官僚組織に雁字搦めの日本の原子力政策、そして原発を含む機微核技術の問題
- gappaiyasu
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【原発と日本1】岩波ブックレット『原発と日本の未来』(吉岡斉/¥500/2011.2.8発行)は、日本の原子力政策を知るのによいガイドブックだ。連ツィになるが少し内容を紹介。「国家安全保障のための原子力」の核心である「機微核技術」とはなにか。原発の背後にある真の目的を知れる。
2011-04-07 13:59:50【原発と日本2】日本では連合国軍占領期には原子力研究が禁止され、五二年の平和条約発効後もしばらくの間、目立った動きはなかった。しかし五四年三月の中曾根康弘改進党議員らの原子力予算提出を契機として政府は本格的な取り組みを開始し、五五年末までに原子力体制の骨格がほぼ固まった。
2011-04-07 14:00:12【原発と日本3】今日まで半世紀あまりにわたる日本の原子力政策の特徴は、国家安全保障の基盤維持のために先進的な核技術・核産業を国内に保持するという方針(これを「国家安全保障のための原子力」の公理と呼ぶ)を不動の政治的前提としている。
2011-04-07 14:00:31【原発と日本4】「国家安全保障のための原子力」の公理というのは、日本は核武装を差し控えるが、核武装のための技術的・産業的な潜在力を保持する方針をとり、それを日本の安全保障政策の主要な一環とするということである。
2011-04-07 14:00:53【原発と日本5】「国家安全保障のための原子力」という言葉の付帯的な意昧には、先進的な核技術・核産業をもつことが国家威信の大きな源泉となるという含意がある。いわば「原子力は国家なり」という含意である。
2011-04-07 14:01:11【原発と日本6】この公理の観点からは、核技術の中でもとくに機微核技術に高い価値が与えられる。いずれにせよ、国家安全保障との密接なリンケージゆえに、原子力政策は日本でも国家の基本政策の一分野であると考えられている。
2011-04-07 14:01:29【原発と日本7】この公理のもとで(略)原子力政策の安定性を保証してきたのは、内閣のリーダーシップが働きにくい省庁割拠型の行政であり、各省庁において大臣のリーダーシップが働きにくく、みずからの利権と所轄業界の利権を体現する官僚機構が実権を掌握できる仕組みである。
2011-04-07 14:01:41【原発と日本8】六ケ所再処理工場稼働の目的は何であろうか。それは主要には二つある。第一は、機微核技術(軍事転用の観点から危険な核技術)を開発利用する権益を日本が保持し続けることである。
2011-04-07 14:01:56【原発と日本9】核兵器保有国以外で、ウラン濃縮、再処理、高速増殖炉などの機微核技術を保有しているのは世界において日本だけであり、それらの技術はひとたび手放せば再取得はきわめて困難なものである。
2011-04-07 14:02:10【原発と日本10】その権益保持のためには六ヵ所再処理工場をたとえ形だけでも試運転し続ける必要がある(六ヶ所ウラン濃縮工場や、高速増殖炉もんじゅも同様)。--連ツィ以上です。
2011-04-07 14:02:45【付01】(六ケ所再処理工場稼働の目的の)第二は、日本の原発システム全体を破綻させないことである。極端なシナリオではあるが、再処理を中止または凍結すると、青森県が使用済核燃料の追加受け入れを拒否するだけでなく、すでに受け入れた分も返却することとなる。
2011-04-07 14:07:37【付02】結果、全国の原子力発電所の核燃料貯蔵プールが満杯となり、多数の原子炉を停止せざるを得なくなるといった内開府原子力委員会が描いたシナリオも、全く空想的というわけではない。(付-以上)
2011-04-07 14:07:53と、まあ、こういう最悪なサイクルのなかで原発が爆発したというわけです。お先真っ暗ですね。たしかにめまいがしてきました。
2011-04-07 14:14:37『原発と日本の未来』を読んでもそう追認するのだが、諸悪の根源は、やはり特権階級としての官僚とそのシステムなのだ。この階級、システムをどうにかしない限り原発を自然エネルギーに切り替えるだけでは充分ではない。おそらく似たような問題を繰り返す。
2011-04-07 15:22:37彼らは「個性」をもたず、本来名前すら持つ必要がない。一方我々は「個性」を持つ必要があり、名前をもつ必要がある。なぜか。なぜなら彼らは名指す側であり、我々は名指される側だからである。官僚の優越感、特権性とはこういうものだ。それは無色無臭の権力である、あたかも放射性物質のような。
2011-04-07 16:42:27官僚という近代的制度と原子力技術ないし原子炉の親和性。厳密なヒエラルキーの中心部にある不確定的な力と閉じた循環回路によるその制御。官僚権力の制御不能性はいかなるかたちで現れてくるか。
2011-04-07 16:53:37今回の原発事故の本質は、国家(官僚)の威信をかけた原子力技術の、そのサイクルのひとつが断ち切れたというところにある。その意味するところは文字通り国家的な危機であるが、問題の核心は国民生活が脅かされている以上に、官僚制度そのものの存在が脅かされているという点にある。
2011-04-07 17:19:11日本の原子力政策の核心部を知る程、原発から自然エネルギーの代替は、間違いなく容易には進まないことが理解されてくる。というのも日本はあらゆるジャンルで、つまり政治、経済、文化の全分野において既に放射能まみれになってしまっている。社会的には日本全体が既に被曝しているのだ。
2011-04-07 17:59:39日本の原子力政策から原発だけを止めて自然エネルギーにするということは、既にできない仕組みになっている。したがって、それを止めるのなら、もちろん再処理工場、高速増殖炉等をともに止める必要がある。もちろんそれには賛成である。
2011-04-07 18:04:08そして原子力技術は、これまでの国家(官僚)の屋台骨であるからして、これをめぐって今後間違いなく官僚と国民はぶつかることになる。政治家はほんらい国民の代表であり、官僚の暴走を止めねばならないことはいうまでもない。政権交代はその意味があったはずだが、見事に裏切られたわけである。
2011-04-07 18:08:12原子力技術(機微核技術)の放棄は、国家の核武装化への担保それ自体の放棄を諸外国に示すことになるため、官僚がみずからこれを手放すとはおもえない。
2011-04-07 18:17:39それを止めさせるには、凡庸だが国民主権の意義を一人ひとりが強烈におのれに意識化させ確信していくほかないようおもわれる。「機微核技術を開発利用する権益保持」それ自体が日本国憲法に違反しているとさせるためには、国民側に巨大な拒絶感がなければならないようにおもえる。
2011-04-07 18:38:45ダメなものはダメ! どっかで聞いたスローガンだが、いま意外にイケるかも。特に原発は二重の意味でダメだな。危険すぎて稼働してはいけないという意味と、原子力技術そのものが単に駄目なものという意味で。おたかさん、アンタはエラかった。
2011-04-07 18:57:53例えばこれを見てほしい。この図から分かるのは原子力発電所が単独で存在しているのではなく、原子力政策・核産業の循環サイクルの一分野でしかないということなのである。http://bit.ly/cDV0k6
2011-04-07 20:04:28したがって原子力発電所を止めるということは、このサイクル自体を止めるということになる。それは国家(官僚)にからすれば、あるいは諸外国からみても、日本は核武装化を断念するということを意味しているわけである。
2011-04-07 20:07:04