【某年／3月某日／夜】児珠さん（@tune_sig89)と彩人

ブライアン @asasmamama1

【某年／3月某日／夜】

ブライアン @asasmamama1

彩人】自宅の１ＬＤＫのキッチンの前でフライパンからじゅうじゅうと音をたてながら首を傾げる。こんなものでいいだろうか。何しろ人の為に料理をするのは久しぶりだ。

--- @tune_sig89

【とある三月、夜】

ブライアン @asasmamama1

彩人】リビングからはニュースの音声がところどころ聞こえてくる。この部屋に自分以外の人の気配がするのは何だかむず痒い気分のような。落ち着かないようで、落ち着くような。 （うーん） フライパンで焼いた厚揚げを皿に盛りつける。

ブライアン @asasmamama1

@tune_sig89 彩人】「児玉さーん、児玉さんは辛いの大丈夫ですか？」 少しキッチンから顔を覗かせて伺おう。

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児珠】ソファの上に寛ぎ、夜のニュースを眺めている。耳にはニュースキャスターが読み上げる政治や事件の話題の他に、フライパンの上で油のはぜる音が聞こえてくる。

ブライアン @asasmamama1

彩人】いつものベストとネクタイは今は着ておらず、黒いシャツと白いスラックス。そしてシンプルな紺色のエプロンである。

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@asasmamama1 児珠】少し意識をその音に向けたところで語尾の上がった声がかかる。「いんや？酒のつまみに合うもんなら何でもいけるクチだ」どこか得意げに返すとキッチンから覗く彩人の顔が見えた。広い台所だと思う。

ブライアン @asasmamama1

@tune_sig89 彩人】「何で得意げなんですか」 まぁいいですけど、といつものように冷ややかな返事をして、厚揚げにニンニク醤油と一味をかけていく。 「はい、できました」できた料理をお盆にのせて児珠のいるリビングへと運んでテーブルに乗せていく。→

ブライアン @asasmamama1

@tune_sig89 彩人】献立は先ほど作ったピリ辛厚揚げ、ささみとキャベツのネギだれ、蒸し枝豆のラー油かけである。それぞれ二人分、結構な量が皿に盛ってある。 「足りなかったら言ってください。…っていうか、辛いの多くなっちゃいましたね」 すいませんつい、と言いながら悪びれる素振りもなくエプロンを外す。

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@asasmamama1 児珠】「悪いな。何か手伝えたらいいんだがな。」その様子も見せない程度に深く座っていたソファからわずかに腰を上げる。「ま、俺は料理はちんぷんかんぷんだし餅は餅屋ってもんだ」恐らく何度か口にしたような言葉を軽くこぼし

ブライアン @asasmamama1

@tune_sig89 彩人】「それ悪いと思ってます？」 完全にブーメランなことを言っている自覚はあるが、じと目で見て 「焼酎とビールどっちがいいですか？」

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@asasmamama1 児珠】「痛み入る」並べられた品々に感嘆する。ソファをずるりと滑るように降りてローテーブルに合うよう床に胡坐をかく。「食器洗いとかだったら、できると思うんだが」肩をすくめる。何せ自炊をしない人間がシンクでスポンジを握ることも少ない。「ビールをたのむ」彩人の視線は気にもせず声を返す。

ブライアン @asasmamama1

@tune_sig89 彩人】「ビールですね」 エプロンを綺麗に畳んで適当な場所に置き、冷蔵庫から冷えた缶ビールを二つ手に取る。先ほど買ってきたため、まだストックはある。 「はいどうぞ」→

ブライアン @asasmamama1

@tune_sig89 彩人】ビールを手渡して座り、ローテーブルの炬燵の中に入る。プシュと、とても気持ちのいい音をたてて自分の分の缶を開け、軽く乾杯しようと児珠の前に自分の缶を差し出そう。 「お疲れ様です」

ブライアン @asasmamama1

彩人】食べ終わったら食器洗いでも頼もうかと思ったけれど、その頃にはこの先輩は寝ているんじゃないかと思う。何回か外で飲んだことはあるが、毎度眠そうにしている気がする。しかし今回は自分の部屋だ。気を付けて、いつも以上に見ておかねば。

ブライアン @asasmamama1

彩人】あ、グラスに注いだ方が良かったかな、と思うけれど、まぁいいや、と思う。

ブライアン @asasmamama1

彩人】箸などは事前に几帳面にテーブルの上に置かれている。

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@asasmamama1 児珠】景気の悪いニュースを流すテレビは消し、缶を受け取れば流れるようにタブを開ける。この音が仕事の疲れをいやしてくれるものだといつも改めて感じる。差し出された缶に自分の物を軽くぶつけよう。「おつかれさん。平和な今日に乾杯。」緊急の電話が鳴らない夜にどっと肩の力は抜けている。

ブライアン @asasmamama1

@tune_sig89 彩人】缶を口につけ、二口くらい飲んだところで缶を置く。 「やっぱり定時上がりは良いですね」 はぁ、と疲れたようにため息をつきながら箸をとって厚揚げを一つ食べよう。 「うん美味しい」 今日も良い出来である。

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@asasmamama1 児珠】ビールを一口大きく煽ってから香ばしいネギダレの香るささみを口に運ぶ。さっぱりとしたささみとみずみずしいキャベツにこってりとしたたれがよく合う。それをビールで流し込めば至福だ。「ん、美味い。」またひょいとつまむ。「これは酒が進むな」言ってクイと飲んでしまう。

ブライアン @asasmamama1

@tune_sig89 彩人】「何かすぐにビール無くなりそうですね。まああれだったら、勝手に冷蔵庫から取ってください」 自分に言ってもらえれば取る、とも伝えて 「誰でも作れるくらい簡単なんで、良かったら自分でも作ってみたらいいんじゃないですか？」 それとなく自炊を勧めてみよう。

--- @tune_sig89

@asasmamama1 児珠】「そうさせてもらう」楽しそうに口角を上げてから、察し良く「包丁は握らない主義だ。どうも台所のモンとは仲良くなれる気がしなくてな。」そう言いながらから揚げも一つ頂く。「一人暮らしになってからか？料理始めたのは」これ以上突かれないようにと話題を相手に向ける。

ブライアン @asasmamama1

@tune_sig89 彩人】「児珠さんの場合歩み寄ってないだけでしょう」 ため息をつく心地で、びし、と突っ込み 「うーんと、そうですね。最初は仕方なく始めたんですけど、やってる内にハマっちゃって」 今じゃほとんど自炊です、と昔を懐かしみながら答える。ささみを食べて、ビールをまた飲みながら。

--- @tune_sig89

@asasmamama1 児珠】一回り程も年下である彩人がこうも手際よく料理を完成させるのを知り、自身の料理スキルが皆無なことを省みつつ人の道とは様々だなと感慨深くなる。「人生は深いな」一人深く深く頷いた。「好きなモン作れんなら楽しいだろ」缶を口に近づけながら軽く首をかしげる。