キノコバエに花粉を運ばせる花々は意外に多かった!
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論文が電子出版されました!この論文では、花粉媒介者として見過ごされがちなキノコバエ(カやブユの仲間)が5科7種もの植物で送粉者として働いていることを示しました。これらの植物の花は互いに類似していて、キノコバエへの適応が花形質の収斂をもたらしたと考えられます。 doi.org/10.1093/aob/mc… pic.twitter.com/rHTqyxnJKm
2018-01-04 16:12:40右図の植物は、A:アオキ雄花, B:アオキ雌花, C:ムラサキマユミ, D:サワダツ, E:クロツリバナ, F:マルバノキ, G:クロクモソウ, H:タケシマラン, I: コシノチャルメルソウ, J: チャルメルソウです。チャルメルソウの仲間は先行研究からキノコバエ媒であることが2004年に報告されています。
2018-01-05 18:50:52ちなみにマルバノキは千利休が愛したとされる「利休七選花」の一つ。オオヤマレンゲやナツツバキなど春・夏咲きの美しい白い花を持つ植物が選ばれる中、11月ごろに紅葉・落葉とともに赤黒い花をつけるマルバノキは特異ですね。利休さん、あなたの愛した花はキノコバエに授粉されるんですよ。 pic.twitter.com/mjA8wpR7q0
2018-01-04 16:23:24昨日もRTしましたが、大変印象深く面白い論文が公表されたので紹介します。盟友で研究室の先輩でもある川北さんとその学生望月さんの研究です。チャルメルソウに似た花が他にもたくさんあることに端を発し、5科7種がキノコバエ類に送粉を依存していることを確認しています。 academic.oup.com/aob/advance-ar…
2018-01-05 09:34:06その7種とはアオキ(ガリア科)、ムラサキマユミ、サワダツ、クロツリバナ(ニシキギ科)、マルバノキ(マンサク科)、クロクモソウ(ユキノシタ科)、タケシマラン(ユリ科)でした。これらはいずれも皿型で蜜源が露出している花で、多くは黒赤色、あるいは緑色をしているという共通性があります。
2018-01-05 09:41:59各植物種について、40-700個体(!)程度の訪花昆虫を採取し、その体表花粉数や、訪花の相対頻度、雄しべや雌しべへの接触の有無から、それぞれの昆虫の送粉者(花粉媒介者)としての重要度を数値で評価しています。その結果、これらの種の送粉の53-100%をキノコバエ類が担っていると結論しています。
2018-01-05 09:56:47キノコバエの仲間の送粉者としての重要性はこれまであまり認識されてきませんでした。この研究は、キノコバエ類が湿潤な温帯林ではこれまで考えられてきた以上に重要な送粉者として働いていることを示しています。また植物側もこの昆虫に効果的に受粉されるために花を進化させてきたことが分かります。
2018-01-05 10:06:10なおチャルメルソウの仲間では、キノコバエ類への送粉に適応し、少なくとも4回皿型の花が進化したことを、ちょうど10年前に報告しています。また、実はこの論文中で、今回発表されたマルバノキをはじめ、幾つかの植物もキノコバエ媒である可能性を指摘しています。 sciencedirect.com/science/articl…
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