佐藤正美Tweet_20180216_28

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佐藤正美 @satou_masami

「重要なのは今日の文学の種類別けではない。現実の作品の持つ現実の読者である」(小林秀雄、「年末感想」)。

2018-02-17 15:13:34
佐藤正美 @satou_masami

「快刀乱麻を断つ」ごとく次々に断言してゆく様は、一見 頼もしいようにみえて、実は、対象を丁寧に観ていないのではないか。そして、ひとつの断言に対して反論(反例・反証)を立てることくらい簡単なことです。

2018-02-17 15:16:47
佐藤正美 @satou_masami

論が「真」であるかは、社会のなかで「事実」と照らして判断されるでしょう。しかし、文芸において厄介な点は、作品のなかで構成されている「思い」(あるいは、「美」)を社会のなかで具体物として探すことができないという点でしょうね。「世に問う」という形でしか作家は立つべき所がない。

2018-02-17 15:20:21
佐藤正美 @satou_masami

しかも、世間では――言い換えれば、世間という時空のなかでは――「時の流れという、われわれとは到底比較にならない批評家が、この困難を極めて徐々に殺して行く」(小林秀雄、「年末感想」)。

2018-02-17 15:23:18
佐藤正美 @satou_masami

自分の「思い」を世間のなかに たとえ切実に晒したとしても、作品に込められた「思い」は [ そして、ことばのニュアンスは ]、時の流れのなかで削られて作品のテーマが要約された巷説となる――作品を要約した「作家の思想」が流説する。「○○って、✕×である」と。

2018-02-17 15:30:08
佐藤正美 @satou_masami

たとえば、「『宣言一つ』を書いた有島武郎って、プロレタリア文学の台頭の中で自分の座標を喪って、人妻と情死した作家である」と。

2018-02-17 15:33:05
佐藤正美 @satou_masami

しかし、われわれは「社会」のなかで(他人の眼には)要約された個体でしかないということも是非がない事実でしょう。

2018-02-17 15:34:26
佐藤正美 @satou_masami

「何故に人間の捕えた理想は空しいのか。それは単なる人間精神上の戯れだからだ。何故に人間を捕えた理想は現実的なのか。自然の理法は常に人間精神より沈着だからだ。だが、誰が知ろう、お前の理想は捕えた理想か、捕えられた理想か」(小林秀雄、「年末感想」)。

2018-02-17 15:39:15
佐藤正美 @satou_masami

確かに、単なる「言葉(記号)」のやりとりは、伝言ゲームであって実益はないでしょうね。そして、伝言ゲームを基底にして語られた理想は空虚にちがいない。なぜなら、理想と自分との関係は他人事だから。

2018-02-17 15:41:33
佐藤正美 @satou_masami

紛(まが)い物のほうが [ 紛い物であるがゆえに ] 化粧上手だということもある。そして、われわれは、うっかりすると、この媚態に惹かれるのではないか。

2018-02-17 15:43:37
佐藤正美 @satou_masami

「マルクスは明瞭に且つ繊細に語っている。『人間は文字通りの政治的動物だ。単に社交的動物であるのみならず、社会においてのみ個別化され得る動物だ』と」(小林秀雄、「年末感想」)。

2018-02-25 00:39:02
佐藤正美 @satou_masami

マルクスは「個人」を記述するやりかたでもって「社会」を記述する困難を感じて、「商品」の社会的機能を記述して「商品」の存在を定立する [ 「機能のなかで存在の座標を与える」] やりかたをとった。マルクスの その意識を小林秀雄氏は、「明瞭に且つ繊細に」というふうに綴っています。

2018-02-25 00:43:15
佐藤正美 @satou_masami

「一般経済の危機、政治の危機を眺めて、これらと同列になぜ精神の危機を置いてみないのか。今日の社会の物的混乱が殆ど怪物的な姿をしているならば、物質のうちで最も傷つき易い精神の姿は一層怪物的な姿に見えるはずではないか」(小林秀雄、「年末感想」)。

2018-02-25 00:46:39
佐藤正美 @satou_masami

「だが精神は依然として物質と呼ぶには余りに精神的な或るものであり、事実と称するにはちと精妙すぎる事実である。精神の生み出す思想は、刻々に変化する。だが精神の原理的位相は変りはせぬ」(小林秀雄、「年末感想」)。

2018-02-25 00:49:34
佐藤正美 @satou_masami

私には、小林秀雄氏の謂う「精神の原理的位相」という概念がわからない。それを ここでは、「精神とは、現実的事態に反応して思想を生み出す『存在』である」というふうに把握しておきましょう。

2018-02-25 00:53:48
佐藤正美 @satou_masami

「どんな立場から文学を眺めようが、立場を意識しなければものがいえない以上、眼前には依然たる文学という仮面だけがある。重要な事は、立場を捨てる事だ」(小林秀雄、「年末感想」)。

2018-02-25 00:59:26
佐藤正美 @satou_masami

「親身になって他人の作品を読む、平凡な事に相違ない。たが不都合な事には、私たちは平凡な事が平凡に語られるような健康な時期に生きていない。平凡が稀有であるという事こそ驚くべき現代の特徴である」(小林秀雄、「年末感想」)。

2018-02-25 01:02:44
佐藤正美 @satou_masami

「精神を精神でじかに眺める事」こそ文学者たる性質でしょう。そして、そういう性質を いかなる いきさつ でそなえたかはわからないけれど、そういう性質をもった人が「文学青年」となるのでしょう。しかし、その性質を気取る(見せかける)紛い者もいる。

2018-02-25 01:06:01
佐藤正美 @satou_masami

本物を前にして戯れな批評などできる訳がない、きっと怪我をする。

2018-02-25 01:06:52
佐藤正美 @satou_masami

「形の世界と意味の世界、実質的世界と観念的世界、この睨(にら)みあう二つの世界の、極めて自然な、苦もない調和、そういう調和は、今日のように急速に分化し専門化する時代精神の裡には生まれ難い」(小林秀雄、「手帖 Ⅱ」)。

2018-02-25 01:18:21
佐藤正美 @satou_masami

「言うまでもなく一本足で立とうと無理をしたからだ。それにもましてこういう叫び声のかくれた不幸は、実はかつて二本足でしっかりと立ったものへの憧憬のあまりの悪足掻(わるあがき)であったという点にあるとも言えるだろう」(小林秀雄、「手帖 Ⅱ」)。

2018-02-25 01:21:54
佐藤正美 @satou_masami

「形の世界(あるいは、実質的世界)」と「意味の世界(観念的世界)」との対立であれば、いままで、数多くの哲学者たち・芸術家たちが論点にしてきたことなので、取り立てて目新しい論点じゃない。その二つの対立は、文学青年にすぎない私でも言えることです。

2018-02-25 01:24:39
佐藤正美 @satou_masami

私は、若い頃(19歳の頃)から今(64歳)に至るまで、この問題に悩まされてきたと云っていいかもしれない。したがって、私は、この問題に悩んで この問題と対峙して戦ってきた作家を愛読してきました――たとえば、日本人作家で云えば有島武郎氏や三島由紀夫氏で、西洋で云えばヴァレリー氏。

2018-02-25 01:28:23
佐藤正美 @satou_masami

この問題に対して、(小林秀雄氏のことばを借りて云えば)「極めて自然は、苦もない調和、そういう調和」を実現していた人物がゲーテ氏でしょうね――ただ、ゲーテ氏も、若い頃には、この問題に悩まされていたようです(「ウェルテル」を読めば、それがわかるでしょう)。

2018-02-25 01:31:50
佐藤正美 @satou_masami

私は、20歳代の頃に、ゲーテ氏に憧れて(彼の文学的技術(制作理論)の観点ではなくて、生活理論すなわち「整った巨大な態」を憧れて)彼の作品を夢中で読みました(「ゲーテとの対話(上・中・下)」、(エッカーマン、岩波文庫))。しかし、「ファウスト」は難しくて 今だに読み通せない、、、。

2018-02-25 01:36:50