ライフ・アフター・デス ＃３

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……な？」タキは二人を振り返り、挑戦的な笑顔を見せた。「これがピザタキの本業……」ピボッ。再びセッションリクエスト。タキは舌打ちした。「忙しくてしょうがねえ……ああ」今度のIPは正常。コトブキであろう。タキは問題解決力を見せつけるようにキータイプする。「丁度いい　今繋がった」　24

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『何がですか？』コトブキが問うた。タキは多少勿体つけた。「決まってる。ニンジャスレイヤー＝サンが今から向かう。いいか、合流して、ヤツにIRCを同期するように伝えろ。面倒くさくてしょうがねえ」『エッ！見つかったのですか！スゴイ！さすがタキ＝サンです！』「だろ！そうだろう！」　25

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タキはテンションを上げた。「だが、いいか、騒ぎを起こすなよ。過冬は面倒だぞ。ソウカイヤとも対立関係で……」『大丈夫です、現地に協力者も見つけました』「協力者？」『急いでニンジャスレイヤー＝サンと合流しますね！』音声通信が終了し、片手をあげた女性の汎用アイコン素材が送られてきた。26

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「……とまあ、こんな寸法よ」タキは言った。「結局アンタら、どうすんだ？」「直接向かう」フジキドは繰り返した。彼は厳かに付け加えた。「……あまりいい予感はしない」「ニンジャ第六感ッスか」シキベが尋ねた。「探偵の勘だ」フジキドは答えた。　27

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ヒートリー、コマキータネー……ミスージノ、イトニー……。ロビー備え付けの液晶モニタには、ネオサイタマものの美麗なオイラン観光ムービー動画が映し出されている。「チッ。嫌いなんだよ。この歌」ブルハウンドが舌打ちした。「歌がニューロンに沁みついちまう。ホテルの従業員どもは平気なのか」29

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「アアッ！？ナニミテッゾオラー！」「アイエエエエ！」突発的に宿泊客に凄んでみせたのはラピッドファイアである。ブルハウンドが咎める。「いちいち非ニンジャのクズどもを威嚇するな。面倒くせえ！」それからアイアングリルを見る。「テメェはまたそのスプレーかよ！クソが！」「ウン」「クソ！」30

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アイアングリルと呼ばれた巨漢ニンジャはメンポの専用穴にスプレー缶のノズルを挿し込み、中身を吸引した。プシューッ！「アーイイー……」缶には「生クリーム」「確かな脂肪」と書かれている。「最悪だぜ」ブルハウンドが唸った。アイアングリルは震えた。「ウー、僕は、がまんがきかないんだよ」　31

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「雪兎」のロビーのガラス・チャブを囲んでソファに座り、苛立たし気に時を過ごしている彼ら三人は、みな、過冬の末端ニンジャである。チャブにはウォートカの瓶や空の生クリーム缶、ピロシキ・スシの食い散らかしなどが散乱していた。　32

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粗暴なニンジャがロビーを占拠し、ロシアンクローンヤクザ達が整列直立している。通常ならば商売あがったりと言えるが、ホテルマンは素知らぬ顔だ。このホテル自体が過冬の所有物であり、従業員もみな広義の構成員である。「シャークイーター＝サンから返事が来ねえ」ラピッドファイアが言った。　33

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「野郎、制裁だな。ケジメだ」ブルハウンドが暗く言った。「間違いねえ」ラピッドファイアが同意した。「使えねえカスが退場して、その分俺らのシノギは増える。カカカカ」「あの野郎何やってやがる。強盗しやすい店でも途中にあったか」「どっかのニンジャに殺されたんじゃねえか」「あり得るな！」34

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「例の……アレだ」「ニンジャスレイヤー」「ホワイトアウト＝サンもレックメイカー＝サンもいいザマだぜ」「おおかた潰し合ってるスキを突かれたんだろうよ……」「俺はそんなヘマはしねえ」「殺られるとしたらテメェが最初だな」「ウー、クリーム、クリーム」　35

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プシュー！さらにひと缶。ブルハウンドはしかめ面で見た。「それより……例のガキだ」ラピッドファイアが囁いた。「知ってるか」「アア？」「ガキの持ってる力……」「何が」「金塊やエメツをよ……」「お前、おかしな事を考えるなよ」ブルハウンドが顔をしかめた。「チクってやるぜ、俺が」　36

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ラピッドファイアが舌打ちした。「マジメ野郎。バレやしねえよ……シバキあげて存分に吐き出させてよ……大人しくさせときゃバレやしねえ」「僕は可愛い女の子が、だあい好き」アイアングリルが大声をあげた。そして生クリーム缶を投げ捨てた。「僕は優しいよ」彼の目は不気味な熱を秘めている。　37

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「ダメだ」ブルハウンドが睨んだ。「あのガキはわざわざザルニーツァの奴が移送してきた。俺はあのクソ女を敵に回したくはねえ」「チッ……」ラピッドファイアはザルニーツァを思い浮かべ、クナイを弄んだ。「ザルニーツァめ……ムカつくぜ……いつかファックしてやる……！」　38

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ガゴーッ。そのとき、自動ドアが開き、外の冷たい空気が流れ込んできた。「イラッシャイマセ。こちらにお名前を……」ホテルマンが宿泊申込書を手に歩み寄り、オジギしかけて、凍り付いた。「……セ……？」「雪兎だな。ここは」赤黒のニンジャは申込書を掴み取った。　39

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「エッ……ア……ナン……ナンデ？」ホテルマンはむなしく失禁した。赤黒のニンジャは申込書に指を突き立てた。黒い炎が紙を焼き、邪悪なショドーじみて、恐るべき名を刻み込んだ。「ニンジャスレイヤー」。そう書かれていた。　40

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「何だ」「テメェ」「ウーッ……！」ロビーにたむろしていた三人のニンジャは殺意を身にまとい、ソファーから腰を浮かせた。ニンジャスレイヤーはジゴク・ホテルへの死神のチェックインじみて、邪悪なショドーを突き出し、焼き捨てた。そしてアイサツした。「ドーモ。ニンジャスレイヤーです」41

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【続く】