創作鯖SS『反英雄譚 赫奕せし牛頭』1章

創作鯖SSの続き。
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水ようかん @mzyukn_0809

「いい機会だから教えてやろう、マスター。**は、ミノタウロスだ。ラビリンスに閉じ込められ、若人を陵辱し食らい、英雄に討ち滅ぼされた怪物だ。怪物は英雄に斃されるが道理。しかし、**は自らの行いを悔いることはない。何故ならば、本性が悪だからだ。

2017-12-19 01:31:46
水ようかん @mzyukn_0809

人間としての名、アステリオスならばその限りではないかもしれんが、今はミノタウロスだ。残忍無比、悪逆非道、邪智暴虐、それが形をなしたものがこの**だ。

2017-12-19 01:32:24
水ようかん @mzyukn_0809

故に、マスターが**に人としての気概を求めるというのなら、それはお門違いだ。貴様が従えているのは、野蛮な無法者なのだから。それを努忘れるな」

2017-12-19 01:32:39
水ようかん @mzyukn_0809

僕は頷くことしかできなかった。 実際、僕はミノタウロスを心のどこかで軽視していたのかもしれない。 彼はアステリオスの写し鏡、対照の存在。僕の求めるアステリオスをミノタウロスに重ね課していた、そんな傲慢をどうして否定できようか。

2017-12-19 01:33:08
水ようかん @mzyukn_0809

彼の指摘は正鵠を射ている。人として、アステリオスとしてあれと願うのは、怪物たる彼には酷なものなのだろう。そして同時に、ミノタウロス自身を否定することにも繋がる。英雄であれ反英雄であれ、サーヴァントを受け容れるのがマスターの務めだ。

2017-12-19 01:33:38
水ようかん @mzyukn_0809

「すまなかった、ミノタウロス。僕は君にアステリオスの姿を重ねてしまってたみたいだ」 「ふん、そうだろうな。物分かりのいいマスターで助かった。貴様は**を使役する。**は貴様に服する。それ以外の関係など、唾棄すべき夢幻だ」

2017-12-19 01:34:07
水ようかん @mzyukn_0809

牛の頭は特に表情を変えることもなく、僕の方を向いて歩き出す。 「さてマスター。探索に行くのだろう? どこへなりと供してやる」

2017-12-19 01:34:38
水ようかん @mzyukn_0809

ミノタウロスは僕の傍まで来ると、大きな戦斧を肩に乗せて威圧するように立つ。身長はアステリオスと同じはずなのに、その姿は幾分か大きく見えた。

2017-12-19 01:34:57