企画詩雨粒企画

よすけ @mondeyosuke

ふらり寄り道楽しい家路 買い物用事、支払い用事の帰りでも 家に着くまで何分か 楽しい歩きの帰り道 そこに雨粒 一気に日常戻されて あれこれ焦り急ぎ足 一気呵成の家路つき #雨粒企画

春森しゆう @junju_usako

春の森にのこる雨粒。 かつてつながっていた指と指、離れたあとの方が温かい。 繊細な虹を踏み荒らしたくなくて、そっとそっと見つめている。 ねぇ、まだ、私はいますか？ 声を忘れてしまった。 #雨粒企画

ちとせ @chitoseyuri

お弁当は下駄箱の上。ハンカチ、腕時計、お財布、電話、ベルト。皆揃えた。降ってる？―洗面所で夫が声を上げる。はいはい見ます、玄関を開けて空に目を凝らすと風の中に雨粒の蚊柱が立つ。合羽、合羽！フードをつけ、ズボンと並べて床に広げる。鞄にビニールを被せて、と。雨の朝の一仕事。#雨粒企画

haruru @springwing216

フロントガラスにぽつんと雨粒 あ、わたしも泣きたかったんだ 降り出した雨に 動かすワイパーに 滲むテールランプに 甘えながら泣く いま、だけ #雨粒企画

ちとせ @chitoseyuri

無造作に巻いて傘立てに突っ込まれた娘の傘を広げて干す。昨夜の雨粒が折り皺の中で眠っている。足許に纏わる猫と一緒にベランダに出て、満艦飾の洗濯物の下に薄紫の花をぱんと咲かせる。今朝の青空の何という深さ。季節は刻々と移ろう。#雨粒企画

そよ花 @nonoka57

雨粒が旅をする しゅるしゅるっと葉っぱをすべる レストランの赤いテントにとまる 車の屋根を弾いてダンス 若草色の傘をくるくるり 旅は空から続く 世界はしっとり #雨粒企画

雨粒あめ子 @amagasa_sasite

最寄りの駅まで歩く 右手に傘を 左手には杖を 関西には会いたい人がいる 十五年前の冬 雨粒の音を好きになってくれたあの子 この顔をもうすっかり 忘れてしまっただろうけれど 最寄り駅まで歩く途中咲く雑草の花に ときめいていた あの子 #雨粒企画

丑詩聡成(橋本哲也) @hasimototetsuy2

#雨粒企画 頭の上にぽつり 見上げてみたらぽつりぽつり 腕をあげてみたらぽつりぽつりぽつり いつか私を濡らすだろう 誰かの上にもぽつり 歩いている猫にもぽつりぽつり ぼんやりみてたらぽつりぽつりぽつり 雨は何かを訴えていて 何か言いたいのに言えなかった ぽつりぽつり雨粒ぽつり。

雨粒あめ子 @amagasa_sasite

@junju_usako 右脳に無事に届いた甘い粒そう、雨粒 ありがとうと発声した うみべに転がった砂砂を手の甲に並べてみたら寸秒で とまることなく青に却っていった #雨粒企画