福島香織さんが語る、記者の仕事とセクハラの関係

すごく面白いのでまとめました。
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福島香織「なぜ中国は台湾を…」発売中! @kaori0516kaori

特ダネ至上主義がいいか悪いかとか言い出すと、おそらく私を含めて、ほとんどの記者の人生を否定することになる。でも私はもう既存メディア組織を離れて10年、みんな好きにしたらいいよ!私は好きにやってる。好きにやっているのに、なぜか円形脱毛症がまたできた。何がストレスやったんやろう?

2018-04-22 00:52:06
福島香織「なぜ中国は台湾を…」発売中! @kaori0516kaori

福田次官からセクハラを受けた例の女性記者、彼女の本心は私にはわからない。自分に置き換えると、もし今年の協会賞くらいとれる特ダネが取れたらセクハラの苦しみも報われた。しかし1年半もあんなアホ丸出しな会話につきあって、一本もネタとれなかったときのむなしさは想像にありあまる。

2018-04-22 01:00:17
福島香織「なぜ中国は台湾を…」発売中! @kaori0516kaori

週刊誌にネタうっぱらって官僚人生の息の音とめてやりたい、とか言う衝動にかられても、彼女を責められまい。個人的には、あの手の官僚は、そのうちどっかの国のハニトラにかかって国家にあだなすと思うので、私は彼女の今度の行動をGJ!と思っている。

2018-04-22 01:11:09
福島香織「なぜ中国は台湾を…」発売中! @kaori0516kaori

あとセクハラを受けるのは女性記者だけでないよ。男性記者もセクハラ、性的なパワハラ、いじりって結構あるよ。だけどやっぱり男の方が愚直に高みを目指す性格で我慢するのかもな。女の方が、途中で馬鹿らしくなって、こんなセクハラ、パワハラ、我慢できっか、ってブチ切れるのかもな。

2018-04-22 01:17:15
福島香織「なぜ中国は台湾を…」発売中! @kaori0516kaori

具体的なことはえげつなくて言えないが、若き記者時代に、ちょっとセクハラっぽいことを有名なセパ両リーグから命じられたとき、私が人を殺しそうな目つきをしたらしくて、びびった同期の男性記者が、はい!僕がやります!といって、私のかわりにやってくれたことがあった。もうン十年以上前の話だが。

2018-04-22 01:21:56
福島香織「なぜ中国は台湾を…」発売中! @kaori0516kaori

で、あとで相当申し訳なくて、心からあやまったら。「大丈夫、俺、体育会系には慣れているから」とさわやかだった。あー、男性記者というか男の方が、ずっとこういう苦労を飲み込まざるを得ないのかー、と思ったもんだ。

2018-04-22 01:24:15
福島香織「なぜ中国は台湾を…」発売中! @kaori0516kaori

酒席に乗じたり、ネタのためという理由で、無体をしいる文化というのは確かにマスコミの業界に昔はあり、つい最近まであったと思うが、それでも今の時代、女性の場合は、”セクハラ”という一言をいえば、相手が動かした手をハタと止めさせることができる。

2018-04-22 01:29:36
福島香織「なぜ中国は台湾を…」発売中! @kaori0516kaori

でも、男性はなかなか、それをセクハラだ、パワハラだ、と言えない。はっきりいって、心病んでいる率は、女性記者より男性記者の方が多いんじゃないか?私は心病む前に、円形はげができるので、はげができたら、やばいと気づいて原因排除の対処をする。心は健康?、と思う。

2018-04-22 01:37:10
福島香織「なぜ中国は台湾を…」発売中! @kaori0516kaori

記者は正義!と本気で信じている記者と、記者ってなかなかげすい仕事やなと自覚している記者とで、どちらが、ぎりぎりのラインでネタを追っているとき、超えてはいけない一線を越えずに踏みとどまれるか、というと私は後者だと思うね。自分のやっていることへの迷いや疑いを忘れてはならない

2018-04-22 02:13:50
福島香織「なぜ中国は台湾を…」発売中! @kaori0516kaori

情報の対価がただやと思う人が多いのは、ネットでみんなただでニュース読んでいるからかな。価値ある情報はやはり対価を要求される。その対価が、美人と深夜に二人っきりになることであるかもしれないし、報道の影響力によってライバルを失脚させたり、株価を動かしたりすることかもしれない。

2018-04-22 03:26:41
福島香織「なぜ中国は台湾を…」発売中! @kaori0516kaori

記者はヤクザか、と言う人があるけれど、記者は広域指定暴力団の幹部取材したりもする。弾の飛び交う戦場取材が好きな人もいる。私も元東北マフィアとか農村マフィアとか取材したし、MILFの幹部のインタビューもした。誰が相手であっても礼儀正しくあろうとするけれど、ある意味カタギではないと思う。

2018-04-22 04:03:59
福島香織「なぜ中国は台湾を…」発売中! @kaori0516kaori

マスコミは第四の権力とよばれる存在。実際のところかなり強力なパワーをもっている。政権と対峙できる力だという自負もあっただろう。そのおごりのせいか、一般企業のいうようなコンプライアンスとか知るか、みたいな空気は、少なくとも私が記者時代はあった。

2018-04-22 04:10:48
福島香織「なぜ中国は台湾を…」発売中! @kaori0516kaori

たぶんこの先は、この業界も一般企業と同じようなコンプライアンスとか求められ、ちょっと(かなり?異常な部分、異常な残業量とかセパ両リーグの異常な肥大とか、特ダネ至上主義とか、是正されていくんだと思いますよ。無頼派記者確かにへったもんなー、この30年ぐらいで。

2018-04-22 04:17:16
福島香織「なぜ中国は台湾を…」発売中! @kaori0516kaori

私が記者になったばかりのころって、まだいわゆる”がん首”とりもあったし、泊まり夜勤泊まり、みたいな殺す気かというような勤務表も一カ月に4回くらいあった。そういうのは全部なくなってきた。

2018-04-22 04:23:33
福島香織「なぜ中国は台湾を…」発売中! @kaori0516kaori

でも、異常でしんどいプレッシャーばかりの仕事でも、アドレナリンとか脳内ホルモンがガーとってでて滅茶くちゃハイな感じで仕事に没頭できる瞬間もあったし、正直、そういう世界はきらいじゃなかったな。ちなみに高山正之先輩が現役時代は、もっと無頼派記者が多い時代で、

2018-04-22 04:28:49
福島香織「なぜ中国は台湾を…」発売中! @kaori0516kaori

高山先輩の若かりし頃の武勇伝とか、めちゃくちゃ面白い。でも、今やったら絶対、ダメ、あり得ない、みたいな話のオンパレード。

2018-04-22 04:30:18
福島香織「なぜ中国は台湾を…」発売中! @kaori0516kaori

たぶん、メディアが一般企業化していくと、昔みたいにぎりぎりで、体張った感ある面白いニュースというのは減っていくんじゃないかな、と思う。斜陽産業だからそうなるのか、そうなるから斜陽産業なのか。私はメディアの最期の面白みの残る時代にちょっと引っかかって仕事できて、ラッキーだったな

2018-04-22 04:42:20
福島香織「なぜ中国は台湾を…」発売中! @kaori0516kaori

知っている人は知っているが、メディアはときに一種の暴力だ。身内を事件や事故で無くした人に、今のお気持ちは、とマイクを向けることの非情を思い返せばわかるだろう。暴力とは横暴な権力。末端の記者たちはその暴力の最前線にいる。私たちはときに暴力の加担者だ。

2018-04-22 23:37:19
福島香織「なぜ中国は台湾を…」発売中! @kaori0516kaori

だが、横暴な権力だからこそ、横暴な権力に対峙できる。政府も官僚組織も、ときに横暴な権力で、第四の権力とメディアが強い力を持つのは、こうした巨大な権力と対等に渡り合うためだ。だから、政治や官僚組織を取材する現場は、暴力と暴力のせめぎあいの現場だと、覚悟するといい。

2018-04-22 23:40:19
福島香織「なぜ中国は台湾を…」発売中! @kaori0516kaori

ただ、もし、権力と戦うと息まいて、自分のもてるあらゆる武器を振りかざして、相手の弱い部分をえぐり、権力が公にしたくない情報を白日の下にさらしてやろうとしたとき、それは暴力と暴力の対等な駆け引きでもあるのだから、ときに返り血を浴びることもある。

2018-04-22 23:51:28
福島香織「なぜ中国は台湾を…」発売中! @kaori0516kaori

美しく魅力的な容姿を与えられた記者は、それを武器にしようと思う人もいる。あるいはそれを武器にしろ、と組織が求めるかもしれない。だが、それはなかなか鋭い武器だ。どんな立派な人間も、性的欲望を刺激するような魅力には弱い。でも、鋭い武器ほど慎重に扱わねば、返り血を浴びるし、けがをする

2018-04-22 23:55:59
福島香織「なぜ中国は台湾を…」発売中! @kaori0516kaori

だから、その武器を使うか使わないかは、慎重に自分の決断でやるべきだ。私だったら使わない。使える容姿を持たなかったことは、今思えば記者としては幸いだった。だが、メディアの現場が、一般企業とおなじようなルールや常識、良識だけで成り立たないことも、きれいごとで済まないことも知っている

2018-04-23 00:03:00
福島香織「なぜ中国は台湾を…」発売中! @kaori0516kaori

組織取材であっても個人取材であっても、取材の駆け引きの最終判断は現場の記者個人にゆだねられる。これ以上は無理だと思えば、あきらめて撤退するのだよ。それで特オチしても、別の現場で特ダネをとればいつでも挽回できるのだ。

2018-04-23 00:10:15
福島香織「なぜ中国は台湾を…」発売中! @kaori0516kaori

ベテランで十分準備をした戦場ジャーナリストが危険を承知で弾の飛び交う場所にいき命を落としたら、それは栄誉の殉職であり、大いに悼まれるが、明らかに安易な装備で無謀な計画で戦場に行って取材に失敗したら、それは自己責任といわれる。記者の現場は、ほとんどが自己判断、自己責任でまわっている

2018-04-23 00:19:24
福島香織「なぜ中国は台湾を…」発売中! @kaori0516kaori

たとえ、メディアが組織として記者にやれ、と命じても、最終的には自己判断、自己責任だ。上司は現場にいない。これ以上攻められない、攻めても無意味だと記者自身が判断したら、その判断は上司の判断より正しい。

2018-04-23 00:22:21