創作鯖SS『反英雄譚 赫奕せし牛頭』序章

自作サーヴァント、ラビリンスのアヴェンジャーのSS。完結は未定。
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水ようかん @mzyukn_0809

『反英雄譚 赫奕せし牛頭』 設定については以下の通り twitter.com/mzyukn_0809/st…

2017-12-17 01:43:50
水ようかん @mzyukn_0809

ほいよっと予告通り創作鯖の設定開陳ですよっと どこのカルデアにもいて好かれてるとある鯖をオルタ化というか本来の姿に戻してあげてみた pic.twitter.com/e7CLGVPahf

2017-12-14 00:48:55
水ようかん @mzyukn_0809

*** 僕は動揺を隠せなかった。 天衝くように伸びた二本の黒角、人智を凌駕する巨躯、雄々しく猛々しく隆起する全身の筋肉、携えられた戦斧、どれも僕がオケアノスで見た"彼"の特徴に確かに合致している。

2017-12-17 01:44:42
水ようかん @mzyukn_0809

だが、召喚に応じ僕の前に現れたそれは、"彼"でありながら同時に"彼"ではなかった。 「ふむ、貴様は……純血のようだな。ならばよかろう、**は貴様に仕え、祝福されざる愚物を排除しおおせよう」

2017-12-17 01:45:37
水ようかん @mzyukn_0809

カルデアにて命じられ、赴いた第三特異点オケアノス。僕はそこで数多の英霊と出会い、闘い、生還した。その英霊の中に、自身の生前の行いを悔い、守るべき誇りに殉じた人ならざる者がいた。

2017-12-17 01:46:30
水ようかん @mzyukn_0809

名を、アステリオス。海神ポセイドンによって雄牛に発情するよう呪われたミノス王の妃パシパエと、雄牛が交わって生まれた、牛頭人体の怪物である。名の意味は星、雷光。それに違わぬ眩く激しい第二の生き様は、未だ僕の脳裏にはっきりと残っている。

2017-12-17 01:46:46
水ようかん @mzyukn_0809

特異点での記憶が残っていなくてもいい、傍にい続けて、彼が生涯閉じ込められた迷宮からは見ることができなかったものを、一緒に見よう。そう思って召喚し、成功した、そのはずだった。

2017-12-17 01:47:10
水ようかん @mzyukn_0809

敵意があるというわけではない。ただ、彼は召喚されたそのまま、陣の真ん中に直立している。そして僕を一瞥し、主従契約に同意した。それだけだ。

2017-12-17 01:47:42
水ようかん @mzyukn_0809

「どうした、マスター? **の姿など、子供の頃の寝物語にでも聞かされているだろう。何をそこまで狼狽える必要がある? はっ、さては、実際に姿を見て怖気づいたというところか。無理もあるまい。**の危険性は、義父上殿が憂いて島に幽閉したほどだ。

2017-12-17 01:48:51
水ようかん @mzyukn_0809

しかし案ずるなマスター。純血である限り、**は貴様に危害を加えるつもりはない」 オケアノスで出会った"彼"は、自らの残虐性を否定し、人愛に触れて拙いながらもそれに報いた。意思疎通が得意というわけではなかったが、それはバーサーカーというクラスによる狂化が原因であったことは疑いない。

2017-12-17 01:49:30
水ようかん @mzyukn_0809

僕の前に立つ怪物は、僕の目に間違いがなければ、パラメーターこそ大差ないものの、瞠目に値するステータスを表示させていた。

2017-12-17 01:56:20
水ようかん @mzyukn_0809

「そうだ、まだ名を名乗っていなかったな。見ての通り**はラビリンスのアヴェンジャー、『ミノタウロス』だ」

2017-12-17 01:56:47
水ようかん @mzyukn_0809

アステリオスという名は、生前の蛮性を擲ち人として生きた証だ。しかし目の前の彼はミノタウロスと名乗った。つまり、迷宮での行いを肯定し、怪物としての自身を受け容れているということだ。

2017-12-17 01:57:10
水ようかん @mzyukn_0809

ミノタウロス――。ダイダロスによって造られたクレタ島の迷宮奥深くに閉じ込められ、年に七人の若者を生贄として食らった、ギリシャ神話の怪物。彼の末期は仔細を語るまでもない。勇敢な若者テセウスによって討たれたのだ。怪物として生まれ、怪物として生き、怪物として死んだのだ。

2017-12-17 01:57:38
水ようかん @mzyukn_0809

これは巨躯に反し幼く無垢な印象を与えた"彼"とは似て非なるものだ。

2017-12-17 01:58:05
水ようかん @mzyukn_0809

僕を立ち竦ませるのは、思い描いていた姿と異なることに対する驚愕だけではない。ただ彼がそこにいるという畏怖、全身に纏い漏れ出る怨嗟、それらが僕に発声すらも許さなかった。それは皮肉なことに、ミノタウロスとしての彼が、僕に稲妻か流星でも投げつけたかのようだった。

2017-12-17 01:58:34