- haccccchi18
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そこではっとして香霖を診る魔理沙。 魔理沙「あっ……こうりんは、いい妖怪! ……妖怪がわるいとかじゃなくて、わたしが、わたしだけが、わるい妖怪になりかけ……」 また目をそらしてうつむく魔理沙
2016-05-02 03:09:48魔理沙「だから、……このまま、すてられたほうが、すごくいいとおもう。そしたらとうさまとかあさまのこどもは、おとうととか、いもうととか、またうまれてくるとおもう」
2016-05-02 03:11:52魔理沙「だから……だから、こうりん」 子供とは思えない静かな瞳で、香霖を見つめる魔理沙。 魔理沙「……わたしをつれてって。魔法の森まで。そこまで、つれてってくれればいいの。そこからは、ひとりでいくから」
2016-05-02 03:16:53香霖「何故、魔法の森なんだい?」 魔理沙「……そこしか、しらないから」 ちょっと寂しげに笑う魔理沙。 魔理沙「妖怪なら、まほうつかいになりたいな。まほうの売り物は、おみせに並んでないから、みてみたいかも」
2016-05-02 03:19:58香霖「行っても、悪い妖怪に食べられてしまうかもしれないよ」 魔理沙「たべられたら、わるい妖怪がいっぴきへるでしょ? わたしもだし」 香霖「………………君は、」
2016-05-02 03:21:57香霖「もしかして…………そのお願いを、僕にするために、ここに来たんじゃないかい? 僕と離れで寝るのを納得したんじゃないかい?」
2016-05-02 03:23:02云いながら、そっと魔理沙の頬にかかる金髪を指でどけてやる香霖。 魔理沙「…………うん、そうかな…………そうかも。たのんでみようって、おもってた」
2016-05-02 03:24:13魔理沙「でも、ダメっていうの、わかってるよ。こうりんがとおさまにおこられるもん」 でも。 だけど。 もしかしたら、香霖なら。自分の話を、いつでも真剣に聞いてくれる香霖なら、頼んでみてもいいと思った。叱ったり、ひどく悲しんだりせずに、聞いてくれると思った。
2016-05-02 03:27:19願いを叶えてくれなくても、香霖なりに考えて、答えを出してくれると思った。子供がそんなことをしちゃいけないだとか、自分の命を粗末にするなとか、そういう大人の考えかたの先の、もっと、香霖らしい答えをくれると思った。
2016-05-02 03:29:34もしか、頼みを聞いてもらえるなら、それでもよかった。魔法の森に置いていってもらえるなら。 魔理沙の言葉を受けながら、ただ黙って薄い青灰色の目を細めていた香霖が、話し終わって自分を見つめてくる魔理沙に、ほんの少し眠そうに開いている薄目をしばたたいて、銀色の頭をかく。
2016-05-02 03:35:04香霖「……参ったな…………」 そう云ってもあまり表情の変わらない面で、緩慢な動作で頭をかきながら、香霖がしょぼしょぼとまばたきを繰り返す。 香霖「……ううん……きっと、こんなとき、全うな親や大人は、子供を叱りつけるんだろうけど…………」
2016-05-02 03:38:27香霖「…………僕は出来ない」 自分も大人なのに、むしろ父様や母様や、お爺様よりももっとずっと年上のはずなのに、そんなことを呟く香霖。本当に困ってる様子がおかしくて、ちょっと笑ってしまう魔理沙。
2016-05-02 03:41:06香霖「……そして、君もそんな僕を識っている筈だ。だから、僕に云った。君は賢いから」 そうっと、魔理沙の冷たい頬を長い人差し指の間接で撫でる香霖。
2016-05-02 03:43:33香霖「感心した……君は、賢いな」 目を優しく細めて、うっすらと笑う香霖。 香霖「魔法の森はね…………僕がいつか魔理沙の親父さんから独立したら、店を持とうと思っているところなんだ」 魔理沙「こうりん、おみせもつの?」
2016-05-02 03:50:18思いも知らなかった情報に思わず自分のことを忘れて目を丸くして聞き返す魔理沙。 そんな魔理沙の前髪を、宥めるつもりなのか指でそっと梳くように撫でながら、香霖が続ける。 香霖「うん、いずれね。……だから、魔理沙がそんな僕のこともお見通しで、魔法の森と云ったんじゃないかと思ったけど」
2016-05-02 03:54:10香霖「それまで待ってもらえるなら、うちに来てもいいなと思ったんだけれど。……マジックアイテムも扱うつもりさ。親父さんの店ではご法度だけれどね」
2016-05-02 03:58:43香霖「……だけど、僕はもう少し親父さんのもとで勉強させてほしいから、独立はしばらく先になる。うん、あと7、8年は……僕の物覚えによっては、長くて、10年くらいかな」 長い。そんなに待てない。魔理沙がひっそりため息をつく。
2016-05-02 04:02:02香霖「そんなに待たせてしまったら、その頃には君のもとっくに治ってるだろうしねえ」 ううん、と軽く唸りながら、男性にしては線の細い顎に指を二本あて、長い銀の睫毛をふせて、首をかしげる香霖。
2016-05-02 04:04:44さらり、と治っていることを前提としているところは、本当にそう思っているからで。香霖は嘘をつかない。ごまかさない。感じたことを、誰が相手でも、同じ言葉を選んで、率直に話す。
2016-05-02 04:06:37なんだかそれで、ふっと軽くなる。心がふわりと、暗くて痛い重りを捨てる。なんだ、そんなことなのかと、重々しく考えていた自分が小さく見えてくる。 香霖「ううん……魔理沙に手伝ってもらうのは、いいと思ったんだけどな」
2016-05-02 04:09:23至って真面目にひとつの案を検討して、惜しくも捨てている様子の香霖は、ううん、とまた軽く唸っている。きっと次なる案を求めて。自分が魔法の森に行くことに、最低限そうように。 魔理沙「こうりんはあれもう4時じゃないのばかな
2016-05-02 04:13:12