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「次にこんなことをしたら…僕…出てく…君のこと…もう知らない…」 おばあさまの遺訓に逆らったりしたら、きっと寄宿学校に戻れないだろう。誰か置いてくれる家はあるだろうか。 分からない。異種おねはけろっとした顔をしている。
2018-02-13 01:02:32書斎に鍵をかけて眠る。毛布にくるまって。 また痛み。何度も。体中に。無我夢中でふりほどこうとするが、朦朧として果たせない。 高熱が出る。
2018-02-13 01:03:09ショタが目覚めると、寝間着はぼろぼろに破れて、全身に噛み痕がある。 震えがおさまらない。熱も引かない。ここにいてはいけない気がする。
2018-02-13 01:04:02扉まであと少しというところで、天井から逆さになった異種おねがおりてくる。 食べられる。と思う。へたりこむ。その目の前にハモニカが落ちる。 「…ハ、ハモニカ?吹いて欲しいの?」 異種おねは歌う。
2018-02-13 01:06:11「…君って…へん」 ショタはでも演奏する。いつもの曲。異種おねは大喜び。 くねりのたうち。巻き付いて、また服をむしりだす。 「やめてってば…それは…痛っ…いっ…えっ?」
2018-02-13 01:07:17異種おねの瞳孔が縦に狭まっている。 息が荒い。ショタの服を贈物の包み紙を裂くようにはぎとると、床に押し倒す。噛み痕をねぶり、傷口を開いて血を啜り、味を確かめる。 「…ぎっ…やっ…」
2018-02-13 01:08:34“わたしの恋の歌を、あなたは受け取った。そして送り返した” 「こいのうた…?恋の…」 “あなたはわたしのもの…あなたの血と、あなたの肉と…あなたのすべて” 「まって、そうじゃない!僕は君を…幸せに」 “あなたをもらって、わたしはしあわせになる”
2018-02-13 01:10:47とある寄宿学校の生徒が、長期休みをもらって、友達の住む屋敷に向かっていた。 すこし急いでいた。相手はどこか抜けたところのある、優しい、おとぎ話の絵本に出てくる王子様やお姫様のような性質の、 ありていに言えばお人よしの子だった。富豪の祖母の支援で学校通っていたが、ある日去った。
2018-02-13 01:13:12もっと話しておけばよかったと思った。 少年は、その友達が好きだった。好きだという気持ちをうまく伝えられなかった。 そういうのは苦手だった。手紙もあまり得意ではないが、沢山書いた。 友達に何かおかしなことが起きているのは分かっていた。 そもそも未成年がひとりで人里離れた屋敷に住むなど。
2018-02-13 01:14:34少年は馬車を降りて、地図を頼りに歩いた。 蛇のこと、温室のこと、小鳥のこと、腑に落ちないことが多すぎた。 「無事で…どうか無事で」 急ぐ。やがて門にたどり着く。荒れ果てた広い庭の奥にきらめく温室と古びた屋敷がある。
2018-02-13 01:16:22腕には華奢な裸身を抱いている。絵画にある乙女をさらう悪龍のように。 少年は叫ぼうとした。だが怪物は勝ち誇ったように歌うと、大きくはばたいて、はるか高みへ舞い上がると、 そのまま飛んで行った。恐らくは故郷の山へと。
2018-02-13 01:19:02