蟹味噌文学　2018年2月分

ぞろ目の八ことマスケッター（旧1d6） @hm1d6

昔良く遊んだ小高い山があった。大人になってから県外に引っ越し、数年後に再訪すると更地になっていた。調べたら、湿地の埋立のために削ったあと、計画自体が中止になったらしい。住宅地となったそこで、無邪気に遊ぶ子供達を見て踵を返した。アスファルトの響きがした。 #蟹味噌文学

ぞろ目の八ことマスケッター（旧1d6） @hm1d6

古いパソコンを捨てられないでいる。昔、夢中になって様々な機能を試した。今でも役にたっている知識もある。ようやく覚悟が決まった。量販店に電話してきて貰い、処分を頼むと店員が私に向かって首を捻った。 「こんな旧式パソコンに本物同然の立体AIがついてるなんてなあ！」　 #蟹味噌文学

ぞろ目の八ことマスケッター（旧1d6） @hm1d6

まとまった雨が降りしきるのは何ヵ月ぶりだろう。一つ前の嵐は骨身に沁みる冷たさだった。今回はどこか生ぬるい。その気だるい空気を窓ガラス越しに感じながら、傍らで静かに寝息をたてる恋人の髪をそっと撫でた。とたんに静電気が起きて彼女は跳ね起き、思い切りひっぱたかれた。 #蟹味噌文学