漫画「うさぎドロップ」について、類似作品との比較と男性・女性視点を交えた考察

やたらと男にとって/女性漫画家では難しいなどステレオタイプとも取れるつぶやきがありますので、そういった発言が嫌いな方は読まないほうがいいかと思います。 後ほどブログにまとめる予定。
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k_bigwheelのチラシの裏 @k_bigwheel_trur

こちらの記事をこの前読んで、昨日就活の合間に漫画喫茶で読んだのだが、心に来た。:今読んでおきたい漫画! 親子ではない二人の親子愛『うさぎドロップ』 http://t.co/uLr2Bdo via @getnewsfeed

2011-04-01 04:29:14
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内容としては、祖父の隠し子である六歳の女の子を、三十路過ぎた独身のおっさんが引き取るって話。この手の、まったくの他人がひょんなことから同居する系はフィクションでは割とよくあるストーリーで名作も多い。ドラマなんかでも割りよくある手法だし、昔の作品だったら家族計画は名作だった。

2011-04-01 04:33:05
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中でも最近徐々に見るようになったのがこの手の子供を預かる系の話で、少女漫画で言ったらだあ!だあ!だあ!とか愛してるぜベイベとかがそれだ。微妙に軸はずれるがこれと同じく故人の子供を引き取るという意味では海街ダイアリーもそうだった(あれ?実は割とよくあるな。もしかして昔からあった?)

2011-04-01 04:36:49
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このうさぎドロップという作品をそれらと比較すると、この作品は引き取り手が三十路の"男"だという点が大きく違う。(だあ!x3は多分にフィクション的だし愛してるぜ~は高校生の男なものの男性から見るといかにも作家が女性らしくリアリティが薄い)またそのことによるリアリティが胸を打つ。

2011-04-01 04:40:55
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出だしはある種海街ダイアリーと非常によく似ている。故人が死んでその子供の行き場がなくなったことでもめている親戚にいらだち、自分が引き取るという展開だ。ただ海街が三姉妹だったのに対してうさぎドロップは三十路のおっさんである(いい加減しつこいか)

2011-04-01 04:42:26
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前半(1-4巻)の六歳~小学生パートでは、その子育て・養育をしていく上での苦労・リアリティを見る部分が多い。特に今までばりばり働いていた男性が突然幼稚園への送り迎えをしなければならない、そのためには定時で帰る必要がある~などの描写は男として非常にリアリティの感じられるものだった

2011-04-01 04:45:24
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著者の名前からすると女性のようだが、このあたりのリアリティはそうとは思えないほど細かく十分な取材ともしかすると類似した実体験から書かれてるのかもしれない。

2011-04-01 04:46:56
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思い出した。そういえばライトノベルで類似した作品といえば「パパの言うこと聞きなさい!」があった。これも突然亡くなった姉夫婦の娘を引き取る話で、これも大学生の男が引き取るものの、飯とか送り迎えの話とかすっ飛ばしておらず、話に十分リアリティがある良作。

2011-04-01 04:49:00
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前半で書かれてる妻帯者やシングルマザ-(自分が子育てする必要がある人)と独身だったり奥さんに子育てを任せきりの人との社会(会社)での温度差はすごくリアル。

2011-04-01 04:52:04
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また主人公がどこまで行っても美化されない(イケメンじゃない)のもよかった。この顔、たぶん人に見せたらモブと見分けつかないと思う。それ故に、この主人公の凡庸さというか、どこにでもいる感が引き立ちより感情移入できた。三十路独身彼女なしでハードワーカーとか自分の将来としか思えない。

2011-04-01 04:53:10
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ああ、あともう一人の主人公である女の子リンもきっちりかわいい。ただ、正直そのあたりは愛してるぜ~ほどの衝撃じゃない気がする。まあ普通に子供としてかわいいとは思うがそういった部分を楽しむ漫画ではあんまりない。言い換えれば愛してるぜ~ほどあざとくない。それを売りにしてないってことか

2011-04-01 04:55:21
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例えば最初親戚連中がだれも引き取りたがらず、施設に押し込もうとするのだが、そのため主人公がリンを連れて実家に帰ると(主人公の母親も引き取ることをいやがってたため)すごく素っ気ない。というかむっちゃびびってる。こういった子供なだけにすごく敏感なところはすごくよくわかる(と思う)。

2011-04-01 04:57:20
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あと作品の方向性は全然違うはずなんだけど、こうやって類似作品を上げていくうちになんとなくビターバージンを思い出した。あれも重いテーマだった。ビターバージンから連想するのは鋼鉄の少女たちか。あっちはもっとひどくて、あれ読んだあと一週間ぐらい鬱が抜けなかった。

2011-04-01 05:01:22
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鋼鉄の乙女たちと似たショックを受けたのは小説の「西の魔女が死んだ」で、どっちも男にはない女の考え方というか生き方的な物があまりに自分と違い、ショックがすごかった。西の魔女で女学院?に主人公が入るくだりは未だに忘れない。

2011-04-01 05:03:44
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閑話休題。この手の重いテーマを扱った作品で特に女性の漫画家だと自分なんかが読んだ場合どうしても主人公の心の動きと読み手の動きがずれて言ってしまうことがある。たぶんそのあたりが女性と男性の考え方の違いで、西の魔女~など作品として名作でもどうしようもなく感情移入できない場合も多い。

2011-04-01 05:06:09
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その点に関してこの作品がすごいのは、例え男の自分が読んでも主人公の心情が離れていかない点である。この作品に関して読みながら非常に危うい(この展開で主人公が著しく自分と違う考え方をしたら、このまま感情移入して読み進めることができなくなる)と思ったシーンが二つほどあった。

2011-04-01 05:07:51
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一つは前半、リンの母親と会う部分で、こちらでは漫画家としてかけだしだった母親が自分の夢のためにリンを捨てた経緯を聞く。こういったシーンは愛してるぜベイベでもあったが、どこか置いていった母親に同情的というか、ある種の理解を最初から示すのは、正直男性読者としてはまったく理解できない。

2011-04-01 05:12:10
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男としては子供を産んでおきながらこんな振る舞いは身勝手すぎると思うし、怒りすらわいてくる。そのあたりこの作品では非常によく理解しており、初対面から主人公は内心切れまくりである。そりゃそうだ、と思うと同時に普通の女性漫画家ではこうは書けないんじゃないかと思った。

2011-04-01 05:13:02
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ここまでやって思い出したが、生みの母親との対面とかといえば少女漫画「こどものおもちゃ」も作品後半生みの親と対面するシーンがあった。あれも主人公が捨て子で拾われる設定だった。

2011-04-01 05:14:15
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もう一つは主人公が高校生になった第二部(五巻~)に書かれた不良な先輩アカリの書かれ方である。この先輩、リンの幼なじみで彼氏、にはるはずだったコウキに半ば脅しで付き合わせるわ、リンを陰から虐めるわで典型的悪者である。

2011-04-01 05:18:46
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こちらは感情移入する先がおっさんではなくリンだが、こちらもリンとしてはさっぱり先輩のことが理解できない。憎んだり嫌ったりする(このあたりリンの感情はかなり男性的と言えるかもしれない)。このあたりも読んでる人間が男であってもすごく理解しやすい。

2011-04-01 05:20:45
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ただ、その両者について言えることだが、その後の展開が非常にすばらしかった。こういった、特に前者のような生みの親との対面、というのを上手く表現するのは難しい。こどちゃでは単に一度あったきりでその後は描写されなかったし言及もほとんどなかった。また、仲直りした的な展開でもすごく表現が

2011-04-01 05:22:59
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(続き)難しく、読者がなんでそんな簡単に許せるんだよ!とかそんないい人ならなんで子供捨てるんだよ!的な話も多かった。それに対してうさぎドロップでは身勝手で自分かわいい母親をそのままに、リンと復縁していく姿を書いた。その描写がすごく自然で、非常に心打たれた。

2011-04-01 05:25:22
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また、そんなリンや母親を理解できない四十路(十年後なので主人公は四十歳)のおっさんの心も非常によくわかった。男としては、やっぱり許せないと思う。このあたりの考え方が違うのはやはり男と女の考え方何ではないかと思う。

2011-04-01 05:27:56
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先ほど危ういと書いた二人目の人であるアカリ先輩はその後も妊娠したといって金をふんだくろうとするわとひどい人間なのだが、リンと話をする上で彼女を理解する土台がきちんと作られ、自然と彼女というキャラクターを理解する下地が作られる。

2011-04-01 05:30:55