SFニューウェーブのヒーロー、ハーラン・エリスンの死と、彼が影響を受けた江戸川乱歩のこと

SF作家ハーラン・エリスンについての、個人的な追悼としての呟きをまとめました。(セルフまとめです)
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エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

SF作家のハーラン・エリスンが亡くなった。日本ではその名声に比して翻訳作品の数が少なく、小説よりも「アウターリミッツ」や「スタートレック」の脚本家として語られることが多いが、暴力的でありながら文学の香りのする、幻想とバイオレンスを融合させた短編の名手だった。 jisin.jp/international/…

2018-07-01 04:48:16
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ハーラン・エリスンの翻訳作品が少ないのは、彼が「日本の出版社の提示する金額は安すぎる」と契約したがらなかった為だ。ハーラン・エリスンには作家や脚本家の権利を守るために戦い続けた側面がある。「ターミネーター」を自作の盗作だと訴えたのもその一環で、ずっとそうした戦いを続けていたのだ。 pic.twitter.com/howHfFEUkn

2018-07-01 04:58:50
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金銭的条件交渉やアイディア盗用問題に厳しく、トラブルメイカー扱いもされたハーラン・エリスンだが、単に個人的な問題ではなく、ライターの地位向上の為に戦っていたことは理解されるべきだ。そうでなければ「少年と犬」の映画化権を、あんな低予算のインディペンデント映画には渡さなかっただろう。 pic.twitter.com/1KPWeUuJI3

2018-07-03 12:08:50
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スターウォーズで始まった「SF映画の時代」よりも前に作られた「少年と犬」は優れた映画化だったが、監督のL・Q・ジョーンズはペキンパー映画常連の脇役俳優であり、監督の実績などなかった。今ではカルトムービーになっているが、何の勝算もなかったのだ。「心意気」を買わないと任せられないだろう。 pic.twitter.com/1JVJVqEOGv

2018-07-03 12:17:31
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なぜペキンパー組の俳優がSF映画を?と思うが、実はサム・ペキンパーもブラッドベリの「何かが道をやってくる」の映画化を熱望していたが叶わなかった。ペキンパーは「会社は私に『ゲッタウェイ』みたいな映画しか撮らせようとしない」とボヤいていたが、どうやらペキンパー組はSFファンだったらしい。

2018-07-03 12:25:48
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ハーラン・エリスンのウィキペディアを見てみたら、SF関係の受賞歴だけで、全米脚本家組合賞(WGAA)を4回受賞したことが書かれていない。これは凄い記録なのだが。WGAAがアカデミー脚本賞等と違うのは、映像化された結果だけでなく脚本そのものが審査されていることだろう。 saga-s.co.jp/articles/-/237…

2018-07-01 09:51:54
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ハーラン・エリスンは自作の脚本の映像化に対して、度々不満を漏らしていた。特にTVドラマ「スターロスト宇宙船アーク」はボロクソだったが、エリスンのオリジナル脚本は素晴らしいらしい。ぜひ読んでみたいですよね。ハーラン・エリスンやダン・オバノンの脚本は翻訳出版すれば商品価値があると思う。 pic.twitter.com/f6NoTP87jh

2018-07-01 10:03:05
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エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

この記事「『世界の中心で、愛をさけぶ』の元ネタとしても親しまれていました」は少し酷くないかな?『世界の中心で、愛をさけぶ』は題名だけがパクリで中身は何の関係もない。しかも、実際は題名もエヴァンゲリオンの最終話からの孫パクリで、原典は知らなかったのでしょう? nlab.itmedia.co.jp/nl/spv/1806/29… pic.twitter.com/glGSQFwDAt

2018-07-01 05:58:26
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ハーラン・エリスンはアメリカではカルチャー・ヒーローであり、作品以上に作家としてのキャラクター(喧嘩っ早くて正義感と共に自惚れが強く、それでいて皮肉なユーモアの持ち主)が愛されていた。カウンターカルチャーの香りを漂わせる作家像だが、文学的指向はむしろオーソドックスだった気がする。

2018-07-01 05:08:27
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ハーラン・エリスンは英語に翻訳された江戸川乱歩の短編集に感銘を受けて「これこそ私の理想。私はSF作家なんかじゃない。こういう作品を書きたいんだよ」と語っていた。「暴力と幻想とエロス」が融合した乱歩の短編にシンパシーを感じたのだろう。乱歩は英語が堪能なので、英訳にも積極的に関与した。

2018-07-01 05:16:59
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江戸川乱歩の作品を英訳した翻訳家によると、英訳した原稿を乱歩に見せた段階で「ここは、こういう言葉を使って欲しい」など、細かくチェックが入ったそうだ。自作の英訳に、そうした形で関与した日本人作家は、どれくらいいるのだろうか?村上春樹などは、どうしているのだろう?

2018-07-01 05:27:09
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

江戸川乱歩は作家としての本質が「暴力と幻想とエロス」であったのに、「日本における本格ミステリの先導者」の役目を果たさなければならなかったのが、ある意味で不幸だった。松本清張は、編集者時代の小林信彦に「乱歩は初期の短編だけ残して死んでいたら歴史に残ったな」と語り、小林を憤慨させた。

2018-07-01 05:38:11
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小林信彦は当時、老年の江戸川乱歩の下で編集者をしていて「向いていない本格ミステリを求められる、もう詰まらなくなったのを自覚している大作家の苦悩」を目の当たりにしていた。だから絶頂期の松本清張の“昔はシャープだったのにな”という意味の揶揄に、当たっているからこそ、憤慨したのでしょう。 twitter.com/woody_honpo/st…

2018-07-01 08:18:31
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

江戸川乱歩は「読者・編集者」としては熱烈な本格ミステリファンだったが、「作家」としては余り興味がなかったのではないか。だから本格ミステリを書こうとしても、本当に書きたいのは謎と論理ではなく幻想とエロスだから、そちらに引っ張られて破綻してしまう。しかし、その破綻が魅力でもあった。

2018-07-01 06:44:16
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

かつて、子供は江戸川乱歩の「少年探偵団」シリーズでミステリに入るのがマストだった。しかし、大人向けの乱歩は「子供が読むものではない」と言われた。でも読むよね。だから、乱歩で大人の小説に入った人は多い。そんな人がまさか、最近のエンタメは子供には刺激が強すぎるとか言ってはいないよな?

2018-07-01 06:54:33
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

そう言えば、現実に猟奇殺人事件が起きた時に「犯人は江戸川乱歩だ。乱歩は自首せよ」と新聞に書かれたんですよね。元祖オタク差別か。新聞に書かれるってスゴいよね、元祖だけに強烈。

2018-07-01 07:04:07