稲川淳二のつぶやき怪談　2018年1月21日投稿分

稲川淳二 @Junji_Inagawa

もう、彼は怖くなってしまって――。 彼女のことまで何だか気持ち悪く思えてきた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

それから、仕事が忙しいのをいいことに、 しばらく連絡をとらなかった。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そんなことがあって、何日かして――。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

同僚の女の子が会社で、 「ねえ、この前さ、新宿で会って一緒に酒飲んだ友達いたでしょ？

稲川淳二 @Junji_Inagawa

いうから、 「うん」 答えると、 「彼女悩んでるのよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

彼女の部屋に人形があって、 いつも男の子を連れてくるたびに人形が邪魔をして、悪さをするんだって」

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ていうから、どきっとした。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

あのとき、 「この部屋に来たのはあなたがはじめて」

稲川淳二 @Junji_Inagawa

といったのに――。 いつもってことは、他にも男がいたんだと腹がたった。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

とぼけて、 「で、どしたの？それが」

稲川淳二 @Junji_Inagawa

聞くと、 「それが、前の彼氏が人形に腕を噛まれて大騒ぎして、 そんな人形捨てちゃえといったけど、やっぱり思い入れがあるから捨てられなくて。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

だから今度の新しい彼氏もね、 呼んだらきっと悪さして逃げられるんじゃないかと心配なんだって」 っていう。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

それ聞いて、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

俺はまだ別れてないぞ。 もう新しい彼をつくったのか〉、 と、ぐっと腹が立ってきたわけですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ふざけんじゃねえと思って。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

でもごく普通の顔して、 「そう、で、どんな人形なの？その人形」

稲川淳二 @Junji_Inagawa

聞くと、 「死んだお姉さんの形見なんだって。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

お姉さんが高校のとき、人形劇のサークルに入っていて、 どこかからもらってきたんだっていってた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

とても大事にしていて、亡くなる少し前に、お姉さんからもらったのだから、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

お姉さんの身替りなんじゃないかな。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

田舎に置いてあったのを持ってきて、 部屋に飾って、話し相手にしているっていってた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

その人形の顔が、お姉さんに似ているんだって。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

お姉さん、お人形さんみたいに前髪そろえてたっていうし」 っていうもんだから、ついつい彼も、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「でもその人形持っていないほうがいいな。 それは神社かお寺に預けて供養したほうがいいよ」

稲川淳二 @Junji_Inagawa

っていっちゃった。