとを繰り返し、誰も居らんところに話かけ、食事も2人分用意して…そのうち流行り病にかかってぽっくり行ってしもうた…看取ったのはワシじゃ」

2011-04-01 17:17:52
@Amplectobelua

「寂しい最期じゃった…末期にこう言っておった『あの子に美味しいものを作ってあげなくちゃいけないの』とな」娘は膝から崩れ落ちました。涙が止まりませんでした。そうすると、おじいさんが「おいで。あの人の遺品がある」娘は素直に頷き、ついていきました

2011-04-01 17:18:05
@Amplectobelua

母の遺品は、木箱一つにすっぽり収まるほどわずかなものでした。着古した衣類、煤けたランプ、くすんだペンダント…その中に、一枚の紙切れが入っているのを見つけました。拾い上げてみると、薄汚れたその紙には、文字が書かれていました。食材の名前と、調理法…どうやらレシピのようです

2011-04-01 17:18:23
@Amplectobelua

「おじいさん、これは何?」「ああ、これは、あの人が後生大事に握りしめていたレシピじゃな。娘が戻ってきたら飲ませてやるんだ、と繰り返しておった」「飲ませる…?おじいさん、これ何のレシピかわかる?」「ああこれはスープのレシピじゃ。この国の中流家庭では一般的じゃが店ではあまり出ないの」

2011-04-01 17:18:50
@Amplectobelua

「おじいさん…これ、作ってもらえる?」「それはよいが、この食材はわしらには少し高くての…」「お金ならあるわ」娘はポシェットからお札を取り出しました。それは、あのスープを飲むために汗水たらして貯めたお金でした。「これだけあれば十分じゃ。少し待っておれ」

2011-04-01 17:19:01
@Amplectobelua

ほどなくしておじいさんが作ってくれたスープは、どこか見覚えのあるものでした。においを嗅ぐと、豊潤なあの香り。一口すすると、あの味でした。そう、娘がずっと探していたのは、このスープでした。母が作った、このスープだったのでした

2011-04-01 17:20:36
@Amplectobelua

娘はすべてを悟りました。そして、気付い時には、何もかもが遅すぎました。娘はひとしきり涙したあと、「ありがとう」と一言囁き、おじいさんの家を後にしました。その後、娘の姿を見たものは、いませんでした~完~

2011-04-01 17:22:16
@Amplectobelua

よし作:エビさんの後味の悪い話全部終わった…ふぅ(ツヤツヤ

2011-04-01 17:23:13
@kinoo_

@Amplectobelua うぅぅ..せちなし...(´`)

2011-04-01 17:24:04
@Amplectobelua

思うところがあって書きましたよ。別に誰も読んでくれてなくてもいいのー。自己満だから―

2011-04-01 17:24:32
@Amplectobelua

思うところっつーか、今の俺の気持ちをお話にしただけです

2011-04-01 17:25:58
シャルム @syalm

@Amplectobelua 全部自分で作ったのか、なんかの童話から持ってきたのかと

2011-04-01 17:27:31
シャルム @syalm

エビちゃん@Amplectobelua の話定番っちゃ定番だけど面白かったな

2011-04-01 17:30:53