- kitsuka_02
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【※死ネタ注意】毎年春になると一週間の休暇を取りベネチアのサン・ミケーレ島にお墓参りに行くジャーファルさんとそこで庭師をやってるアリババ君の話(ただの妄想ツイです)
2018-02-16 23:45:54社畜のジャーファルさんは毎年春になると同じ時期に休みを取ってサン・ミケーレ島の小さなお墓にお花を供えに行くんだけど、それが誰のお墓なのかは誰も知らないの ある年いつものように島に行くと庭を管理している人が見慣れたお爺さんからまだ若い男の子に変わっていて、
2018-02-16 23:45:55ジャーファルさんは最初すごく驚くのね でもすぐあのお爺さんも引退してしまったのかくらいに思って気にしないようにしてたのだけど、毎日ミモザの花を持って来てはお墓の前でじっと静かに佇んでるジャーファルさんに少年の方から話しかけてきて、ジャーファルさんはそっとしておいてほしかったから
2018-02-16 23:45:56最初は戸惑うのだけど、話をしていくうちにだんだん打ち解けて仲良くなってくの そんでジャーファルさんが帰る日になって「また来年会いましょう」てジャーファルさんが約束したら少年も嬉しそうに笑って「はい、俺はずっとここにいますから」て答えるの
2018-02-16 23:45:56それから数年間、春になっては小さなお墓の島で再会する少年にジャーファルさんはだんだん心惹かれるようになって、この場所に来る目的が変わってしまいそうになる自分に罪悪感でいっぱいになるんだけど少年はそんな浮かない顔をしてるジャーファルさんを心配して元気づけようとしてくれるから
2018-02-16 23:45:57ますます愛しくなっちゃうジャーファルさん そんなある年、少年が悲しそうに「実は俺、もうすぐここを出て行くんです」って言い出してジャーファルさんはそれじゃあもうこの子に会えなくなるのかってショックを受けるのだけど、でもこれは偶然じゃないのかもしれないって思って
2018-02-16 23:45:57「私も、ここに来るのは今年が最後なんです」って言って、それからジャーファルさんは初めてどうして毎年ここにお墓参りに来てるのかって理由を話すの
2018-02-16 23:45:58ジャーファルさんは昔ベネチアに住んでた時があったのだけどその時仲良くなった年の離れた男の子がいて、その子はいつも元気いっぱいでベネチアの裏道をあちこちジャーファルさんに案内してくれたり美味しいジェラート屋さんを教えてくれたりしてたんだけど、ある時からあまり会えなくなって
2018-02-16 23:45:58心配したジャーファルさんがその子の家まで様子を見に行ったら窓越しに会ったその子がめっちゃ喜んで「外に連れ出して、一緒に遊ぼう」ってお願いしてくるからじゃあお家の人に断ってからって答えるんだけどその子は「親には秘密にして」って言うのでジャーファルさんはいいのかなと気にしつつ
2018-02-16 23:45:58その子の懇願に断ることが出来なくて内緒で外に連れ出すのね そんで二人であちこち小道を散歩してカフェから聞こえる音楽を聴いてジェラート食べてお土産にってミモザの花を買ってあげて家まで送ってあげるジャーファルさん 親にバレるといけないからって少しの時間だったのだけど、遊んでる間その子は
2018-02-16 23:45:59ずっと嬉しそうに笑ってほっぺたを赤く染めててジャーファルさんはずっと可愛いなぁって思ってて幸せいっぱいだったんだけど、翌日またジャーファルさんがその子の家に行ったら昨夜のうちに亡くなったって言われて愕然とするのね
2018-02-16 23:45:59元々病気があるのに外で遊ぶのが好きな子で、昨日も無理してベッドを抜け出していたようでそれで夜発作を起こしてそのまま、って話を聞いてジャーファルさんは自分のせいだって泣き崩れるの その子はベネチア生まれだったからサン・ミケーレ島に埋葬されて、それからジャーファルさんは毎年
2018-02-16 23:46:00その子の命日が近づくとその子が好きだった、その子みたいなミモザの花を持ってお墓参りに行くようになったのでした ってな話を少年にして「私があの時連れ出さなければ、あの子は今も生きて元気に笑っていられたかもしれないんです」て言って顔をあげたら少年がぼろぼろ泣いて必死に首を振ってて
2018-02-16 23:46:00「そんなことないです」「その子は幸せだったと思います」て言っててジャーファルさんも堪らなくなって少年の涙を拭ってあげながら「実は君は、その子に少し似てるんです」って言うの 「髪も目も、それに名前も…」て言いながら
2018-02-16 23:46:00少しじゃない、あの子が生きていたらきっと今頃この子そっくりの姿になっていたに違いないって思って唇を噛みしめるジャーファルさん その時ふと泣いていた少年が顔を上げてじっとジャーファルさんを見つめて、その瞬間何故かジャーファルさんはハッとしてまさかって思って
2018-02-16 23:46:01「…あの子が亡くなって、今年で十二年経つんです。だからあの子の墓はもうすぐ別の場所に移されることになっていて…君は、もうすぐここにいられなくなる…?」て呟いたら少年がポロポロ泣きながらゆっくり頷いて、その瞬間まさかが確信に変わるの
2018-02-16 23:46:01「君は」あのアリババ君なの?って問いかけようとするジャーファルさんなんだけど名前を呼ぶ前にアリババ君がジャーファルさんの口を手で塞いで、それからアリババ君は自分の事を話し出すのね 出会った時からジャーファルさんが大好きだったこととか、一緒に遊べて嬉しかったこととか、
2018-02-16 23:46:02子供ながらに自分が病気で長くは生きられことを知っていたから出来るだけジャーファルさんと一緒に居たかったんだってことを話して、最後に自分の我儘に付き合ってもらってデートが出来て本当に嬉しかったって言って、でもそれでジャーファルさんを苦しめることになってしまって本当に悲しかった、
2018-02-16 23:46:02ごめんなさいって謝って、ずっと罪悪感に苛まれてるジャーファルさんをなんとかしたくてここに来たんだってことを伝えるの 「俺は本当に幸せだったんです。だからジャーファルさんが罪悪感を感じる必要なんかないんです」て言って「ジャーファルさんは十分すぎるくらい、俺を幸せにしてくれました。
2018-02-16 23:46:03だから次はジャーファルさんが幸せになってください」て言うアリババ君にジャーファルさん言葉を失くして呆然としてるんだけどアリババ君がふにゃって笑いながら「笑ってください。俺はジャーファルさんの笑顔が大好きなんです」て言うからジャーファルさんもアリババ君の笑顔につられてふわっと笑って
2018-02-16 23:46:03「…本当に、アリババ君なんですね」ってアリババ君の手を取って自分の頬に当てながら微笑んだらアリババ君が今までで一番嬉しそうに綺麗に笑って、「はい。ずっとずっと大好きです、ジャーファルさん」て言ってちゅってジャーファルさんにキスをして、そのまま光になって消えるアリババ君
2018-02-16 23:46:03残されたジャーファルさんは何もなくなった空間に目を見開いてそれから一人で声を堪えて泣き続けるんだけど、アリババ君が笑ってくださいって言ってたことを思い出して泣きながら笑顔を作って「私も、ずっと大好きだよ、アリババ君」て言って終わる、そんなジャファアリ
2018-02-16 23:46:04サン・ミケーレ島 ベネチア本島の裏手にある糸杉に囲まれた小さな島。島内にはお墓と教会しかない。一般墓地に埋葬された遺体は埋葬から十二年経つと別の場所に移される。永代供養墓もある。本島から見えるくらいの近い距離にあるけれど島に行くには船を使わないと行けない。って情報が元ネタです。
2018-02-17 08:11:49