甘えの構造の光と影

kitabayashi takuya @kitabayashitaku

【光と影①】私は今回の大震災後の日本人の規律性などを賞賛する海外メディアの声、そして過去の歴史の中でなぜ日本はこんなに危機に強いのだろうかと今まで強い関心を持ってました。

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【光と影②】そういった好奇心に駆られいろいろ調べていった中で、どうもそこには「日本人の被害者意識の強さ」があるのではないかという結論に至ったのです。その着想に至ったのは土居健郎著「甘えの構造」を読み直した時のことです。その本に次のような一節があります。

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【光と影③】「被害者意識を持つ人間はただに個人的に被害感を持つばかりではなく被圧迫民族・困窮者・精神病者など被害者一般と同一化している。」また丸山真男著「日本の思想」の一節を次のように引用しています。「日本人に被害者意識が顕著である」と。

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【光と影④】私はこの一節を目にしたとき、日本人の被害者意識の強さ、さらに個人的なものではなく同一化の被害者意識が、日本人の責任を生み出しその結果日本全体における団結力を生み出し、日本は数々の危機を乗り越えていたのではないかという着想に至ったのです。

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【光と影⑤】実際周りを見渡してみると「自粛」という言葉や「こんな時になんなのですが」といったような言葉をよく目にします。これは「同じ同胞の日本人が被害にあってるんだから」といった同一化の強い被害者意識の現れであると思います。

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【光と影⑥】また被災地に物資が届けられたときも、ハイチ地震など海外とは異なり日本においては物資を奪い合うのではなく協力しあうという姿を映像を通して目にしました。このことも日本人の被害者意識が個人的なものではなく同一化すなわち「みんな」であることを象徴しているように思う。

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【光と影⑦】また日本代表のザッケローニ監督が「日本人の特徴はチームスピリット」と発言されていることからも日本人の言葉や行動はまさに被害者意識の強さと同一化の被害者意識にあると言えるのではないでしょうか？

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【光と影⑧】しかし、光を当てれば陰ができるようにこの日本人の被害者意識の強さと同一化の被害者意識には光と同様に陰もあります。その事に気づいたのは先日の連続ツイートをtogetter　http://ow.ly/4yjx7 　にアップしたところ　寄せられていたコメントがきっかけです。

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【光と影⑨】もちろん、その中には私の言葉足らずな結果余計な誤解を招いたり、私の勉強不足からくるものもたくさんあります。しかしそういった事によるコメントを抜きにしても、どうも上記に述べた同一化による被害者意識の強さが感じられるのです。

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【光と影⑩】その象徴的な言葉が「安全と言っていた」です。もちろん、１００％安全といったようなイメージを与え続けていたことは問題であり、管理・運営のあり方と同様、改善していく必要があると思っています。

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【光と影⑪】ただ、被害者一辺倒のような気がしてならないのです。というのも電気を供給していたのは東電であることは紛れもない事実であり、その監督責任を攻められるのは当然のことだと思います。しかしその電力を使用していたのは私たち日本人であり、そういった意味では加害者とも言えます。

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【光と影⑫】そして今まで電力を利用してきたにも関わらず、原発の事故が起こって突然、被害者になり安全と言っていたじゃないかといって原子力反対運動に飛びつくのはどうも不思議でなりません。しかしだからといって、私は日本人の同一化による強い被害者意識をなくせと言っているのではありません。

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【光と影⑬】なぜなら、上記に述べたように同一化による強い被害者意識は日本の危機を何度となく救ってきたからであり、そのこと自体は海外からも賞賛の声が見られるように日本人の素晴らしい気質だと思うからです。

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【光と影⑭】しかし、時として日本人の同一化による被害者意識の強さは負の方向にも働きます。つまり使い方の問題だと思うのです。もちろん、他の事でも同じように簡単には使いこなすことは容易ではありません。

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【光と影⑮】しかし、知っていることと知っていないのとでは大きな違いがあります。それは意識できるかできないかの違いです。また使うか使われるかといった違いでもあります。つまり使う方法を知らないと使うことはできないということです。

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【光と影⑯】その際に知っておくことが「被害者意識の光と影」なのではないかと思います。以上