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なぜ私たちは電力会社を選べないのか

@Hiro_Miyauchi さんによる電力会社の地域独占についての解説。顧客が電力会社を選べない仕組みは、顧客を保護するためのもの。
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宮内洋宜 @Hiro_Miyauchi

なぜ、電力会社は地域独占なのでしょうか。つまり、どうして私たちは電力会社を選べないのでしょうか。それは、私たちがそれと引き換えに「電気を好きなだけ使える」権利を貰っているからです。かわりに電力会社が負うのは供給責任。これは電気事業法18条に明記してあります。

2011-04-04 22:07:02
宮内洋宜 @Hiro_Miyauchi

電気事業法の基本的な発想は需要家の保護です。ライフラインの名の通り、大変重要な電気を供給者の都合で止められては困ります。だから、電気事業者には供給責任を課してあり、求めに応じて電気を売らなければならないのです。

2011-04-04 22:09:55
宮内洋宜 @Hiro_Miyauchi

電気事業者の供給責任は供給地域の内側にあれば必ず発生します。どんな山奥でも、湖の真ん中でも。ただし、送電線を引くための費用は需要家に応分の負担をもとめる事ができます。でも、理論上は電気もこない田舎、というのはあり得ないのです。

2011-04-04 22:12:41
宮内洋宜 @Hiro_Miyauchi

電力会社は供給責任を果たすために発電所を作り、送電線を引き、配電網を構築するのです。日本の電力会社はこのインフラ投資を潤沢に行って来たので、日本の電力品質は世界一と言われ、ほとんど停電のない電力システムを実現して来ました。

2011-04-04 22:15:26
宮内洋宜 @Hiro_Miyauchi

世界最高の電力品質を確保するためのインフラ投資は莫大になります。これを担保するため、電力料金は総括原価方式で計算されます。かかったコストに適正な利益をのせて料金を決められる仕組みです。つまり、必ず儲かるのです。さもなくば投資を抑えてしまい、需要家の不利益に繋がるとされています。

2011-04-04 22:22:14
宮内洋宜 @Hiro_Miyauchi

総括原価方式があるということは、ともすれば過剰投資の飽満経営になる危険性をはらんでいます。このため、市場原理を活用した競争の導入が検討されたのです。これが電力自由化の議論でした。自由化、というのは電力事業が規制事業であったことに対する言葉です。一種の規制緩和だったのです。

2011-04-04 22:25:26
宮内洋宜 @Hiro_Miyauchi

数回に渡る拡大を経て、大口需要家を中心に電力自由化が進み、販売電力量の過半が自由化対象の需要、特定規模需要となりました。ちなみに、家庭を始めとする小さな需要家は依然として規制部門のままです。これも本来は需要家保護のためです。沢山事業者がいて、複雑な料金プランがあると混乱するでしょ

2011-04-04 22:30:56
宮内洋宜 @Hiro_Miyauchi

電力事業の料金は当然認可性です。妥当である限り経済産業大臣はこれを認可しなくてはいけませんが、事業者が好き勝手に決められるわけではありません。ただし、これは規制部門に限った話で、特定規模需要とは個別交渉による料金設定が可能です。当然、顧客獲得のための販売競争もあるわけです。

2011-04-04 22:34:02
宮内洋宜 @Hiro_Miyauchi

電力自由化によって、電力料金は確かに下がりました。ほんの少しだけ。このあたりは興味があれば調べてみてください。なお、現在でもほとんどの需要に対して皆様がよくご存知の電力会社が電力を供給している状況は変わっていません。その理由もここでは割愛します。

2011-04-04 22:39:14
宮内洋宜 @Hiro_Miyauchi

自由化部門に対しても、一部の例外を除いて電力会社が最終の供給責任を負います。同時同量が原則の受給バランスが崩れた時に面倒をみてあげるのは、やっぱり皆様お馴染みの地域の電力会社、一般電気事業者なのです。当然、この時の電気料金はとってもお高いです…

2011-04-04 22:43:54
宮内洋宜 @Hiro_Miyauchi

全面自由化、完全自由化の議論は繰り返されて来ました。でも、需要家の保護という観点から、一般電気事業者が責任を持つ形に落ち着いてきました。供給責任、安定供給という錦の御旗があったのです。おかげで、私たち需要家は(お金さえ払えば)電気を好きなだけ使えたのです。

2011-04-04 22:47:06
宮内洋宜 @Hiro_Miyauchi

計画停電は供給義務を果たしていない、との指摘があるかもしれません。ただ、電気事業法にも供給約款にも記載がありますが、社会全体に著しく不利益がある場合、例えば予告なしの大規模停電が起こる可能性がある場合などは、供給を一時的に制限することが認められているのです。

2011-04-04 22:50:04
宮内洋宜 @Hiro_Miyauchi

顧客保護の観点から電力会社には独占が認められている、というのは何となくお分かり頂けたでしょうか。そして、保護されていたのは「電気を使いたいだけ使える」という権利です。以前にもつぶやきましたが、(東日本の)今の状況はこの前提が崩れています。では、地域独占を解除すればいいのでしょうか

2011-04-04 22:55:19
宮内洋宜 @Hiro_Miyauchi

電力会社の地域独占を解除すると言うことは、需要家の保護が弱まるということです。電力自由化の反対論拠として米国で起こった大停電がよく挙げられますが、単なる脅しと片付けるのは短絡的です。自由化するなら、それだけのリスクを需要家が取らなくては行けません。義務と権利は表裏一体なのです。

2011-04-04 22:58:14
宮内洋宜 @Hiro_Miyauchi

極端な言い方をします。電力自由化を進めるなら、需要家は電力会社の庇護から自立しなくてはなりません。そうで無くても、電力会社に頼り切ることのリスク(とありがたさ)を知っておかなくてはいけません。必要なのは、排斥する事ではなく、これからどう電力会社と向き合っていくかの議論です。

2011-04-04 23:03:10
宮内洋宜 @Hiro_Miyauchi

これまで、電力会社と需要家はとことん一方通行の関係でした。需要家は使いたいように使う。電力会社はそれに合わせて供給する。自立した需要家は状況に合わせて電気を使うでしょう。そのためにはコミュニケーションが必要になります。私はそれがスマートグリッドとやらのあるべき姿な気がするのです。

2011-04-04 23:05:43
宮内洋宜 @Hiro_Miyauchi

スマートグリッドとやらで取り沙汰されるスマートメーターや太陽光発電、EVを含む蓄電池などのハードは需要家が自立するための手段であり、目的ではありません。達成するべきは表面的な「未来の電力システム」ではなく、その裏にある需給の協調、供給に(ある程度)合わせて使う資源本来の姿です。

2011-04-04 23:10:03
宮内洋宜 @Hiro_Miyauchi

(一旦ここまでにします。お付き合い頂いた方、ありがとうございます。Twitterですから、あくまで私的なつぶやきです。でも、電力やエネルギーのあり方を考えるキッカケになれば、望外の幸せです。)

2011-04-04 23:13:00
宮内洋宜 @Hiro_Miyauchi

追伸。これまでの連続ツイートはそれぞれ独立してもなんとかなるように考えてはいますが、やはり通して読んで頂ければ幸いです。で、私自身は電力自由化には賛成でも反対でもありません。だって、手段だから。必要なら進めればいい。ありき、の議論はばかげてますよ。他のことにも言えますけど…

2011-04-04 23:17:06
宮内洋宜 @Hiro_Miyauchi

とは言え各需要家が電力会社から完全に自立するのは経済的にナンセンス。頼るべきは頼り、自ら持つものは持つ。バランス感覚ですよ。ただ、太陽光発電含めた分散型電源、EV+V2H含めた蓄電池、情報提供のための通信機能を持つスマートメーター、普及の可能性は高まったと思う。

2011-04-04 23:34:10
Sam Matsumoto/松本純孝 @akatimus

@Hiro_Miyauchi 一番の問題は電力会社がかなり広範囲で独占だということなのでは?努力をしなくなる

2011-04-05 00:04:47
宮内洋宜 @Hiro_Miyauchi

@akatimus 分割すればいいというものでも無いように思います。ある程度の地域を抱えないと需給管理の難易度が上がり、かえってコスト増につながります。地域独占が問題なのではなく、全てを電力会社に頼り切る今の状況が不具合を招いているように思います。

2011-04-05 00:12:43
Sam Matsumoto/松本純孝 @akatimus

@Hiro_Miyauchi 確かにその通りだと思います。この場合、送配電を分離して、地域特性に合った発電技術を導入できるようになれば電力の地産地消が進むと思います。問題なのは、電気を作ってもそれを必要とする人に直接販売できない制度。

2011-04-05 01:30:42
宮内洋宜 @Hiro_Miyauchi

@akatimus ご要望の状況を実現するために、送配電分離(完全自由化)が必須というわけではありません。今の仕組みでも条件が合えば可能ですし、必須なのは全面自由化まででしょう。

2011-04-05 01:37:52
宮内洋宜 @Hiro_Miyauchi

エネルギーの地産地消や面的利用の仕組みを妨げているものがあるとすれば、それは電力会社の地域独占などではなく、需要家に対して過保護な今の仕組みです。料金体系や技術的な要求水準が逆風になっている現実はあります。だけど、自由化は全てを解決する魔法の手段ではありません。

2011-04-05 01:46:55
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コメント

岡一輝 @okaikki 2011年4月6日
昔のジョークに、どっかの原住民とか、戦争で侵略して来たロシアの兵隊とかが、「コレさえあればどこでも好きなだけ水が出る」って大喜びで、蛇口をたくさんお土産に持って帰った、なんてのがあったけど、うちらも電気がどんなふうに供給されているか、ほとんど理解していなかったわけで、笑えないよねえ。
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国井・久一ほぼO型です。 @kyuuiti 2011年4月7日
「本当に大事なものは眼に見えないんだよ」っていったのは星の王子さまに出てくる狐でしたね。
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フレーバー @stflaver 2011年4月7日
広島のイオンが中電じゃなくて九電から電力供給を受けていると聞いた事があるけど、あれはどういう構造なんかね?
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宮内洋宜 @Hiro_Miyauchi 2011年4月7日
ショッピングセンターの様な大きな電力需要は自由化の対象になっているので、託送という仕組みを使って別の電力会社から電気を買うことができます。できます、が、一件だけ。
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Magu1980 @Magu1980 2011年4月8日
でも、今回みたいなことでもない限りわざわざ遠くの電力会社から電気を買う理由がないよね?送電インフラが破壊される時はどこの電力会社とか関係ないしね「東電やめて北電から電力買うお!」「北海道は遠いからお前の電気代来月から2倍な」とかなるとしても遠くから買電したい人ってそんなにたくさんいるの?遠くから買電するってことは途中がやられたらアウトなわけだし
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宮内洋宜 @Hiro_Miyauchi 2011年4月9日
区域外供給は仕組みとしてはあっても、託送料だってかかりますし、メリットが出し辛いのであまり使われないのは当然ですね。隣の地域の電力会社がびっくりするぐらい安い価格を!なんてこと、あるわけないですから…
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