#お好み焼き屋浜風 黒潮&親潮編（前編）【艦これSS】

紅吏珠名 @chrishna_c2

防衛ラインを通ってお店にたどり着くまでの間、瀬戸内海の警備が手薄だったところを教えてくれたり、こうして貴重な海洋資源をお土産に持ってきていただいたりしていただけるくらいなんですよ。 なのに黒潮姉さんったら。私がスパイだなんてひどい言いがかりです。 #お好み焼き屋浜風

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「じー……」 なのに黒潮姉さん。そんな私のことをジト目で睨んでいました。 玄関口に立つ親潮姉さんも、呆れ顔で溜め息をついていました。 居間のほうからも、浦風姉さんとも谷風ともつかない溜め息が聞こえていましたし。 私、いま、接客業として間違ったことをしていましたか？ #お好み焼き屋浜風

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「黒潮さん……浜風は白……あたしの見立て通り……」 「せやな……うちの……好きな飲みモンひとつ……」 重い沈黙のあと。親潮姉さんがガッツポーズしたり、私に聞こえるかどうかの声でヒソヒソ話をしていました。 ところで姉さん。私が穿いてる下着の話をしているのでしょうか。 #お好み焼き屋浜風

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「いやいやうちら、初風みたいな怖がりでも、雪風みたいな向こう見ずでも、天津風みたいな見られたがりでも、時津風みたいな可愛がりたがりでもないよ？」 そうなんですね。 #お好み焼き屋浜風

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「ま、これが只の上官と部下の関係やったら、司令はんの前にでも突き出して即軍法会議モンやろ。せやけど仮に浜風が深海と繋がっとっても、それで悪さができる子ォやないことくらい、お姉ちゃん達わかっとるし。せやから不問や。さっきのは全部忘れてえぇ。脅かして悪かったな」 #お好み焼き屋浜風

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「せやけど。その菓子折りはともかく、そっちのごっついドラム缶はあとで没収な。こっちで明石はんトコに回して解析してもらうわ」 「あ、それはヲ級さんからの預かりもの……」 「　え　え　な　？　」 「はい……」 黒潮姉さんの、有無を言わせない凄みの笑顔でした。 #お好み焼き屋浜風

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「ほな仕切り直しや。この店で一番おすすめのメニューを二人前。大至急や」 カウンター席に座るなり、黒潮姉さんがそう言って一言。 「はい？」 緊張が解けて拍子抜けしてしまった私は、思わず訊きかえしてしまいます。 「せやからメニューの注文や。ここから先は客商売の話やで」 #お好み焼き屋浜風

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……。 「では肉玉そばを二人前、でよろしいでしょうか」 「ん。ま、それでええよ」 #お好み焼き屋浜風

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あんなやりとりがあったばかりだからでしょうか。お二人とも無言のまま。 うう。空気が重いです。 「麦茶グビー」 黒潮姉さんは注文をするなり、のほほんとした顔でおかわり自由の麦茶をグラスに注いでは飲み干してを繰り返すだけ。 #お好み焼き屋浜風

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黒潮姉さんは、私に大人のつき合い方を教えてくれようとしてくれているのでしょうか。 半人前の私には、黒潮姉さんの考えていることがわかりませんでした。 #お好み焼き屋浜風

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隣に座る親潮姉さん。ただただ佇むだけのその姿も大人の女性って感じがして、黒潮姉さんを頼れる姉さんと例えるなら、親潮姉さんは憧れの姉さんって感じが漂っています。 「むー……」 そんな親潮姉さんが、さっきから私の胸の方にばかり視線を向けていることが気になりましたが。 #お好み焼き屋浜風

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「おう親潮よくきたな。今日は自分から求めに来たのかい？　この欲しがりさんめ」 「はい。今日はこの場をお借りしてよろしくお願いします」 「いい心がけだね。では焼き上がりまでの間、谷風さんが直々に相手をしてやろう。居間にあがるがよい」 「ええ。喜んで」 #お好み焼き屋浜風

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「もみもみもみ」 「……、……」 私が厨房でお好み焼きの調理をしていて手が離せないのをいいことに、谷風は親潮姉さんの胸を延々と触り続けていました。 #お好み焼き屋浜風

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「おっぱいは一日にして成らず。定期的にマッサージを受けることで女性ホルモンを効率的に出すことが……」 谷風がもっともそうな語句を並べ立てて何か言っていますね。 #お好み焼き屋浜風

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「……はい。今日もとてもよかったです。これは今回の代金ですね」 「確かに受け取った！」 しばらくそうしていると、なんと親潮姉さんが封筒を取り出して谷風に手渡していたのです。谷風も谷風で、金一封を受け取ってわーいわーいと年甲斐もなく喜んでいました。 #お好み焼き屋浜風

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この子。白昼堂々セクハラしておいてお金まで取っているんですか。 #お好み焼き屋浜風

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「聞いておどろけ。谷風さんは、あん摩マッサージ指圧師の資格も持ってるぞ」 あん摩マッサージ指圧師……この子、普段居間でゴロゴロしている間にそんな資格の勉強を。 「なんだい、ねーちんも今夜さっそくあん摩マッサージしてやろうか？」 結構ですっ。 #お好み焼き屋浜風

紅吏珠名 @chrishna_c2

まったく谷風は最低ですね。姉さんの胸に堂々とセクハラしておきながら、お金まで取るなんて。お姉ちゃんはとても哀しいです。 「それは違いますよ。浜風」 親潮姉さん？ #お好み焼き屋浜風

紅吏珠名 @chrishna_c2

「浜風。よく覚えておきなさい。時間と労力をかけ、今日まで磨き上げてきた技術には、然るべき対価が支払われなくてはいけません。あたしはそのことを姉として、身銭を切って谷風に教えているだけに過ぎません」 #お好み焼き屋浜風

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磨き上げられた技術には、然るべき対価が支払われなくてはいけない……。 整然と筋道を立てて話す親潮姉さんの言葉に、うっかり納得してしまいそうになる私。ですが。 「この子、動機が不純なんです。女の人の胸を触りたいだけなんです。楽しんでやってるだけなんですよ」 #お好み焼き屋浜風

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「本人も楽しみながらサービスを提供することの、なにがいけないんです？」 そういう言い方をされると、何も言えなくなってしまいました。 #お好み焼き屋浜風

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「もう。黒潮姉さんも麦茶をグビグビやってないで何か言ってあげてください」 「ん？　言うて世の中ゼニやで？　谷風も遠慮せんと、もらえるモンはもらっとき？」 「おうっ！」 黒潮姉さん……。 #お好み焼き屋浜風

紅吏珠名 @chrishna_c2

姉さん達とのそんなやり取りをしながら、肝心のお好み焼きの調理が終わっていました。 「はい。おまちどおさまでした。肉玉そば二人前になります」 「いただきます」 #お好み焼き屋浜風

紅吏珠名 @chrishna_c2

親潮姉さんはマイお箸を手に上品な所作で鮮やかに切り分け、ふた口ほど食べて。 「へぇ……これが呉の故郷料理、愛する妹が作った料理の味ですか。ソースの味をアクセントに、野菜ならではの風味が効いていますね」 #お好み焼き屋浜風

紅吏珠名 @chrishna_c2

「舞鶴から移籍してきた親潮にとって、呉の料理はすべてが新鮮で新しい発見があります」 ありがとうございます。そう言っていただけると作った甲斐があります。 #お好み焼き屋浜風