コロコロコミック18年3月号の発売中止・回収騒動の原因とモンゴル国について

K a n r e n @Kanren_sio

3月上旬に話題になったコロコロコミック発売中止騒動について、教えてもらったり調べたりしたことをまとめます。

K a n r e n @Kanren_sio

まず読者投稿企画について。コロコロコミックが抗議を受けた原因としては「漫画の中でチンギス・ハーンの肖像に落書きをした」が原因として報じられています。チンギス・ハーンに男性器を落書き　漫画に朝青龍ら抗議asahi.com/articles/ASL2R…

K a n r e n @Kanren_sio

ですが、同号で「キミも足利義満＆チンギス・ハンのラクガキに挑戦だ！」という読者投稿企画が同時に催されていたことは、報道の中では扱われていません。【やりすぎ】コロコロコミック「君もチンギス・ハンにラクガキをしてハガキで送ろう！」matomedane.jp/page/5039

K a n r e n @Kanren_sio

このような雑誌の企画として落書きを推奨するということは、漫画の中の表現＝フィクションの域を出ている、ととられる可能性があります。

K a n r e n @Kanren_sio

次に、現代モンゴルでのチンギス・ハーンの扱われ方について。今回の件のモンゴルの方の反応を理解するには、ここ数十年のモンゴルの歴史を押さえる必要があります。

K a n r e n @Kanren_sio

モンゴルは1921年から70年にわたって社会主義国としての歩んできました。このため、1990年頃からの民主化には、社会主義国としてのアイデンティティを失うという大きな衝撃がありました。そして、これに代わる精神的な拠りどころとして台頭したのが、歴史上の英雄「チンギス・ハーン」への崇拝です。

K a n r e n @Kanren_sio

"モンゴル国立大学の教師陣によれば，民主化直後の 10 年間に大学で若者によって書かれた卒業論文の多くは，「アイデンティティ」に関するものであり， その多くがチンギス・ハーンの研究もしくはチベット仏教の研究であった，という"

K a n r e n @Kanren_sio

チンギス・ハーン崇拝の近代的起源 : 日本とモンゴルの応答関係からminpaku.repo.nii.ac.jp/?action=pages_…

K a n r e n @Kanren_sio

現代の日本人にとっては足利義満もチンギス・ハーンも「歴史上の人物」で、あまり思い入れはないという方が多数だと思います。ですが、現代のモンゴルの人々にとっては単なる過去の偉人ではない、ということです。

K a n r e n @Kanren_sio

なお、Twitterで抗議を表明していた朝青龍は1980年生まれ、10代の頃に社会主義体制の崩壊と民主化の時期を過ごしています。

K a n r e n @Kanren_sio

訂正。 「モンゴルは1921年から70年にわたって社会主義国として～」とありますが、1924年からの間違いです。（人民政府としての独立が1921年、社会主義国であるモンゴル人民共和国の成立が1924年）

K a n r e n @Kanren_sio

"1921年には（中略）活仏（かつぶつ）を元首とする君主制人民政府を樹立。1924年，活仏の死去に伴って，ソ連に次ぐ世界で2番目の社会主義国として，モンゴル人民共和国が誕生しました。" 外務省: わかる!国際情勢 モンゴル～良き隣人としての絆 mofa.go.jp/mofaj/press/pr…

K a n r e n @Kanren_sio

まとめると、この件については「漫画だけでなく読者投稿企画の存在もあった」ことと「現代のモンゴルでのチンギス・ハーンの扱われ方」の2つを考慮する必要があります。以上、連ツイ終わり。