【ﾐﾘﾏｽSSまとめ】MiLLiON LiFE!!!

⚓イクヨモツ☆☆★🌹 @nagahara0

カレン！カレン！廊下を歩いていた可憐が必死に自身を呼ぶ声に振り向くと、駆け込んできた声の主は勢いそのままぽふりと胸に飛び込んできた。困惑する可憐を他所に、突撃してきたそれは彼女を抱きしめて離さない。ようやくそれが誰なのか認識できた可憐はロコちゃん…？と声をかける。

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ん！バッチリです！勢いよく顔を上げたロコは、ビックリした顔の可憐と目が合う。あ、ソーリーでしたカレン。なんだかロコのインスピレーションがノットグッドだったので、カレンのスメルでリフレッシュしようと思ってたんです！

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そ、そうなんだ。可憐にとって未だに理解に少しばかり時間を要するロコ語だったが、今回はなんとかすぐに解ることができた。ただ、とロコは続けて言うに、もう少しだけ、このままでいいですか？まだまだフルじゃないので！と再び可憐の胸に顔を埋める。

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ひえ、と三度驚かされる可憐だったが、それならば、とロコの頭に手をあてて、撫でさすってやることにする。…なんだか寂しくなって可憐に抱き着いてしまったという本音を言えずに、顔を真っ赤にしている彼女のことを、知らぬまま。

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何かを作る度、褒めてくれるあなたがいるということ。それがとても幸せなことなんだって、ずっと思ってた。あなたの目は真っ直ぐに私の作品を見てくれる。小さいけれど、キラキラと輝いて、真新しいものを見るようなワクワクした目で、私の作品を見てくれる。

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そんな当たり前のような、でも、私にとってはとても幸せなことに気づかされて、思わず緩んだ涙腺はなんとか耐える。今ここで泣きだしたら、きっとあなたを心配させてしまうだろうから。

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きっと私は、あなたの言う「みんな」の中の一人であって、そんな「みんな」が大好きだって、笑うのでしょう。私の持つ大好きとは、決して違う。あなたと私の間に張られた一枚の硝子は、叩けば割れるかもしれないけれど、そんな勇気は私にはない。だって、砕けたガラスが私に刺さるのが、怖いから。

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眩しいくらいに笑うあなたの顔が、私だけに向けられる特別であったなら、こんなにも苦しい思いもしなかっただろうに。 伝えられないまま進む私の勇気の無さを嗤い、愚かさに泣く日々が、こんなに続きもしなかっただろうに。 それでも口から出ない言葉は、喉の奥でつっかえたまま。

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今日も私は、あなたへの思いを抱いたまま、「みんな」の集まる場所へ行く。 穏やかな日々の水面下で、溺れる自分を抑えたまま。 互いの抱えた思いに、気づかぬまま。

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黄色と赤を織り交ぜて、そこに少しの香り付け。新しいロコアートは、そんな感覚的な要素をつけ加えた。きっとあの人なら分かってくれる。それを信じて筆を取り素材を組み上げて、私は私の気持ちの結晶を作ったのだから。この作品の意味と意図、今それを知ってるのは、私だけでいい。

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日の出が見たいと言い出したロコを連れて、可憐は早朝、海まで来ていた。まだ暗い空を眺めながら、今か今かと待ち構えるロコを視界の端に捉える。彼女の提案はいつでも突然だったが、可憐はそんなロコに付き合う事に悪い気持ちはなかった。なんだかんだ突然やってくる提案を楽しんでいる節もあった。

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カレン！見てください！ロコの興奮した声に海辺を見ると、夜の黒さから滲むような赤い光が、一際強く輝いてきていた。こんなにまじまじと夜明けを眺めたのはいつぶりだろう。こんな風に新鮮な気持ちにしてくれる彼女が、私は好きなのかもしれない。綺麗だね、ロコちゃん。……とっても。

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私の隣でロコちゃんが眠ってしまってからどれくらい経ったろうか。こうしてまじまじと寝顔を見始めてからはまだ２分くらいしか経過していないと思うけど。こうして眺めていると、少し可愛らしいというか、愛らしいような感情が湧いてきてしまって………頬にキスくらいなら、許される、よね。

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15時からレッスンだよ。今日はもう帰っていいって。打ち合わせがあるよ。ロコアートの作業を終えたロコに向かって可憐が呼びかける光景は劇場でこの頃見かけるようになった。ロコアートに夢中になってその後の予定を忘れちゃうからロコに頼まれて可憐が伝えているらしい。メモ代わりか？と伊織は思った

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やっぱりカレンのケーキはデリシャスです〜！ありがとう、ロコちゃん。まだあるからゆっくり食べて大丈夫だからね。聞いてか聞かずか、二口目、三口目と順調に皿の上の一切れを食べていくロコ。それを眺める可憐は、なんだか小動物の食事シーンを眺めているような気分になった。

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フサフサの髪が目の前を通るたび、思わず視線がそちらに向いてしまう。横切るたび、あるいはふわふわと動く度。ある日、ロコちゃんにそれが見つかってしまって「しょうがないですねぇ」と、特別に触らせてもらえることになった。…どう解釈されたんだろ。