【潤譚】小話ツイートまとめ

気が向いたときに呟いた小話ツイートのまとめ
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さみしい(かもしれない)話ver潤君

蛇烏創作垢 @hbkrs_s

潤さんは買い忘れたものに気がついた午後、鏡張りのダンススタジオで仲のいい夫婦について知っているという話をしてください。 #さみしいなにかをかく shindanmaker.com/595943

2018-05-13 02:33:45
蛇烏創作垢 @hbkrs_s

ある夏の暑い日の話なんだけどさ。母さんに買い物を頼まれて帰ってきたわいいんだけど買い忘れがあって、急いで買いに戻った帰り道に、ふと目に入った建物があって。そこはダンス教室とかそういうことに使われてるちょっと広目のホールっていうか教室みたいな?部屋があるところなんだけど。

2018-05-13 02:36:21
蛇烏創作垢 @hbkrs_s

外から中の様子が見えるように道路に面した部分がガラス張りになってるんだよ。ジムとかによくあるやつ。んで、部屋の中の壁は鏡張りだから部屋とか外の景色が映ってる。本当にふと、暑いなぁなんて気持ちで顔を上げたらそこの部屋が目に入って、そこで一組の夫婦が踊ってるのを見たんだ。

2018-05-13 02:39:03
蛇烏創作垢 @hbkrs_s

仲良さそうに踊ってた。ダンスの種類なんて僕は詳しくないからわからないけど、二人でくるくる回ったりしてさ。あーやってるなーって思って通りすぎようとして、気づいたんだ。部屋を見渡しても夫婦どころか一人も人がいないんだ。それなのに鏡の中には踊ってる夫婦が映ってた。

2018-05-13 02:41:39
蛇烏創作垢 @hbkrs_s

暑さで幻覚でも見てるのかと一瞬思ったけど、それよりは視えてしまったんだなって考えた。嫌だけどよくあることだし。そうわかってから見ると確かにちょっと…不自然っていうか、うん、その、身体が普通じゃなかったりしてた。バランスとか欠けてたりとか。ほとんどまともだったけど。

2018-05-13 02:44:49
蛇烏創作垢 @hbkrs_s

でも夫婦は本当に幸せそうでさ。悪い感じとか全くなくって。誰もいない隙を狙ってダンスの練習してるのかなとか思ったんだ。……ダンスに未練でもあったのかなとか、ちょっと余計なことも考えちゃうぐらい楽しそうで──なんか悲しくなって。そこで僕は見るのを止めて家に帰った。

2018-05-13 02:49:03
蛇烏創作垢 @hbkrs_s

あれ以来あそこを通っても夫婦は見かけたことないんだよね。兄貴とかも見たことないっていうし。噂とかあるかなって思って少しだけ調べたことあるけど特にあの辺で霊が出るって話はなかった。……あの夫婦は満足出来たのかな。それならいいんだけど。

2018-05-13 02:52:14
蛇烏創作垢 @hbkrs_s

久しぶりに暑い中あそこを歩いてちょっと思い出したんだ。そういうことがあったなぁって。これは、ただそれだけの話。

2018-05-13 02:53:01
蛇烏創作垢 @hbkrs_s

さみしい話じゃねーなこれ? ちょっとホラー風味な不思議な話なだけだな?

2018-05-13 02:53:46
蛇烏創作垢 @hbkrs_s

夫婦が未練残して死んだ的な話を盛ろうかと思ったけどやめてしまったので本当にただの不思議な話

2018-05-13 02:55:36

さみしい(かもしれない)話ver常盤さん

蛇烏創作垢 @hbkrs_s

常盤さんは雲ひとつない晴れの2月の正午、無人に見えるコンビニで蕾からでは色のわからない花の話をしてください。 #さみしいなにかをかく shindanmaker.com/595943

2018-05-17 01:14:26
蛇烏創作垢 @hbkrs_s

気がつくとコンビニにいた。いや、それはいい。問題はこのコンビニが無人だということだ。裏にはスタッフがいるのかもしれないが、少なくとも気配は感じられない。無人のコンビニという珍しい状況に心踊らないのは、ガラス越しの外に見える世界が普通じゃないからだろうか。

2018-05-18 00:50:49
蛇烏創作垢 @hbkrs_s

コンクリートで整備された駐車場とその向こうには道路。しかし人も車も一つたりとも見当たらない。そらだけではなく、コンクリを破るように沢山の花が生えていた。正確には全て蕾であり、花弁を開いているものはない。地面がコンクリでなければ花畑といっても差し支えないが、それは異様な光景だった。

2018-05-18 00:54:43
蛇烏創作垢 @hbkrs_s

(…なんの花かわからないな) ガラス越しに目を凝らしても閉じた花弁の色はおろか種類さえわからない。そこらの一般人より余程草花に詳しいという自負があるが、本当に俺の知らない花なのか。それともそもそも存在しない花なのか。この空間の異様空気は後者の可能性を高めていた。

2018-05-18 00:56:52
蛇烏創作垢 @hbkrs_s

コンビニから一歩出れば目の前で観察することが出来るだろう。が、俺の直感が「出てはいけない」と訴えている。 ……古今東西、陰陽師の直感は信じるべきだ。俺は陰陽師と名乗るには力不足だが、心得は小さい頃から叩き込まれている。だから、ここを出てはいけない。

2018-05-18 00:59:51
蛇烏創作垢 @hbkrs_s

だからじっとガラス越しのまま花を眺めていた。高い太陽の陽を浴びた花はそれなのにどこか不健康そうな印象を受けた。コンクリを破るように根差しているはずなのに、そんな力強さはない。萎れてはいないが、今にでも枯れそうな空気すら醸し出している。

2018-05-18 01:02:27
蛇烏創作垢 @hbkrs_s

と、不意に風が吹いたのか花が揺れた。途端にざわざわと音が響く。 『たすけてよ』『えいようを、ちょうだい』『みすてないで』 それはまるで花が喋っているかのようなざわめきだった。空間が声を反射する。 『たすけて』『わたしたちも、そだてて』『── ときわ』 「…………っ」

2018-05-18 01:05:18
蛇烏創作垢 @hbkrs_s

名前を呼ばれて俺は身構えた。明確に俺を狙った、その意思がある何かがここにはいる。助けて?育てて? それらから導き出されるこれらの正体とは。 『あなたがそだててくれれば』『きれいな花が』『きっとさかせるから』『だから──』 「悪いがそいつぁ認めらんねぇんだ」

2018-05-18 01:09:05
蛇烏創作垢 @hbkrs_s

ざわめきを止めるように強い声が空から響いた。視線を向けるよりも早く目の前に桃色の嵐が吹き荒れる。渦巻く風に色がついている理由は、大量の桜の花弁がそこに混じっているからだ。嵐に飲まれた花たちはその花弁を開くことなく刈り取られ、消えていった。

2018-05-18 01:13:55
蛇烏創作垢 @hbkrs_s

気がつくとコンビニにいた。しかしそこは無人ではなく普通に客も店員もいる、何の問題もないコンビニだった。そこのガラス近くに俺は立っている。外を見てもただの駐車場と道路があるだけで、人も車も利用している。さっきあんなに生えていた花は一本も見当たらない。

2018-05-18 01:16:14
蛇烏創作垢 @hbkrs_s

外に見覚えのある後ろ姿を見つけて俺はコンビニを出た。出入口の側でガラスに凭れるようにして吹雪が立っていた。俺が近づくと少しだけ不機嫌そうな顔をこちらに向けた。 「無事だな」「……何があった」「俺の台詞だ。変なもんに引っ張られやがって」「説明しろ」

2018-05-18 01:20:06
蛇烏創作垢 @hbkrs_s

「最近、草むしりしたか?」「昨日庭と…あと町内会の手伝いで三日ほど前に少ししたな」「……お前が抜いた雑草やらなんやらが、お前にすがってきたんだよ。自分も育ててくれって」「雑草にそんなに力があるのか?」「お前が抜かなくても、町全体で抜かれた分がまとまったんじゃねぇの?」

2018-05-18 01:29:08
蛇烏創作垢 @hbkrs_s

「…信じがたいな」「あとは、お前が今まで抜いてきた分が積もり積もったかな。なんにせよ植物と相性がいいからこっちとしても引っ張りやすい。呼び込んで、力を吸おうってやつだ」「…なるほど、コンビニから出たらアウトだったな」「……」「…助かった。今度からはたまに焚き上げでもしよう」

2018-05-18 01:33:06