私的ついのべまとめ

自作のついのべまとめです。テーマ皆無ですお許しを。
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あやばね @ayabane

僕の好きなあの娘はなんにでも名前をつける。布団に「ふぉんつ」、椅子に「ラチ」、iPhoneだって勿論だ、「ひのっぺ」。夜、電話をすると「アシム」が来たから寝るねと言い出した。彼氏ができたのだろうか、と泣きながら酒をあおったが妙な名前だ。ロボっぽいし…何者かしら。 #twnovel

2010-11-05 11:14:26
あやばね @ayabane

夢の中では監督がいて、僕を主演に作品を作る。今回はアクションもので、演出に力が入っていた。「…危険じゃないか?この飛び降りるシーン」「なんだ、向こうで練習してきたんだろう?おかげであんたのスケジュールも無期限で押さえられたし、じっくりいい物を撮ろうじゃないか」 #twnovel

2010-11-14 20:57:00
あやばね @ayabane

僕が指を差し出すと彼女が優しく手を取り、先端から輪をくぐらせる。ひんやりとした、初めての感触。今度は僕が、彼女の空席の細い指に指輪を嵌める。「結ばれたんだ…私達」僕は頷く。「今日からよろしくね。最後の旦那さま」彼女は指輪で埋まった十本の指を、僕の背中で絡めた。 #twnovel

2010-11-21 14:17:44
あやばね @ayabane

小さき人はそれと共に舞い込む潤いを待ち望んでいた。だが皆時を抱えるにつれ意味を上書きされ、手を広げ迎える者と拒絶する者に別れ、中には歓迎する者に火薬を仕込み、亡き者にしようとする者まで現れる。しかしそれは未だ消えず残り、アポストロフィだけが雪のように溶けていた。 #twnovel

2010-12-06 03:40:28
あやばね @ayabane

「私は、あなたのようになりたいんだブトリーヌ」「君ならなれるさ、きっと」「どうすればなれる?」「簡単さ。今、そのままの君を続けるコトだよ、クッチャーネ」「感謝する。ショーヴァツ・ブトリーヌ…」 #twnovel

2010-12-31 16:09:55
あやばね @ayabane

「酷い顔だな。みんな探してるぞ」「知ってる」「…あいつはどこだ?」訊ねられた男は気怠く、光の源を指差した。夜空には円を描いた月が兎の姿を浮き彫りにして、二人を照らしている。「お前…帝釈天にでもなったつもりかよ」「俺の中に生きている、とでも言えば満足か?」#twnovel_ny

2011-01-02 21:00:45
あやばね @ayabane

ああ、あった。時間が経ちかなり汚れてしまっているが、僕の青いボールに違いない。前後には仲間の茶色がかったボールが並んでいる。まぁいい、このショットで、燃え盛るあの火の中に打ち込めば僕の勝ちだ。僕はドライバーを構え、渾身の力でボールを目指すゴールへとぶっ叩いた。 #twnovel

2011-01-09 23:30:17
あやばね @ayabane

メールでなんとか自分の気持ちを伝えたかったが、心だけが浮ついてなにをどう書いていいものやらわからなかったので、ネットの「ラブレター文例」とやらの格調高そうな文をコピペしてメールした。すぐに返信があった。件名は「人違いですよね?」本文は「私、花子じゃありません」 #twnovel

2011-01-23 04:05:13
あやばね @ayabane

「どうしていつもここに?」「僕は…きっとライトを浴びすぎた。だから影が焦げ付いてしまった。影がそこにいるから、僕は動けない」「あなたは影ではない」「でも僕の影だ。証拠に皆は影と喋る」「こんなの、汗も涙も出せない単なる物理現象よ」その子は影を踏みつけて眩しく笑った。#twnovel

2011-01-31 18:43:23
あやばね @ayabane

後悔に埋れた私の元に、天使が現れた。その顔は穏やかで、なぜか懐かしい。「私には人の時間を一度だけ、戻す力があります。今の記憶は残りませんが」 「頼む!10年前に戻してくれ。二度と過ちは繰り返さない」天使は深いため息をつく。「あなた、10年前もそう言ったんですよ」#twnovel

2011-02-18 05:39:54
あやばね @ayabane

遠距離恋愛してる彼女の所に連絡もせず会いに来た。驚く顔が目に浮かぶ。合鍵で彼女の部屋のドアを開けると、愛しの彼女がいた。男もいた。「あ、」男が何か喋ろうとしたが彼女が遮った。「違うの。この人はあの、うん、弟なの!」「…ということは君は俺のお姉さんにもなるのかな」 #twnovel

2011-03-02 08:04:25
あやばね @ayabane

「今日何日?」479日。「…誰が私の彼氏いない歴を聞いたのかね」ああ、西暦で?「そう、そっち。普通そっち」3月6日…お前もよくわかったな。「腐れた縁から香ってくんだ、君の思考。あ、来週は白い日ね!お返しよろ」その日、その歴をクリアしてやるぞ。ううん、何でもない。 #twnovel

2011-03-06 18:29:14
あやばね @ayabane

「人にゃ繋がる力と繋げる力がある。こりゃ一緒の物だ」大将が唾を飛散して言う。「料理もそう。米の上に魚乗せてみたり、韮を卵で絡めてみたり。お前だって持ってるんだよ、その力。そしてその繋がりは簡単には切れん!」僕のハートと携帯が震えた。今度はちゃんと謝れる気がする。 #twnovel

2011-03-12 23:24:22
あやばね @ayabane

人の小指に掛る糸が視えた。運命のアレかと思ったが、赤い物は見たことがない。自分の指にも結われていたが、やはり赤くない。いいとこマゼンタだ。ある時同じ糸が視える女の子に出会った。「重ねたら、綺麗かも」彼女は自分の指の黄色い糸を、そっと僕の糸に絡ませた。頷く、二人。 #twnovel

2011-03-26 10:06:27
あやばね @ayabane

「女性だけの部族…憧れるわ」「アマゾネス?俺、沢山フォローされてるけど」「え。いるの?ホントに?綺麗なのか?」「そう、皆美しいアイコン。その姿に心奪われ、彼女達の囀りに耳を傾けていると…」「いると?」「最後に必ずAmazonに導かれるんだ…!」「( ´_ゝ`)」 #twnovel

2011-04-07 13:19:45
あやばね @ayabane

「ジャック、こんなメロディを聴いたことはない?夕べ夢の中で思いついたの」ポーラはピアノで、美しい調べを奏でた。「あるある!出だしは××そっくりだし、サビなんて◯◯そのものじゃないか。これを世に出そうなんて考えは誰も幸せにしやしないよ」「ありがと。あと一人にして」 #twnovel

2011-04-13 21:27:01
あやばね @ayabane

あなたはいつも私に珈琲をいれてくれる。「豆の挽きたての香りが好きなんだ」それが、あなたの口癖。あなたの部屋のドアを開けると、いつも珈琲の香りが迎えてくれる。私もその香りが好きになった。好きだった。その香りに、女物の香水がブレンドされているのに気がつくまでは。 #twnovel

2011-05-03 17:12:41
あやばね @ayabane

先月使ったばかりのカードのポイントがもう1000増えていた。ラッキー♪でも、何で増えたんだろ。きっと、過去に何かのキャンペーンに登録していたに違いない。そうに違いない。じゃなきゃ、10万買い物しないと貰えないポイントがついてるはずがない。使っていない。俺自身は。 #twnovel

2011-05-21 12:02:20
あやばね @ayabane

昔から意思が薄弱で、無色な心は人の言霊に易々とその色を奪われた。「やればできるんだよ」と親に言われた時も、「私のこと好きなんじゃないの?」と元カノに言われた時も、「お前がやったんだろう」と刑事に言われた時もそうだった。 #twnovel

2011-06-05 14:09:55
あやばね @ayabane

やっぱ1人でくるべきだったな。ずっと楽しみにしてたアーティストのライブ。その、原石に不純物が混ざってるっていうのかな。いつもの僕なら、そりゃ視界を27度くらいに絞って傾注して魂まで彼に寄りかかるんだけど、君が隣にいると視界が217度くらいに広がるっていうかさ。 #twnovel

2011-06-13 23:05:02
あやばね @ayabane

「久しぶり!ちょっと見ないだけだったのに…大きくなったね。もうすぐ私、追い抜かしちゃうんじゃない?絶妙なバランスでそびえ立っちゃってさ。このぅ、つんつん。あ、ごめん。修正だよ修正。要感謝」「わかった片付けるから…Amazonの箱に話しかけるのやめてくれないかな」 #twnovel

2011-06-29 19:52:53
あやばね @ayabane

古今東西の探偵が招かれた、瀟洒な部屋の扉がカチリと囁く。「探偵諸君、しばらく儂の実験に付き合ってもらうぞ…」「閉じ込められた?いかん、犯罪者が野放しに!」やがて一年が過ぎ、あるニュースが流れた。「過去一年の犯罪件数が、過去最低を更新しました」世は概ね事もなし。 #twnovel

2011-07-02 15:06:16