#ちんじふ劇場　【18年3月分まとめ】

青葉⚓C103土曜ユ29b@鎮守府新聞ワレアオバ @_Ware_Aoba

朝雲「やったわ！」 山雲「あれ見て～」 幾多の炎と黒煙をまとわせながら、護衛棲水姫はまだ健在。 時雨「ダメか」 扶桑と山城が不意にグラリと倒れ、慌ててそれぞれ二人がかりで支える。 最上がそばに寄り、様子を確認した。 最上「気を失ってる。再攻撃は無理だね。離脱しよう」 #ちんじふ劇場

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西村艦隊離脱の報を武蔵が受け取る。 武蔵「残るは護衛棲水姫だけか……しかし、遠いな」 遠い。勝利が。 だが武蔵の視線を遮るようにひとりの艦娘が前に立つ。 矢矧「遠いなら近づけばいいのよ。島風、雪風、大井さん。吶喊しましょう」 #ちんじふ劇場

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島風「うん！」 雪風「雪風、了解しました！」 大井「いいわ。それが水雷屋ってものですものね」 利根「ならば吾輩たちが囮となろうぞ」 妙高「行きましょう」 利根と妙高は隊列を離れると、護衛棲水姫に探照灯を照射しながら砲撃。 引き付ける間に矢矧たちが反対側に回り込む。 #ちんじふ劇場

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矢矧は僚艦に目配せすると、息を殺しながら突撃する。 護衛棲水姫の背が見る見る間に視界いっぱいに広がっていく。 矢矧は最後に鬨の声を上げながら照明弾を撃ち放った。 だが、護衛棲水姫の反応は早い。振り返りざまの砲撃が矢矧を弾け飛ばした。 大井「覚悟は見せてもらったわよ！」 #ちんじふ劇場

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矢矧に代わり先頭に立った大井が至近距離からの砲撃。 全弾命中するも効果は薄い。 大井「なんてこと！」 雪風「雪風！酸素魚雷！行きます！」 次に雪風が魚雷を射出・命中させたが、これでも仕留めるには至らない。 ダメか…… その場に居た誰もが落胆の息を吐き出した。 #ちんじふ劇場

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しかし最後に残った彼女はまだ諦めていなかった。 島風「連装砲ちゃん！いっちゃってぇー！」 連装砲壱（若本規夫）「弐の！参の！例のやつをデカブツに仕掛けるぞ！」 連装砲弐（大塚明夫）「おう！」 連装砲参（中田譲治）「任せろ！」 #ちんじふ劇場 pic.twitter.com/rRKWEdB7D0

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前に飛び出した３基の連装砲は縦一列に並び護衛棲水姫へと接近。 連装砲壱「ぶるぅああああああ！」 先頭の連装砲が砲撃をすると列から離れ、間髪入れずに２基目が攻撃。 連装砲弐「待たせたな！」 ２基目もまた列から離れると、３基目が追撃。 連装砲参「とどめぇーっ!」 #ちんじふ劇場

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至近距離で立て続けに３連続の砲撃が最後の一手となり、護衛棲水姫の身体を撃ち抜いた。 護衛棲水姫は断末魔の声とともに海中へと沈んでいく。 第一遊撃部隊はサマール沖を突破。 レイテ湾突入に成功せり。 #ちんじふ劇場 pic.twitter.com/ECjGna1XZV

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別府「司令官。ソヴィエトから嚮導駆逐艦が来るという噂を聞いたんだが」 「あら、耳が早いのね」 別府「前の時みたいに険悪にならないように、ソヴィエトジョークを教えておくよ」 「そんなモノが」 別府「困ったときは『同志、どうしよう』と返すのがテッパンだよ」 「……え？」 #ちんじふ劇場

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「次は多号作戦か」 吹雪「レイテ島への輸送作戦ですね」 大淀「すでに同島には陸軍が展開。防備を固めつつあります。本作戦ではこれを補佐するための物資輸送が目的となります」 「……」 吹雪「？　どうかしましたか？」 「あのときも……いや、今更か。輸送艦隊を編成するわ」 #ちんじふ劇場

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執務室を出て。 吹雪「司令官、何かおかしくありませんでした？」 大淀「……私も詳しくは知りませんが。提督が陸軍に居た頃、フィリピンに派遣されていたそうです」 吹雪「その時のことを？」 大淀「おそらく……私が話した事を口外しないでいただけるなら、もう少し話せます」 #ちんじふ劇場

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吹雪が緊張した面持ちで頷く。 大淀「提督は陸軍にいたころは二次戦争の初期で、日本はまだ積極的な防衛活動には参加していませんでした。とはいえ国際協調が政府の基本方針であり、米軍の要請で深海棲艦の勢力が及びつつある周辺地域の避難民保護のために、海外派遣が行われました」 #ちんじふ劇場

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大淀「その際、活動には大きく制限が設けられていました。大まかに言えば、戦闘行為を禁じられていたのです」 吹雪「深海棲艦が居たのに、ですか」 大淀「私たちは過去の事象から亜細亜の侵略者という汚名がありましたからね。言いたい事は山程ありますが」 下唇を噛む吹雪。 #ちんじふ劇場

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大淀「あるとき、まだ避難が済んでいない地域に深海棲艦が侵攻を開始。地域の避難誘導を担っていた米軍は、避難民を棄てて撤退しました」 吹雪「そんな……」 大淀「当時の米軍には艦娘はなく、避難民と多大な兵力消耗を引き換えにするつもりもなかったのでしょう」 吹雪「……」 #ちんじふ劇場

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大淀「同地域には米軍の補助のため、日本から陸軍と海軍の部隊が派遣されていました。任務は撤回され、米軍ととも撤収せよというのが、当時下された指示でした」 大淀が深く息を吐きだす。 大淀「避難民は約二千。陸海の派遣部隊は指示に逆らい、避難民の収容を継続しました」 #ちんじふ劇場

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大淀「指示に逆らっての行動でしたから支援などはなく、陸海の部隊はそれぞれ連携しつつ避難民の収容を続け、結果として成功を収めます」 吹雪「結果として……ですか？」 大淀「ええ。陸軍部隊は収容のための時間を稼ぐために遅滞戦術をとり、玉砕したそうです」 吹雪は息を飲む。 #ちんじふ劇場

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吹雪「そんなことがあったなんて、知りませんでした」 大淀「公には『無かった』事ですので。記録も何も残されていません。亡くなった兵士は、それぞれ別の事故で亡くなった事になっています。私は当時軍令部にいましたので、隠匿する側の一員でした」 吹雪「そんな……」 #ちんじふ劇場

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大淀「諸々の事情がありました。それはあまり関係ないことなので省きますけれど。重要なのは、陸軍士官だった当時の提督はこの直後に、予備役に編入されたということです」 吹雪「それって……」 大淀「……私もこれ以上は言えません」 吹雪「……」 #ちんじふ劇場

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執務室。 あきつ丸「自分が呼ばれるというは珍しいことでありますな」 「ちょっと聞きたいことがあるのよ。アキ。あんたまだ陸に繋がりがあるわよね？」 あきつ丸「はて？」 「今回派遣されてるのは誰？」 あきつ丸「……仕方がありませぬな。東堂閣下です」 「お嬢か……」 #ちんじふ劇場

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あきつ丸「自分は、将校殿は公私を区別される方と信じております」 「わかってるわよ」 あきつ丸「……信じてよろしいですよね？」 「信じてるって言った側からそれかい。大丈夫よ」 苦笑する。 「例えそれが、自分を弾劾した相手であっても。あれも不破である以上は目的は同じよ」 #ちんじふ劇場

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Acnos艦隊は第二遊撃部隊を護衛艦隊に据え、横須賀から派遣した貨物船団（大相撲船団）で大量かつ迅速に、オルモック湾への物資輸送を行った。 担当士官「およそ4度の輸送が必要と推測していましたが……」 「4度？2度で充分な量を送り込めるわ」 担当士官「ええ、助かります」 #ちんじふ劇場

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「充分な護衛戦力と基地航空隊のエアカバーがあってこそだけど」 担当士官「正直、海軍さんがここまでしてくれるとは思いませんでした」 「私も予備役とはいえ陸軍大尉。地上戦の経験もあります。だから苦労はわかっているつもりよ」 担当士官「これで勝てます。いや、勝ちます！」 #ちんじふ劇場