【ミリマスSSまとめ】MiLLiON LiFE!!!
「Don't be afraid」
自分を表現しよう、と彼女は言う。のべつ幕無しに捲し立てられる横文字の羅列を頭の中で整理するのがいっぱいの私に理解出来たのは、確かに伝えたいことはそれのようだということだけだった。相変わらず独特な言葉遣いに一歩引いてしまうけれど、彼女の言葉はいつだって真っ直ぐだった。
2018-03-05 04:04:39カレンももっと、クリエイティビティに動きましょう!立ちはだかる現実に、真っ向から自分自身をぶつける彼女の姿勢は、ある種のヒーローのように思えた。私には到底できない芸当だと、痛感した。ロコちゃんは、どうしてそこまで、「自分」を出せるの?心の中にしまっておいたはずの疑問が、思わず
2018-03-05 04:07:21口から飛び出した。どうして?と言葉を反芻する彼女の表情は、まるで当たり前のことを訊かれたかのようなものだった。何かを表現することは、自分自身を表すのは、当然のことだと言わんばかりに。そこに垣間見えたのは、彼女と私の、絶対的な違い。あぁ、私は彼女には、敵わない。
2018-03-05 04:11:15楽しいんです。ビビッドカラーなエブリデイを過ごしてると、ロコの中のアートセンスがエクスプロージョンしそうでたまらなくなるんです。きっとロコは、そういうスターの下に生まれてしまったんです。笑って、身振り手振りを交えて、彼女は答えた。本当に、言葉に嘘偽りなんてない、真っ直ぐな答え。
2018-03-05 04:17:51怖いの。答えを受け取った私は、何かを零してそう続けた。私は、私を見せるのがとても怖い。ロコちゃんみたいに何かを表現できるほど、私は強くないの。だから、私は私をどう表現すればいいか、分からない。溢れだした思いはどうしようもなくて、零れた涙は、どうしたって止まらなくて。
2018-03-05 04:23:19突然泣き出してしまった私に慌てる彼女が目の端に見えて、申し訳なく思った。私は、弱いから。どうしたらこの涙が止まるかなんて、分からなくて。悔しくて、唸って、どうしようもなくって。瞬間、視界が突然真っ暗になった。同時に体を強く抱きしめられていると感じた。彼女がそうしたのだと分かるのに
2018-03-05 04:28:53時間はかからなかった。少しして、ロコだって、最初は怖かったんです、と彼女は話す。ロコの目に見えるものを、ロコが感じたことを、真っ直ぐに表現して、ロコナイズして。一生懸命に描いたそれを、みんなに見せた時、その目はおかしなものを見るような色をしていました。何度も、何度も、書き描き綴り
2018-03-05 04:34:20写し撮り、見える世界をありのまま表したそれを認める人は、あまりいませんでした。ちょっぴり、凹んじゃいました。でも、少なくても、ロコの作品を認めてくれる人はいました。褒めてくれたり、説明を聞いてくれたり。ロコアートはそうして、少しずついろんな人に認めてもらえるようになりました。
2018-03-05 04:40:55それはただ、ロコが粘り強く自分を表現していたからじゃなく、ロコを認めてくれる人は必ずいると実感しながら歩んできたからだと、思ってます。どんな時でも、どんな自分でも、それを認めてくれる人がいる。何かを作る時、ロコは決して独りなんかじゃない。そう考えると、自然と力が湧いてくるんです。
2018-03-05 04:49:10だからカレンも、怖がらないでください、自分を表現することを。だって、ここには。抱きしめていた腕を解いて、ロコちゃんはその真っ直ぐな瞳で、私を見つめて言いました。
2018-03-05 04:51:32独りじゃ、ない。そう、カレンは決して、ローンウルフなんかじゃありません!ありのままのカレンを認めてくれる、51人のフレンドがいるんです!!力強くそう断言する彼女を前に、私の涙はとうに止んでいて。それにカレンは弱くないです!一度決めた事をやり抜くのは、カレンの強いところだと思います!
2018-03-05 04:59:19そっ、か。どこまでも真っ直ぐに強く響く彼女の言葉に、私は自然と笑顔を浮かべていた。私は、弱くなんかない、かな。そうですその意気です!自信を持って、もっと自分を誇ってください!うん、ありがとうロコちゃん。心なしか、ちょっとだけ強くなった気がする。ううん、気のせいなんかじゃない。
2018-03-05 05:08:56これは確かに私の中に灯った、自信という名の真っ赤な炎だ。風にも負けない、雨にだって負けない、決して消えない灯火。ロコちゃんには遠く及ばないかもしれないけれど、私はちゃんと「私」を誇ることにした。いつかきっと、それが誰にも負けない自信になると信じて。
2018-03-05 05:11:36「今は、貴方の騎士でありたい」
後日。劇場でエレナの誕生日を祝ってから、千鶴は彼女を連れて二人でテーマパークへ遊びに来ていた。ポップコーンを買ってきますわ、と千鶴がエレナの傍を離れたところへ、怪しい男二人が近づく。お嬢ちゃんカワイイねぇ、今一人なの?見知らぬ人物に話しかけられ、気圧されるエレナ。
2018-10-27 02:00:55エ、ええと今日は。言いかけて気づく。ここで自分の名前を出してはまずい。脳裏に覚えたての「お忍び」という日本語が過ぎる。二人きりで来たことがバレては秘密のお出かけが台無しだ。それに何より目の前の二人からは、いつか会った黒くて悪い人と同じ感じがする。どうしよう、誰か。
2018-10-27 02:01:42余裕のなくなるエレナは押し黙ってしまう。ニヤつきながらエレナを捕まえようと伸ばされた男の腕。それを、横から誰かが掴み止める。失礼、彼女は一人ではなくてよ。ぎりぎりと音がしそうなほど強く掴まれる腕に、男はたまらず音を上げる。ケガをしたくなければ失せろ、一歩でも近づけば容赦はしない。
2018-10-27 02:03:17千鶴が低い声でそう一喝すると、男共はそそくさと逃げ出した。ため息を一つ、それから振り返って。大丈夫でしたかエレナ?!何かされませんでしたか!?震えていた彼女の無事を真っ先に確認すると、怯えていたエレナの表情が、安心したことで今にも泣きだしそうなものへと変わる。
2018-10-27 02:05:24チヅル…こわ、こわかっタ…。思わず千鶴へと抱きつくエレナを、安心させようと抱きとめる。落ち着いてから、改めて園内を歩き始める。チヅル、とってもカッコよかったヨ!アレクサンドラみたいだっタ!そうでしたか?つい本気で怒ってしまって…エレナには申し訳ありませんわ、お見苦しいところを。
2018-10-28 16:36:38千鶴の恥ずかしがるような言葉に、そんなことないヨと返すエレナ。チヅルが助けてくれて良かっタ!泣き顔はすっかり晴れ、笑って笑顔を向けるエレナに、千鶴は繋いでいた手を強く握って、笑い返す。ええ、今この瞬間は、誰にも渡したくありませんもの。内に秘めた言葉は、口にはしないまま。
2018-10-28 16:37:33初めて同士を交わし合う
キスってどんな味なんでしょうね。未来が言い出した言葉に、隣にいた可憐は突然の問いに固まった。ど、どうなんでしょう。レモンの味、とかって漫画だと言われてますけど…。えぇっ、キスって酸っぱいんですか!?い、いえ、実際にレモンの味がするかはわからないですけど…私もしたことないですし…。
2019-05-31 22:45:47そっかぁ、と落ち込む未来。と思いきやすぐに顔をあげて、じゃあ可憐さん、確かめてみましょう!と彼女の手を取って言う。ふえっ!?た、確かめるって、何を…。ほんとにキスの味がレモン味なのか!ずいっと迫る未来に可憐は理解が追い付かないまま。
2019-05-31 22:47:28