「愛国」「自国愛」をめぐる諸々の出来事とその受け止め方について(Togetter)

表題に関連するツイートをまとめました。本当に「危険」なものは何なのか。白か黒か、好きか嫌いかという二項対立とは違う図式でこの問題を考えないと、国内の分断と対立を望む人々の思う壺ということになります。諸々の問題を考えるヒントになれば幸いです。 以下のまとめも関連テーマを扱っていますので、よろしければご覧ください。 「日本人番組」と「自滅的愛国心」について 続きを読む
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山崎 雅弘 @mas__yamazaki

私も同感。「愛国」という言葉が持つ禍々しさが、議論や問題認識を歪ませていると感じることが多いが、愛国を「自国愛」と言い換えれば、「愛国」という言葉や概念への感情的な拒絶からいったん切り離した形で、枝葉ではない問題の根源や本筋に目を向けられるのでは、と思う。 twitter.com/smasuda/status…

2018-06-15 14:33:58
増田聡 @smasuda

椎名林檎にしてもゆずにしてもRADにもまた「政治的左右から自由な愛国歌」の希求という契機が確実にある。それを「ナショナリズムは危険」と潰すばかりでは、それこそ排外主義に回収されるだけやん。今必要な「文化の政治」とは「ポップな愛国意識の発露」を穏当に着地させる文脈化や解釈やと思う

2018-06-12 00:56:21
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

これも同感。日本よりも民主主義が成熟した北欧や西欧の国々でも、自国愛は自然な形で社会と共存しているし、時代と共に国境が変わっても、それに適応する柔軟性を持っている。「愛国」という言葉が持つ禍々しさへの過剰な拒絶反応は、自然な自国愛をも全否定する弊害を生む。 twitter.com/smasuda/status…

2018-06-15 14:36:01
増田聡 @smasuda

「愛国心よくない」と思うなら「いい愛国」をデザインすればいいんだよね。例えば戦後のドイツとかそうしようと努力してきたわけでしょ。戦後憲法に基づいて戦争しない民主的で自由で外国人に親切な日本がいい、みたいな「いい国」の理念とかもっと歌ってもいいと思うんだよね

2018-06-15 00:09:04
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「近代日本人にとって、愛国心という概念は自然なものではない」とする学説等は承知しているが、戦史や紛争史において、愛国心という概念がいかにたやすく「心が飢えた大衆」を捉え、本来は彼らにも不利益なはずの戦争や紛争に向かわせるかを見れば、それほど簡単に切り分けられるものでもないと思う。

2018-06-15 14:40:13
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

愛国心を「自国愛」と言い換えてみれば、情緒的な郷土愛の一形態としての「自然さ」は明白で、ここに政治学の文脈で「国家の定義とは何か」等の議論を結びつけるのは、次元の違う話だと思う。ダイレクトに情緒に訴求する力を持つ特定の概念に大衆が惹かれるのは、それが「自然だと感じる」からだろう。

2018-06-15 14:43:04
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

歴史的経緯を踏まえた学術的な文脈での「愛国心という概念は自然なものか否か」という議論と、素朴な自国愛を持ちたいと感じる人が「愛国心という概念を『自然だと感じる』か否か」は、次元が違う話で、どちらが正しいとは言えない。いま問題になっているのは後者だが、前者で打ち消すことはできない。

2018-06-15 14:45:10
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

素朴な郷土愛の延長で、素朴な自国愛を持ちたいと感じる人が一定数いると仮定して、そんな人々に与えられた選択肢が「戦前戦中的な自国愛」と「自国愛を全否定する風潮」の二択しかないなら、前者しか選びようがない。この図式を固定化すればするほど、前者を選ぶ人は増えていく。危険としか言えない。

2018-06-15 14:47:21
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「オレは愛国なんていう概念は大キライだから、お前らもそんなもの持つな」と居丈高に言われて、素朴な自国愛を持ちたいと感じる人が「なるほど」と納得するかどうかは、少し考えればわかる。好きかキライかという次元でなく、社会の中に「それを欲する人が増えた時にどう対応すべきか」の問題だろう。

2018-06-15 14:48:59
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

画像は『[増補版]戦前回帰』(朝日文庫)であとがきに追記した文章の一部。日本社会で、戦前戦中的な価値観が少しずつ復活していくのは、それを頑なに継承してきた少数の人々の頑強な意志だけでなく、そこで語られる「物語」に魅力を感じる心理的な動機を持つ人が増えている証でもある。戦前戦中的な pic.twitter.com/XfROlc32Tc

2018-06-15 15:02:36
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山崎 雅弘 @mas__yamazaki

(続き)価値観の欺瞞性を徹底的に検証し、教育内容に反映しなかったことも、こうした「社会の価値観の戦前回帰」を助長している。オタク的な視点の局所査定や「戦前回帰であるか否か」という傍観者目線での枝葉の議論は、「社会の価値観の戦前回帰」の進展スピードを抑制する上で何の役にも立たない。

2018-06-15 15:03:54
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

国家神道として体系化された戦前戦中的な価値観は、大日本帝国という権威に服従する当時の日本の知識人が総力を挙げて組み上げた気宇壮大な「世界観」でもあり、その破滅的な結末を知らない日本人の思考を幻惑するパワーを今も保っている。死んでいない。完全に息の根を止めなかったので復活している。 pic.twitter.com/nGg1OtR3ti

2018-06-15 15:06:17
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山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「兵隊たちにとって、この玉砕命令は悲劇の始まりに過ぎなかった。バイエン支隊の玉砕は大本営にも伝えられ、戦意高揚のための美談として喧伝されたのだが、実は多数の生き残りがいることが発覚。これが大問題となる」(リテラ)lite-ra.com/2018/05/post-4…「生き残りの兵隊たちは命からがら聖ジョージ岬

2018-06-16 14:11:13
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

(続き)へ逃げ帰るが、そこで待っていたのは、『敵前逃亡』の罪であり、『卑怯者』の汚名であった。せっかく生き残ったのにも関わらず、責任をとるため、部隊を率いた隊長たちはその場で自決を強制される。そして、その下についていた兵隊たちは、聖ジョージ岬に上陸する米軍に対して玉砕攻撃を仕掛け

2018-06-16 14:12:59
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

(続き)るよう命じられた。今度は逃げることのないように監視役までついており、監視役には逃げる兵士を射殺しても構わないという権限が与えられていた。そして物語は兵士たちが無惨に討ち死にし、誰にも顧みられることなく白骨化していくさまを生々しく描いて終わっていく」 彼らは自国に殺された。

2018-06-16 14:15:50
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

講演会 元海軍兵「国は若者を守らない」反戦訴える(毎日)mainichi.jp/articles/20180…「瀧本さんは17歳で旧海軍に志願。整備兵だった1942年のミッドウェー海戦では、乗艦していた空母『飛龍』が攻撃されて炎上し、自身も負傷した。飛龍だけで1000人もの乗員が死亡したとされ『生き残りが救助

2018-06-16 14:19:10
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

(続き)された船でも、やけどで毎日5人、10人と死んだ。肉が腐って、焼けるような臭いがした』と振り返る。それなのに帰国後に被害を過小に伝える大本営発表を新聞で目にし『大うそだ。国民をだましている』と憤ったという」「その後のトラック島での従軍では食料補給が絶たれ、草を海水で煮てしの

2018-06-16 14:20:30
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

(続き)いだ」「『士官は銀飯を食べていたが、我々下っ端は木の葉や根を食べていた。下っ端は人間ではないというのが日本の軍隊の考えだと知っておいてほしい』『国や役人や政治家はうそをつく。だまされないよう、よく考えてほしい』と訴えた」 戦争経験者が減り、騙す人間と騙される人間が増える。

2018-06-16 14:25:21
左左川左左衛門 (ささがわ・さざえもん) @sagawa20180501

@mas__yamazaki 戦前の日本が愚かだった要素に、多くの国民を「死ぬために死なせた」ことがあると思います。権力者は、「日本を守るため」との名目で国民を戦地に送ったのに、いつしか特攻や玉砕そのものが目的となり、戦争の大義名分すら失っていきました。戦没者を英霊と祀る人々は、その辺りを分かっているのかと。

2018-06-16 14:26:23
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

おっしゃる通りだと私も思います。当時の戦争指導部は、自国対敵国という単純な図式で「愛国と犠牲」を下の者に要求しましたが、客観的に見ればそれは「国を守るため」ではなく「当時の戦争指導部の面子と威信を守るため」の犠牲でした。時の指導部を「国」と錯覚させました。 twitter.com/sagawa20180501…

2018-06-16 14:34:00
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

戦争末期の特攻や玉砕も、本当は「戦争指導部の無能力と誤判断による戦況悪化」が生んだ出来事でしたが、当時の指導部はそれらの行為を過剰に美化礼賛することで、彼らに犠牲を強いた自分たちの無能力と誤判断から国民の目を逸らしました。戦争指導部の無謬神話と面子を守るために人が死に続けました。

2018-06-16 14:36:57
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「戦前戦中型の愛国心」は、時の指導部を「国」と錯覚させる欺瞞を用いて、下の者にだけ犠牲を要求しました。国のためではなく「無能な指導部の面子のため」に死ぬことを強いられました。実質的に自国に殺された軍人を「英霊」と呼んだ瞬間、彼らを死なせた理不尽な価値観を全肯定することになります。

2018-06-16 14:40:22
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

戦前戦中型の「愛国」概念を居丈高に叩くのは簡単だが、それに代わる「愛国」概念が用意されていない以上、自国愛を持ちたい人が向かう先はそこしかない。「愛国」概念を居丈高に叩けば、それがこの世から消えるという考え方は、古今東西の歴史を見れば、現実離れしていると思う。おそらく成功しない。

2018-06-17 15:47:30
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

自国優越思想や極端な人権・人命軽視を特徴とする「戦前戦中型の愛国概念」と、自国愛を持ちたいと思う素朴な感情は同じではないが、この二つを混同して両方を丸ごと居丈高に叩く言説は、最初は後者だけを心に抱いていた人を前者に追いやる効果をもたらすだろう。「反日」という言葉がますます増える。

2018-06-17 15:49:29
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「国家という概念は人工的なもの」「だから愛国心は自然なものではない」という言説は、特定の限られた文脈では「正しい」のだろうが、心の拠り所として自国愛を求める人の感情には全然届かない「理屈」でしかない。現政権は、そんな限界をよく理解して、人々の自国愛を自分側に取り込もうとしている。

2018-06-17 15:51:11
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

大衆を支配下に置くことを望む権力者や権力集団は、大衆の素朴な自国愛を「国家体制への忠誠と献身」にすり替える古典的な概念操作を常套手段とする。今必要なのは、この概念操作のトリックを社会全体で共有し両者を外科手術的に切り離すことで、大衆の素朴な自国愛まで全否定することではないと思う。

2018-06-17 15:52:55