#犬シリーズ～お正月編～

ぺちか @pechika_udon

#犬シリーズ ～お正月編～ 【ダメ犬の場合】 1 「たぁくん、あけましておめでとう！」 『ん～...何時ぃ...？』 「もう8時やで！起きなさい！」 『まだ8時やん～...。もうちょっと...』 「あかん！起きる！」 ちかに布団を剥ぎ取られて渋々リビングへと向かう。 #エイトで妄想

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2 リビングのローテーブルに並べられた色とりどりのおせち料理。 「ほら、早う座って」 『これ...』 「たぁくん、忙しくてゆっくりできひんかったやろ？遅なったけど少しでもお正月気分をな」 トレイにお雑煮を乗せたちかがへらり、と笑う。 #犬シリーズ

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3 「まぁ、兎にも角にもあけましておめでとうございます」 『あ...、あけましておめでとうございます』 「今年もご迷惑かけると思いますが、よろしくお願いします」 『...俺の方こそ、迷惑ばっかりかけるけどよろしくお願いします』 「さ！新年の挨拶も済んだし、食べよ！」 #犬シリーズ

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4 そう言ってちかは取り皿に料理を取り分け始めた。 お重に入ったオーソドックスなおせち料理の数々。 『これ全部作ったん？』 俺の言葉に視線を彷徨わせた。 ...わかりやすい奴やな。 『ちかちゃん？』 「つ、作ったんもちゃんとあるし！栗金団とか...！」 #犬シリーズ

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5 『つまりほとんど買うてきた、と』 「うぐ...！」 『まぁええわ。食お』 ほんま、料理嫌いなんやから。 ...まぁその分俺が作れるときに作ったらえぇだけやし、問題はないわけやけど。 #犬シリーズ

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6 『はー、美味かった』 「ほんま～。食べ過ぎたわ」 『栗金団ばっか食うからや』 「やって、好きなんやもん～」 ふたりでソファに凭れ掛かる。 うーん、おなかいっぱい。 「たぁくん、今日どうする？」 『どうするって何が？』 「初詣とか？」 『あー、そやなぁ...』 #犬シリーズ

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7 一応年始やしなぁ。 神様にお参りしとかんとあかんかな。 一年の計は元旦にあり、ていうしな。 でも... 『えぇんちゃう～？』 「へ？」 『もう今日は家でごろごろしてようや』 「ひゃあ！？」 俺はそう言うと、ちかを抱き締めてソファに寝転がった。 #犬シリーズ

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8 「もう！たぁくん苦しいやん！」 『ぐー』 「ぐー、やない！ほんまにもう！」 ぺし、と頭をはたかれる。 『あいたっ』 ちょっと強めに痛がってみたら、ちかは目を細めて笑った。 そして、子どもにするみたいに頭を撫で始めた。 #犬シリーズ

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9 抱き締めるちょっと高めの体温と、ふわふわとした手つきに段々と目が閉じてくる。 「たぁくん？寝てしもたん？」 ちかの声が遠く聞こえる。 意識がふわふわしてくる。 #犬シリーズ

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10 「...しゃあないなぁ」 くすくす笑うちかの声。 それすらも心地いい。 俺はそのままゆっくりと意識を手放した。 #犬シリーズ

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11 寝正月ってやっぱ最高。 美味いもん食べて、ごろごろして。 隣にはちかがおって笑ってくれてる。 それがおれにとっての幸せな正月。 ...ちかもそうやと嬉しいな。 #犬シリーズ #エイトで妄想 pic.twitter.com/3TkWWL8YLB

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#犬シリーズ ～お正月編～ 【駄犬の場合】 1 『よっちゃーん！』 「きゃあ！？」 『あけおめー！ことよろー！』 「急に抱き着いて来ない！」 『きゃいん！』 新年早々、よっちゃんは通常運転でした...。 #エイトで妄想

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2 『改めまして、あけましておめでとうございます』 「あけましておめでとうございます...はいいんだけど、何でこんなに近いの？」 『ん？そんなん引っ付いてたいからに決まってるやん！』 #犬シリーズ

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3 ふたりで座っても十分な広さのあるソファにぴったりくっついて座る僕とよっちゃん。 （て言うか、僕が一方的に引っ付いてるんやけどね） 「...まぁ、いいけど」 ...あらまぁ。 いつもなら「近過ぎる！」て怒るのに、今日は甘やかしてくれるつもりらしい。 #犬シリーズ

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4 ついついそんなよっちゃんの優しさに付け込んでしまいたくなるけど、そこは我慢。 やって、そんなことしたら怒られるもん。 そしたら暫くはお触りも禁止されてまう。 ...僕かて学習くらいするし。 #犬シリーズ

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5 『あ、そやそや。はい』 ポケットから可愛らしいポチ袋を取り出す。 そしてそれをよっちゃんに差し出した。 「...これ何？」 『お年玉！』 よっちゃんくらいのお年頃やったらいろいろ入用やろうし、何より年上としての懐の広さを見せとかんと...。 #犬シリーズ

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6 「いらない」 そうそう。 いらんって...え！？ 『えぇ！？』 「だから、いらない」 『な、なんでぇ！？』 「まるちゃんから貰う理由がないもん」 よっちゃんは真面目な顔でそう言った。 #犬シリーズ

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7 貰う理由なんて、そんなん別になくてもえぇやん。 貰えるもんは貰うとこうよ。 『や...やって、僕大人やし...』 「相手が大人だったら貰わなきゃいけないの？」 『そ、それによっちゃんはまだ未成年やし...』 「未成年だからってそれは貰う理由にならないよ」 #犬シリーズ

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8 『大人が子どもにお年玉あげるんは普通のことやん...？』 そう言うと、よっちゃんは大きな溜息を吐いて僕を睨みつけた。 ...な、何で僕睨まれてんの！？ 「それが普通なら、私は普通じゃなくていい」 『え...？』 「まるちゃんは年上だけど、そういうんじゃないでしょ？」 #犬シリーズ

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9 よっちゃんの言うてる意味がわからんで、首を傾げる。 そんな僕を見て、よっちゃんはまた溜息を吐いた。 「親とか親戚とかからはもちろん貰うよ。だけど、まるちゃんは私の彼氏でしょ？彼氏からお年玉なんて貰えないよ」 『よっちゃん...』 #犬シリーズ

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10 「私は対等じゃなきゃ嫌なの。...年齢はどうしようもないけど、それでも対等な関係でいたいからそれはいらない」 ...なんて真面目な子なんでしょう！ 僕のこと彼氏って...！ いや、ほんま彼氏なんやけど！ なんやけど！ よっちゃんの口から直接そんな言葉が聞けるなんて...！ #犬シリーズ

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11 『うん！聞いてる！』 「とにかくお年玉はいらないの。わかった？」 それには何となく頷けなかった。 よっちゃんの言い分はわかるけど...。 ...あ！そうや！ 『よっちゃん！買い物行こう！』 「は？」 #犬シリーズ

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12 『ほんで、これでよっちゃんへのプレゼント買う！』 「いや、だから...」 『うん、わかってるよ』 よっちゃんの頭をぽんぽんと撫でる。 『お年玉やなくてプレゼント。今年もよろしくっていう意味を込めて。それならえぇやろ？』 #犬シリーズ

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13 よっちゃんは少し眉間に皺を寄せたけど、僕が引かないのがわかったのか、仕方なさそうに笑った。 「わかった。その代わり、私からもまるちゃんにプレゼントさせてね」 『や、それは...』 「今年もよろしくの意味を込めるんでしょ？だったらお互いにじゃなきゃおかしいもん」 #犬シリーズ

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14 こうなったよっちゃんは絶対に折れない。 やから、仕方なく僕も頷いた。 『ほしたら、行きますか？』 「はい。行きましょう」 何だか改まったその言い方が可笑しくて、ふたりで顔を見合わせて笑った。 #犬シリーズ