#お好み焼き屋浜風 まとめ7 時津風編&ダイソン姉妹編【艦これSS】
- chrishna_c2
- 2959
- 14
- 0
- 0
■時津風編
「たのもー!」 ガラガラと元気いっぱいに引き戸を開いて現れたのは私の三つ上の姉、陽炎型十番艦・時津風でした。 「陽炎や不知火達がお勧めしてたからやってきたよ」 #お好み焼き屋浜風
2016-04-02 16:29:11「まずは、これは時津風お姉ちゃんからお祝いの品だよ。受け取りなさい」 そう言って問答無用で手渡されたのは、ずっしりとした一箱のダンボール箱でした。 「こんな素敵なものを。ありがとうございます。あとでじっくり中を開けさせていただきますね」 #お好み焼き屋浜風
2016-04-02 16:29:47「どう? 浜風も少しは慣れた?」 はい? 慣れた、とは? お好み焼き屋としての練度のことでしょうか? 「あー違う違う。艦娘としてだよ」 そうですね……。 #お好み焼き屋浜風
2016-04-02 16:30:18「お店のかたわら、身体が鈍らない程度に演習に参加させていただいたり、潮流の関係で普段は立ち入れない限定海域と呼ばれる海域では、谷風とともに護衛艦の任をいただいたり、でしょうか」 「そっかー。ぼちぼちやってるんだね」 #お好み焼き屋浜風
2016-04-02 16:31:10「時津風は最近着任したばかりだけどさー。しれぇが着任早々艦隊の旗艦にしてくれたと思ったら、改造された後に装備全部引っぺがされた」 あー……私も着任したての頃、まったく同じ目に遭わされたことを思い出します。 #お好み焼き屋浜風
2016-04-02 20:07:22「お好み焼き屋さんとしてはどんなもん?」 「おかげさまで、ある程度お店も軌道に乗ることができました。 鎮守府で司令官の補佐を務める陽炎姉さん、不知火姉さん、黒潮姉さんが提督に口添えしてくださったこともあって、こうしてお店を続けていられる部分もありますし」 #お好み焼き屋浜風
2016-04-02 16:33:26「それを聞いて時津風お姉ちゃんは安心したよ。これからもがんばりなさい」 「は、はぁ……」 谷風と同じ直感型で思った事をそのまま言うタイプだからなのか、話す内容が二転三転と変わり、時々意味を取り違えて聞いてしまうこともあるみたいです。 でも……いい人みたい。 #お好み焼き屋浜風
2016-04-02 16:34:25そんないい人であるはずの彼女のことを、何故か時津風『姉さん』と呼ぶ気がまったくしないのは、彼女自身の人徳のなせる業でしょうか。 #お好み焼き屋浜風
2016-04-02 16:34:44「じゃーん。ここからが本題だ。これが任務中にいつも食べる、時津風用の戦闘糧食だよ」 「……。そのマヨネーズのボトルがですか?」 「そう。マヨネーズは美味しいよ、どんな食べ物にも合うし」 あ、それはよくわかります。 #お好み焼き屋浜風
2016-04-02 16:35:19マヨネーズとは、地中海地方が原産とされる調味料のことで、油と酢を卵黄のエマルション効果によって混ぜ合わせたもの。一般的に植物油65%、食酢13%、調味香辛料5%で構成されていて、五味(甘味、酸味、塩味、苦味、旨味)がバランスよく配合されている万能調味料です。 #お好み焼き屋浜風
2016-04-02 16:35:53たんぱく質がわずか1.5%と少なく完全栄養食とは言えないものの、カロリーが高く、チョコレートに並ぶ非常食として登山者の必須アイテム。サラダやサンドイッチなど様々な料理に使われます。お好み焼きにかけても、まろやかな風味になるので欠かせないアイテムと言えます。 #お好み焼き屋浜風
2016-04-02 16:37:37――そういえば、マヨネーズはカラスの大好物でもありましたね。 カラス天狗のような装いと雰囲気を持つ時津風姉さんと手にするマヨネーズには、なんらかの関係があるのでしょうか? #お好み焼き屋浜風
2016-04-02 16:38:39「ただマヨネーズにはマスキング効果があって、量を入れすぎてしまうと素材本来の旨味が薄まってしまうので……」 「ばかものー! 時津風は純粋にマヨ本来の素材の味を楽しみたいの」 調味料本来の素材の味とはいったい。 #お好み焼き屋浜風
2016-04-02 16:39:45そんな哲学めいた何かを語る陽炎型十番目の姉。 ただひたすらにマヨネーズの味をこよなく愛する。そんな時津風みたいなタイプを、世間一般ではマヨラーというのでしょう。 #お好み焼き屋浜風
2016-04-02 16:40:44マヨネーズといえば卵をふんだんに使用しているわけで、当然コレステロールの心配があるわけですが。 材料に植物油を使用していることによって、近年マヨネーズを摂り続けた場合の体内コレステロール値はむしろ下がっているという調査結果もあるようですし、まぁそこは。 #お好み焼き屋浜風
2016-04-02 16:41:16「ていうかさ。お好み焼きってさ、マヨネーズを美味しく食べるためのおつまみみたいな物じゃん?」 「……それを浦風姉さんの前でだけは言わないでくださいね?」 「なんで? 浦風は時津風の妹だよ?」 どうしてもです。理由はあえて割愛しますが。 #お好み焼き屋浜風
2016-04-02 16:41:54「ふーん……まぁいいや。とりあえず美味しいは正義だよ。早く焼きあがれ」 時津風は納得できないといった顔をして、お好み焼きが焼きあがるまでの間、ぺろりと舌を這わせ、携帯ゼリーを飲むような仕草でマヨネーズのチューブをちゅーちゅーと吸っていました。 #お好み焼き屋浜風
2016-04-02 16:43:54「お待ちどうさま。キャベツマシマシ麺ダブルです」 「おぉー! 食べていい? 食べていい?」 「はいどうぞ」 右手に割箸を、左手にヘラを構え、湯気の立ちのぼるお好み焼きの上から持参したマヨネーズをなみなみと振りかけ、ぐちゃぐちゃになるまでかき混ぜていました。 #お好み焼き屋浜風
2016-04-02 16:45:20ほんのさっきまでできたてのお好み焼きだった物は、時津風の手によって瞬く間にマヨネーズのほどよく絡みあった、名状しがたい物体へと近代化改修されてしまいました。 「ねぇ浜風知ってる? これが奥義・天地返しっていうんだよ?」 ジ○リアンですか貴女は。 #お好み焼き屋浜風
2016-04-02 16:47:25「浜風ぇ。いまお客さんきちょるん? 手伝おうか?」 私たちのそんなやり取りを聞きつけたのか、居間から現れたのは、もう店の雰囲気にもすっかり馴染み、お好み焼き屋浜風の一員になった浦風姉さんです。 「あ、姉さん。いま時津風がお店に……」 #お好み焼き屋浜風
2016-04-02 16:49:39「浦風ー! 逢いたかったよー! 特別に、この時津風お姉ちゃんにめいっぱい甘えることを許す」 「なんじゃー!?」 浦風姉さんが店先に現れた途端、時津風は有無を言わさず姉さんに向かって腰の入ったタックルをぶちかましていました。 #お好み焼き屋浜風
2016-04-02 16:50:24ちなみにさっき焼き上げたばかりのお好み焼きはすでに完食済です。 「むしろ甘えてこなかったら許さん。問答無用で抱きつきの刑に処す」 全力の不意打ちタックルを受けスタン状態となった浦風姉さんの身体を抱きしめながら、それを言う時津風でした。 #お好み焼き屋浜風
2016-04-02 16:51:45「妹のくせに、こんなに豊かなおっぱいとはけしからん。おしおきじゃ」 「ひぃぃ……そ、そうじゃ、演習の時間じゃけぇそろそろ行くけ。帰りは明日かもしれんし明後日かも明々後日かもしれん。浜風、店のこたぁ頼んだよ」 浦風姉さんは逃げるようにその場を離れていきました。 #お好み焼き屋浜風
2016-04-02 16:54:19「もう。どうして時津風のことを避けるかなあの子はー! 今度あったら徹底的に躾けてあげなきゃ」 妹を躾けるのが、お姉ちゃんの務めですー。と締めくくる時津風。 ……さすがの浦風姉さんでも、苦手なものがあるんですね。 #お好み焼き屋浜風
2016-04-02 16:55:05