【グレイグルーム・アー・カミング・アズ・グリーンアイズ】

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2018-05-07 21:01:59
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2018-05-07 21:11:42
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【グレイグルーム・アー・カミング・アズ・グリーンアイズ】

2018-05-07 21:21:31
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「マジで見られているんです」「ハイ、ハイ、頭痛や倦怠感ね。それはね、季節の変わり目にはよくあることで…」ダメだこいつもヤブ――クソッタレに役立たない――医者だ「体調の調節ですね、それが不安定に……」もうこれで八件目だ。俺は苛立ちながら金を払い、重金属酸性雨降り立つストリートへ退出した

2018-05-07 21:25:33
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ストリートでは扇情的なPVC衣装を着たベイブやビニール袋にストローを突っ込んだヤンクたちが屯して、道を行く男どもを見物している。クソッタレな光景だ、金と、薬と、自分たちの未来を切り売りして一時の感情を得ようとしてる。あいつ等をまとめ上げるギャングも、結局は同じ穴のフォックスだ。

2018-05-07 21:28:31
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ここはバーチャルヨコハマ、乱立するネオンビルと降り続ける重金属酸性雨に囲まれた無間地獄。人々は暗黒メガコーポの搾取の中、わずかな金をバーチャルにつぎ込みつらい現実から逃れようとする……クソッタレなことにそのバーチャルすらも、メガコーポの手によるものだ。

2018-05-07 21:33:10
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そして俺は、■■■■■。センタ試験を勝ち上がり、あまたの同僚たちを蹴落としてきたクソ野郎だ。家も金も、望んていた全てを望んでいたよりも上の水準で手に入れた男だ。毎日クソみてぇな職場でクソみてぇに働いて、何もしないで死んでいく、クソみたいな男だ。

2018-05-07 21:36:59
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毎日、同じ時間に起きて、同じように働いて、同じように総合医療センターへ向かう。ただそれだけの、生活。俺の……何か大切なものは穴の開いた浴槽みたいに目減りしていくだけだった……あの”目”が見えるようになるまでは。

2018-05-07 21:39:30
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はじめは遠景にぼんやりと見えるだけのソレを飛蚊症か何かと思い、俺は気にも留めなかった……ビズで忙しかったからだ。だか、日増しに近づいてくるソイツに俺は正気を疑い、脳みそがパスタになった事を疑って所属を偽り沢山の地区で医療センターへ通い詰めた。だが、結果はこのありさまだ。

2018-05-07 21:42:31
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社宅までストリートを歩く、警備トークンは切れていないのでヨタモノに襲われる危険性はない……だが、トークンでは緑目玉のスカム野郎を追っ払えない。日を重ねるごとに近づくソイツは今――ケミカル汚染された水面の反射を見るに――俺の目の前にいるらしい。

2018-05-07 21:45:36
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このバーチャルヨコハマに於いてシーノーイーヴルは何よりも求められるスキルだ。ヤンクに襲われる浮浪者を、事業の責任をとらされる同僚を、ストリートで行われる暴虐を無視することのできない人間は、この町で生き抜くことはできない。俺は社会人経験で培われたソレを生かし、乗り越えようとした。

2018-05-07 21:50:17
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緑目玉のスカム野郎は何をしてくるというわけでもない。ただ、奴は探せば視界の隅に必ず居る。日増しに近づいてくるその存在を俺はミテミヌフリし続けた。害は無かったからだ。今やそいつは膨れ上がり、ネオンビル街からわずかにのぞく暗い空を完全に覆いつくしてる。

2018-05-07 21:53:11
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気づいたころには社宅は目の前だった。アブナイだ。あの目玉野郎に気を取られて現実への警戒がおろそかになってしまえばいつストリートに潜むミュータントたちに殺され金を巻き上げられても文句は言えない。ここはそういう街なのだ。

2018-05-07 21:55:28
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無愛想なカンリニンサンからキーを受け取り生体認証を済ませて社宅へ入る。エレベーターへ載る。かつてガラス窓越しに見えていた風景は今や緑のゴアめいた背景に覆われてもう見えない。8i階のボタンを押し、ドアを閉める。「クスクス、おもしろいの」背後で女が笑って……女?いったいどこから現れた?

2018-05-07 21:59:25
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眺めてみればオレンジブロンドの髪をボブに切りそろえた少女が笑いかけていた。蠱惑的なコスチュームはとても年相応とは呼べないだろう……「空いてますか?」「エッそりゃ空いてますけど……」50人乗りのエレベーターには俺と女以外に乗客なんていない。おかしなことを聞く女だ。

2018-05-07 22:02:23
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しばらくの間俺も女も話さなかった、俺の部屋がある8i階に行くには虚数海を越える必要があり、時間がかかる。「海に行こうと思って」「エッ」「ちょっと職場で煮詰まっちゃって……」「あぁ……大変ですよね、黄金週間も終わって……」「彼氏募集中なんです」女がスカートをちらりとあげる。

2018-05-07 22:05:09
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「私たち、気が合うと思うんですの」女はオレの太腿に触った。そのとき、オレは目を見張った。なんてこった。オレのオレが……厳しい社会の中で失われつつあった野性が!今ここで!なんてファムファタルだ!「どうしたの?」「こっちの話です。それじゃ二人でホットに海……」

2018-05-07 22:07:03
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女は小さな体躯を伸ばし、腕を俺の頭の後ろに回した「ンー!」女にせがまれ、オレはホットなキスをした。絶頂だった。だからガラス窓の外がなぜか虚数空間に行ってもないのに真っ黒で、緑目玉のことなんてオレはすっかり忘れてたんだ。だが現実は非常だった。「いや!違うこれは!」「ビルビルーッ!」

2018-05-07 22:09:43
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口の中を何千匹ものナメクジが這いまわるのを感じる!俺は力任せに女の頭を押しのけようとした……奴の口から延びる触手が脳髄を食い破るヴィジョンを皮肉にも俺の野生が感じ取ったのだ!「ウギャァァッ!」だが奴の腕はいつの間にかニシローランドゴリラを思わせるたくましいものになっている!

2018-05-07 22:13:15
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「ビルビルビルビルーッ!もう遅いわァーッ!」ヒイエエーッ!何でこんなーッ!「作れ!作るのだ!作れェー!」怪物は強要する!「アバババーッ!」もうすぐオレはおしまいだ。記憶がフラッシュバックする。そうだ、オレは昔はよく動画を作っていた……このバーチャルヨコハマで……みなと楽しく……!

2018-05-07 22:15:39
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だがいつしか、バーチャルヨコハマをただ生きぬくだけの勉学の忙しさに負け、日々の惰性にかまけ、なんだったらほかにもっと良いの作る奴がいるからいいや的な気持ちが徐々に増していって……野性を失って……でも今はただ日々の勤め仕事に……「作るのだァー!」「ウワァーァァァーッ!」

2018-05-07 22:18:27
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KRAASH!その時だった、エレベータドアがこじ開けられ鈴木土下座衛門めいたブロブ肉塊が猛烈な速度でエレベーター内へ突入してきたのは!奇怪なグロブスターは俺のすぐそばで破裂しサイケ色彩の体液をまき散らす!「グワーッ!」怪物は俺を掴んでいたせいでよける事も出来ずに健康に悪そうな汁を被る!

2018-05-07 22:22:43
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あからさまに人体に悪影響を及ぼすサイケ汁の中から現れたのは長く伸びる枯れ枝めいた触手を伴い、碧眼を光らせる緑色のクリーチャーだった!「バーチャル宇宙神格ンホホ・ヌフプ、参上!」「ビルビルビルーッ!バカな!」怪物が飛び下がり、オレは解放された。「お前はカンボジアで滅されたはず!」

2018-05-07 22:27:02
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「お前は……一体……?」俺は震える声でそう問いかけた。「このバーチャルヨコハマでは時として現行の物理法則では説明のつかぬことが起きることがある」「ビルビルビルーッ!」怪物が身構えた。目玉野郎は怪物に向き直った。俺は脳が現実の理解を拒んていることを実感した。

2018-05-07 22:29:32