稲川淳二の『つぶやき怪談』(2018.04.23)

稲川淳二 @Junji_Inagawa

長―い坂道を登りきった工房から 見渡す限りの眩しい太平洋をタンカーがゆきます。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

新緑の中に、別荘の淡い黄色やピンクに水色と、色取りが点在して、 視界には、二階建て以上の建物は見当りません。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

一日に見掛ける人は、せいぜい３、４人。 ゆったりと時間が流れて、 初夏の風に、庭の南国の木々がザワザワと揺れてます。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

毎朝、水平線が昇る日の出とともに机に向かって、 西日が辺りをオレンジ色に染めて、静かに沈む頃、 その日の勤めから解放されます。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

という訳で、此処ひと月、外へも出ずに、景色を眺めています。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

要するに軟禁状態なんです。 みなさんは、お変りありませんか？ 稲川淳二です。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

只今、ひたすら、もくもくと、ツアーへ向けての仕込中。 ああ！　夏が近付いてくる。　時間がない。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

もう直ぐ、全国キャンペーン巡りの死のロードが始まっちゃう。 そんな私に、とっかえひっかえ交代で身内の面会があります。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

現在私は囚人なのかも知れません。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

みなさんと、お会いするのを楽しみにしています。 怖くて、楽しい時間を今年も共有しましょうね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

あっ、それと、６月の「稲川まつり」 まだ参加できますから、よかったら、お待ちしてますよ～。 詳しくは、ＨＰからお申し込みくださいね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

さて、それでは「つぶやき怪談」、始めますか、 「怖・楽しい怪談」はいかがですか～？

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ゆったりと、くつろいで、怖ーい噺を楽しんで下さい。 稲川淳二の「つぶやき怪談」、怖・楽しい時間を、共有しましょう。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

私ね、茨城県の方に、自分のデザインの工房があるんですよ。 時折そこへ行って、デザインの仕事をしているんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

まあ、その時も、仕事やってて疲れたので、 はあっ、 と一息入れようと思ったら、もう外は暗いんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

『ああ、もうこんな時間になっちゃったのかぁ』 と思って、ボーッ、 としてましたら、突然、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

けたたましいエンジン音を轟かせてて、 さほど広くもない道幅の、長ーい坂道なんですが、 そこを軽トラックが物凄いスピードで、クーッ、 と駆け上がって来たんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そのうち向こうから、 キューッ、 と急ブレーキの音がしたんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

間もなくすると玄関から、 友人の接骨院の先生が、転がり込んで来たんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

”へっ、へっ、へっ” って大きく息を吐いているから、 「あんただったのかい？　危ないよ、あんな運転しちゃ」 って言いながら見たら、唇の色が無いんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

フ～～ッ、 って震えてるんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そして彼が、 「座長ねぇ…今、水路でもって幽霊見ちゃった」 って言ったんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

私、仲間内では、座長っていうニックネームで呼ばれてるんです。