トラック島で戦車兵をやっていた祖父のこと

さわK@リコリコ報道解析部/神浜探検隊 @chiqfudoki

うちの爺さんが亡くなる前に「日本って良くなったと思う？」みたいのは聞いたことあるな。よくなったとは言ってた。 夏なのに暑さに苦しむこともなく、東京タワーとスカイツリーが見える空調の効いた部屋で人生を終えたのだから、平和と繁栄の恩恵には十二分に与ってるよね。

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てか輸送船沈められて戦車失ってその後のテニアン機銃掃射も生き延びて、南方戦線では毎日空襲されてた戦車兵だった人間が夜に高層階で孫が3時間前に撮ってきた最新戦車の動画や写真をiPadで楽しめる世界なんだから、そりゃ戦後世界を作った意味はあったでしょうよ。

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バズり出したんで爺さんについて追記。朗らかでモテる人でよく怒鳴る人で暴力主義者でセクハラやDVもよくやる人だった。俺はとても可愛がられて始終明るい雰囲気だった。 んでも、戦争の話の時には真顔になって「戦争は絶対にしちゃいけない」って、急に周りの温度を下げる勢いで短く言う人だった。

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戦争は何でいけないのか？という会話はしたことがないけど、 「人間って簡単に死ぬね」と南方戦線のことを言っていたのがヒントなのかなとは思う。戦争の話は楽しく語る人だった。（彼の率いた部隊では死者は一人） 今振り返ると、軽快に語る中に割とサクサク人死にの話が出ていた。

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例えばテニアンの機銃掃射。貯水タンクの上に仁王立ちになって軍刀かざして戦闘機に対峙したら生き残ってて、「生き残った」方の話をするからワクワク冒険譚なんだけど、生き残れなかった多数の人がいるわけで。

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で、その後意気揚々とトラック島に向かう道は、吹き飛ばされたり焼け死んだ死屍累々の対空陣地跡の道を征く。 生き残った人が主人公の話だから、意気揚々。 悲惨さの方にクローズアップすれば全く別の語り口になるはず。 ってか、意気揚々とでもしなければ心がもたない状況だったとも思う。

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ΖガンダムよりZZガンダム序盤の方が人の命が軽くて、えぐい死に方が多い。（なんせギャグ扱いでサクサク死ぬ） んだけど、ギャグテイストだからそうは見えない。 Zのノリでやってたらとても陰惨だったと思う。 そーゆーもんなんじゃないかな。

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戦車兵時代が青春だった、だとか 軍人には適性がある、だとかは思ってたらしい。 実際に華があってリーダー気質の人ではあった。 あと「暴力はダメだ」も真顔になってよく言ってたな。 本人はカッとなって怒鳴る人なんだけどねw

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あと、水や食い物を粗末にする話にも敏感にキッとなる人だった。 羽ぶり良かったから高度成長期にスキー行けたりしてたんだけど、その頃のスキーリゾートは使える水の制限があったりしたらしい。 なお、本人は飯を残したり、出た飯を「食えたもんじゃない」って言って突っ返したりもしていた。

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なので、戦時のギリギリでシビアな状況下での「暴力」「命」「食」への認識と、彼が俺と触れた平時の「暴力」「命」「食」への認識は繋がっていないんじゃないか、とは思う。 矛盾しているじゃないか！ではなく、爺さん的には整合してたんだけど、彼自身がおそらく説明できなかったと思う。

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祖父の宣伝ちょっとだけしとくか。 ラジオドラマの黄金時代 西沢 実 amazon.co.jp/dp/430901450X/… @amazonJPさんから 俺が知ってるのなんて極々断片なので、また別の面を見られると思います。

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あと、祖父のいた戦場を語るならコレ。 「アベ政治を許さない」を揮毫した人の本だけど、その底流にある文脈は、あのフレーズから受ける印象とはかなり違うんじゃないかなって俺は思う。 あの夏、兵士だった私 金子兜太 amazon.co.jp/dp/4860294513/… @amazonJPさんから

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祖父と金子兜太さんとでトラック島で句会を発起しており、お互いに盟友のように接していたと記憶している。 残念ながら、俺はこの二人のどちらとも政治について満足に話をしたことがない。 俺が分かるのは、「祖父が戦争についてどういう言動をしたか？」という、直接見聞きした部分に限定される。

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祖父に見せた戦車、祖父の見た画面。 2013年の超会議は、祖父に見せるためにiPadで10式戦車の撮影をすることも大きな目的でした。 見せたらたいそう喜んで、100枚くらいをノリノリで見てました。 pic.twitter.com/O295FRKIBI

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祖父は司馬遼太郎さんのことを嫌いだったんだけど、理由が「あの人は戦車隊のことを悪く言ったから」だった。 大和級戦艦（トラック島から退避してきた武蔵）とすれ違った時のことも話してくれた。 山か島という形容をしていたように思う。

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祖父の語るトラック島での生活が面白おかしいものだった、というのは母と俺の共通の認識。 ※大空襲で基地機能を喪失した後なので、定期的な空襲があったものの、上陸戦は起きなかった。 最後の半年くらいは島が違うはずだけど、金子兜太さんの体験した”戦争”も、同じ文脈の上にはあると思う。

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フルーツ採ったりタバコ吸ったり風呂入ったり畑で芋作ったり島民に慕われたりしてて、そこだけ見ると楽しそうではあるんだけど、相当ひもじい思いもしたらしいし、通常食べないものも食べている。 定期便の空襲→防空壕に避難、はいつものこと。 祖父の隊で稀だっただけで、犠牲者も出ている。

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サムネ用と宣伝兼ねて。 pic.twitter.com/ux8NZVvceF

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あと、祖父絡みだと 「夜中に些細な物音でも目が覚める体になった」ってのがあった。 乗ってた輸送船が沈んで、しばらく後に味方の軍艦に救出されてるから。 （祖父の弁だと駆逐艦。だとすると該当する艦は藤波なんだけど、事実関係から行くと海防艦なんじゃないかと俺は思ってます。）