ちょっとだけ ＆ 月の話

ひつじ(ひっつん) @mogumogu_1260

#ちょっとだけ 250 先生が好きって高校生らしいじゃん そしていつか同窓会で、笑って話せたらいいな 『私ね、村上先生のことが好きだったの』って 「月ーそろそろ準備始めんでー」 『はーい』

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#ちょっとだけ 251 薄いピンクのドレスに身を包む これで見た目も心もジュリエットになるの 鏡をみて深呼吸をする 『できる…私はできる』 「なに1人で言ってねんw」 『え？あっ！村上先生』 今は少し会いたくなかったかも…

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#ちょっとだけ 252 「似合ってるやん！ドレス…じゃあ頑張ってな」 そんなこと言うから… 『先生！！』 「なんや？」 『私は…私は先生のつらい気持ちなんかやっぱり返します！』 「え…あっ！そうか…」

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#ちょっとだけ 253 『その代わりに私の楽しい気持ちを差し上げます！私のこの今、楽しい気持ちを差し上げるのでずっとずっと太陽でいてください…みんなの』 「なんやそれ…w でも森野の楽しい気持ち全部もらったらパンクしそうやなぁ…だから半分こなっ」 『…っはい』

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#ちょっとだけ 254 「ほな、客席から見てんで〜」 手をヒラヒラさせて出ていく先生 『好きです…もうどうしようもないほど』 言葉に出さずにいられなかった もう抜け出せないよ

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#ちょっとだけ 255 ぼーっとしていると、ロミオが現れた 「月！もう始まるで！よし、頑張ろな」 『うん、亮！ 今までありがとう』 「なんやw こちらこそありがとう」 私たちの舞台がはじまる 「さぁ行くで！！」

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#ちょっとだけ 256 …… 舞台はトラブル一つなく終わった 歌もセリフ完璧 涙だって流せた 『できた！できたよ…亮ー！』 「ほんま！今までで1番よかったんやない？！」 『よかった…』 クラスメイトの子たちも達成感に溢れた顔をしている

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#ちょっとだけ 257 「みんな…ありがとう」 『ありがとう』 拍手がおこる よかった…みんなとできてよかった あの日、村上先生に主役に指名されて断らなくてよかった あの時、勇気を出して歌ってよかった 自分の壁を打ち破れてよかった

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#ちょっとだけ 258 「村上先生は？」 『どこだろ…』 カーテンの方をみると村上先生が手を叩いてる笑ってた 「おい！みんな！ようがんばったなぁ！」 先生の目には少し涙も浮かんでる 「主役の2人をはじめ、ホンマにみんなようやった！！」

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#ちょっとだけ 259 私はしおりさんと同じくらいのいいジュリエットができてましたか？ すこしはあなたを感動させられましたか？ すこしはしおりさんのことを忘れられましたか？ 「せや！森野、渋谷先生が呼んでたで！行っておいで」 なんだろ…

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#ちょっとだけ 260 『はい』 先生に言われたとおり、体育館の横に行くと 『え？』 渋谷先生と 「こんにちは」 この前、村上先生と腕を組んでた女性が立っていた

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#ちょっとだけ 261 『え…こんにちは』 「びっくりしたやろ？これはヒナに秘密やで」 『あ…え？』 意味がわからない… 「こいつは俺の彼女やw ヒナからこの前借りられてん」 『どういうことですか？』

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#ちょっとだけ 262 「なんやろなぁw ヒナはお前を諦めさせようとしてると思う…お前のために そしてヒナのために」 『なにそれ…』 「あのな、今から言うこと聞き流しても、どうとってもいい」 『はい』 「ヒナのことを変えてくれ…ヒナのことを好きなままでいてくれ」

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#ちょっとだけ 263 それだけ言って、彼女さんと歩いて言った どういうこと…？ ねぇ…先生 私は先生のことを好きなままでいいですか？

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#ちょっとだけ 264 …… 季節はめぐり、みんなは3年になった 錦戸と森野は同じクラスで、すばるが担任 「ほんま…なんで俺が担任やんねん…」 文句ばっか言ってるけど、なんだかんだ楽しそう 受験生を相手することになったので去年より忙しい

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#ちょっとだけ 265 なのに…気になるのは森野のことばっか 「お前気づいてへんかもしれへんけど、ヒナは森野のこと好きになってんで」 すばるの言葉が胸にささる べつに好きなんかやない 相手は生徒やで… すこし情がわいただけ

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#ちょっとだけ 266 何度も自分に言い聞かせるけど、 その分だけ、森野のことを考えてしまって "好き"という言葉が浮かぶ しおりのことが好きで好きで堪らなかった時とは違う"好き"の感じ

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#ちょっとだけ 267 夏の終わりが見えてきたある日 『村上先生！』 森野が放課後、職員室にやってきた 「なんや？」 『ちょっといいですか？』 「あぁ…上行こうか？」 『はい』 ふたりきりの教室、いつぶりだろうか？ 「どうしたん？」

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#ちょっとだけ 268 森野は生徒…生徒 『先生に一番に聞いてもらいたいことがあって…』 「ん？」 森野はスカートの裾を強く掴んで、俺の目をはっきり見て 『私、ミュージカルやりたいです』 と言った 「え？」

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#ちょっとだけ 269 『私、大学には行かずに劇団に入ります』 森野は決意に満ちた表情で俺のことをみる 「え…あ…」 森野の気迫に負けてなんにも言い出せない 『って勝手にオーディション受けてきたんです！そしたらほらっ！』

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#ちょっとだけ 270 ジャジャーンと下手くそな効果音をつけて、1枚の紙を俺の前に持ってきた 『合格したんです！ほらっ！』 その紙には俺も知ってるくらいの有名な劇団の名前と合格という文字がのっている

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#ちょっとだけ 271 『先生に1番はじめに言いたかったんです！先生が見つけてくれた夢だから…今から両親を説得してきます 手ごわいと思うけど…もう大丈夫です』 「森野…」 『え…』

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#ちょっとだけ 272 俺は森野を抱きしめてた 「今だけ、先生やめさせて」 『は…い』 なんでこんなことをしてしまったのかはもうわかる 俺は森野月が"好き"なんや

ひつじ(ひっつん) @mogumogu_1260

#ちょっとだけ 273 …… 季節はまためぐり 劇団へついに出発する日 両親をどうにか説得し、ここまでやってきた そしてあの日から村上先生とは関わってない あれはなんだったんだろう もやもやして、もっともっと先生が欲しくなって、わがままになるから こんな自分が嫌

ひつじ(ひっつん) @mogumogu_1260

#ちょっとだけ 274 今は"夢"のことだけ考えていればいいの って自分を騙す 一瞬、先生と目があった気がしたけど卒業式もすぐ帰った 見送りは誰にも頼まなかった だってこのお別れは悲しいものじゃないし、涙なんて似合わないでしょ