“星のひみつ”を読む[2]ー謎解き『まりもの星』(谷ゆき子)

『バレエ星』に続き復刊された谷ゆき子のバレエ漫画『まりもの星』。昭和47~9(1972-4)年に小学館の学年雑誌(「小学一年生」「同二年生」「同三年生」「同四年生」)に連載された本作に関する一連の考察ツイート。
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本まとめでは、谷ゆき子『まりもの星』(立東舎・2018)の物語の内容や核心部分にかなり言及しております。そのため、過去に公刊されている作品ではあるものの、初読の方はネタバレについてご留意下さい。


立東舎 @rittorsha

【立東舎5月の新刊】 谷ゆき子『まりもの星』 rittorsha.jp/items/17317432… とうとう谷ゆき子の復刻第2弾が登場! 衝撃の超展開バレエマンガは、一度読んだら決して忘れないはず。かなりの中毒性! pic.twitter.com/HvT2s2Guz5

2018-05-07 18:40:39
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Hiroyuki SAEKI @RandomWalkKSHR

谷ゆき子『まりもの星』——連載が始まった頃は、1972年札幌冬季オリンピックで日本中の熱い視線が北海道に注がれていた。そんなタイムリーを意図したかどうかは解らないが、主人公の故郷・北海道とまりも伝説(オリジナルな内容)が夢幻的情景を紡ぐ作品。 amazon.co.jp/dp/4845632330/…

2018-03-21 08:31:19

物語の構成

Hiroyuki SAEKI @RandomWalkKSHR

#バレエ星 では作中エピソードの構成が低・中学年の掲載誌移行期でほぼ区分される。一方 #まりもの星 では、なでしこの上京・帰郷が物語の切り替わる節目を形成する。

2018-05-25 19:15:42
Hiroyuki SAEKI @RandomWalkKSHR

以下は掲載誌別章分けの復刻版とは別に、内容に準じて区分したもの: 第1部分:北海道編(「小一」1月〜「小二」10月) 第2部分:東京・三井バレエ団編(「小二」11月〜「小三」6月) 第3部分:東京・大森バレエ団編(「小三」7月〜12月) 第4部分:「まりもの星」上演編(「小三」1月〜「小四」8月)

2018-05-25 19:27:29
Hiroyuki SAEKI @RandomWalkKSHR

全編のほぼ3分の1を占める第1部分では、物語の前提となるなでしこの故郷・北海道の「伝承的性格」を様々な幻想的情景で描く。第2部ではなでしこの生活空間を「伝承の場」から「現実の場」へと移し、ここで彼女は都市生活の理を学び、育まれてゆく。

2018-05-25 19:35:11
Hiroyuki SAEKI @RandomWalkKSHR

東京での生活の場を大森バレエ団に移した第3部では、妹のれんげを伴い再上京、初舞台を踏むが、そこで都市の理不尽や不条理に晒される事となり、母の行方の心残りを抱えつつ帰郷する。母との絆であるバレエへの志を全うするため、なでしこは今一度上京する。

2018-05-25 19:43:45
Hiroyuki SAEKI @RandomWalkKSHR

第4部ではれんげの物語の退場と入れ替わりに、母を巡って関わるりつ子が登場する。都市社会の理不尽は更に度合いを強めてなでしこに襲いかかるが、バレエ作品「まりもの星」の舞台を完成する事で、「伝承」と「現実」の世界は融和し、彷徨する母はなでしこの元に還る。

2018-05-25 19:54:53

※「伝承の場」としての北海道、「現実の場」としての東京、という理解は、以降に展開する考察の鍵としてしばしば用いられる。


「まりもの星」の謎を読む

◆「すずらんおか」の謎
あまりにも有名な「崖」。

立東舎 @rittorsha

いわが ぐらぐら ゆれて、 大きな石が、 ごろごろと おちて きました。 右ページがインパクト大ですが、左ページの「ふしぎなことに、なでしこちゃんの前にぽっかり あながあきました」もなかなか攻撃力が高いです。(谷ゆき子『まりもの星』より) pic.twitter.com/4ERXdn8mzh

2018-05-14 18:47:26
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Hiroyuki SAEKI @RandomWalkKSHR

@TaniYukiko_bot 「バレエ星」冒頭でもママの入院する病院が「すずらんおか」にあるというけれど、ここじゃないことは確か。 (^^;

2018-05-03 20:27:20
Hiroyuki SAEKI @RandomWalkKSHR

@TaniYukiko_bot残丘」で検索をかけると「すずらんおか(@まりもの星)」みたいな景色がいっぱい。

2018-05-04 11:29:18
リンク Wikipedia 残丘 残丘(ざんきゅう)は、準平原の中に存在する孤立した丘のことを指す。一般に、そこだけが周囲よりも岩盤が硬いために、断層運動や浸食によって、侵食から取り残されたものである。累層が順序良く重なる地帯では、地形輪廻のような浸食を受けても、取り分けて目立った残丘は発生しにくい。逆に、断層運動などの地殻変動で累層が切断されたり折り曲げられたりした地帯では、場所によって浸食の度合いが異なるために残丘が発生しやすい。日本では早池峰山(岩手県)がその典型とされているほか、北米ではニューハンプシャー州南部にあるモナドノック山

「すずらんおか」の崖の上で、なでしこと母の繰り広げる“謎の特訓”。そこにはどのような意味があるのか。

立東舎 @rittorsha

崖の上で無茶振りする、なでしこちゃんのママ。 谷ゆき子『まりもの星』より pic.twitter.com/ychYhSLYxi

2018-05-28 19:45:53
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Hiroyuki SAEKI @RandomWalkKSHR

@rittorsha 絶対「心の中で泣きながらきびしく」ではなさそうな、狂気をはらんだ何かを感じる場面ではある… (^^;

2018-05-28 20:12:03
Hiroyuki SAEKI @RandomWalkKSHR

@rittorsha 加えてその後の「いいえ、やらなければいけません」の逆光も怖い(表情の見えないところなど、なおさら)。 (^^; この常人ならざる何か、の意味について、下記のような読み方をしてみたが…やはり、怖い。 twitter.com/RandomWalkKSHR…

2018-05-29 11:26:21
Hiroyuki SAEKI @RandomWalkKSHR

物語の上では、「すずらんおか」の崖の上での遣り取りは誰も見ていないし、その一見不可解な内容も母と娘の間でのみ了解されている、という点。 シナイ山で神の啓示を受けたモーセみたいな場面だなぁ、と思う… …のは私だけだろうか。 #バレエ星 と同様、ここにも啓示とミッションを与える母の姿が。 twitter.com/rittorsha/stat…

2018-05-29 07:15:16
Hiroyuki SAEKI @RandomWalkKSHR

物語の上では、「すずらんおか」の崖の上での遣り取りは誰も見ていないし、その一見不可解な内容も母と娘の間でのみ了解されている、という点。 シナイ山で神の啓示を受けたモーセみたいな場面だなぁ、と思う… …のは私だけだろうか。 #バレエ星 と同様、ここにも啓示とミッションを与える母の姿が。 twitter.com/rittorsha/stat…

2018-05-29 07:15:16

この場面の描写については別項「衣装チェンジの謎」も参照。

シナイ山で神の啓示を受けるモーセ(出エジプト記・第20章)

民全員は、雷鳴がとどろき、稲妻が走り、角笛の音が鳴り響いて、山が煙に包まれる有様を見た。

Hiroyuki SAEKI @RandomWalkKSHR

#バレエ星 のママみたいに柔和で優しくなく、やたらとスパルタで厳しいところなんかも“旧約聖書の神”っぽい。 (^^;

2018-05-29 07:17:44

「すずらんおか」の出来事は、なでしこの“見神体験”と言ってもよいだろうか。

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