アメリカの週刊誌『The Weekly Standard』の公式サイトで日本の「Honkaku」ミステリ事情が紹介される

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Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

アメリカの週刊誌『The Weekly Standard』の公式サイトに日本の「Honkaku」を紹介する記事が! 8月18日の記事。(サイトのみの掲載? 本誌に載ったかは不明)ただし副題で「Honaku」と誤植されている……。 weeklystandard.com/blogs/new-orth…

2015-08-19 22:31:08
  • タイトルは「The New Orthodox Art of Murder」、副題は「‘Honaku’ mystery writing in Japan.」
  • 「New Orthodox」は「新本格」を意味する。
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

10ツイートほどでざっくり要約します。 「北欧や米国と異なり、伝統的なミステリが日本では今でも健在だ。最近、そんな作品の1つである綾辻行人『十角館の殺人』が英訳されたが、さらに多くのorthodoxな作品が英訳されるのもそう遠くはないかもしれない。」

2015-08-19 22:32:05
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

「日本のhonkaku派について説明する前に」、まずイギリスで1930年代初頭(?)に創設されたディテクションクラブやノックスの十戒が紹介される。「クリスティー、セイヤーズ、そして過小評価されているジョン・ディクスン・カーらがパズルに重点をおいた知的な探偵小説を書き人気を博した」

2015-08-19 22:32:41
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

「しかし探偵小説の黄金時代は過ぎ去り、その種の作品は冷笑の対象に変わった。その攻撃の先鋒となったのがレイモンド・チャンドラーで、黄金時代の作品は非現実的だと皮肉った。」

2015-08-19 22:33:16
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

「もはや終わりつつあったそのジャンルに死亡宣告をつきつけたのが、チャンドラーが1944年に発表した批評文「The Simple Art of Murder」だった。そして北米では、このジャンルがその後復活することはなかった。」

2015-08-19 22:33:49
  • 「むだのない殺しの美学」(村上博基訳)として、チャンドラー短篇全集4『トラブル・イズ・マイ・ビジネス』(ハヤカワ・ミステリ文庫、2007年)に収録。ほかに「素朴な殺人美学」、「簡単な殺人法」などの邦題もある。
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

「黄金時代のスタイルのミステリが根強く残っている場所の1つが日本である。日本では本格ミステリ作家クラブがディテクションクラブの伝統を継承している。1923年、江戸川乱歩が「二銭銅貨」によって、日本のミステリの最初の時代を切り拓いた。」

2015-08-19 22:34:26
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

「乱歩はホームズやポアロの伝統を継承しながらも、怪奇やグロテスクな要素を入れた変格(unorthodox)物をよく書いた。乱歩登場以降、多くの追随者が現れ、ついには「日本推理作家協会」(※当時は「探偵作家クラブ」)が設立されるにいたった。」

2015-08-19 22:35:12
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

「1950年代、日本のミステリ界に松本清張が登場すると、乱歩の影響は弱まっていき、リアルな作品が好まれるようになる。清張は日本のミステリ界にニヒリズムと社会批評の目を与えたが、それはフランスの政治的なミステリに近いものといえる。」

2015-08-19 22:36:28
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

「1981年、1作の長編――島田荘司の傑作『占星術殺人事件』――が、過去のものとなったジャンルに新たな興味を呼び起こす引き金になるが、ここで鍵になるのは、島田荘司やほかのhonkaku作家が「歴史もの」を書いているわけではないということだ。」

2015-08-19 22:37:11
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

「そうではなくて、honkaku小説は、読者への知的な挑戦やフーダニットの仕掛けを現代的な設定の中で実現させている。」 ※ここで、『占星術殺人事件』と『十角館の殺人』のあらすじが紹介される。

2015-08-19 22:39:10
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

「日本のhonkakuの血脈は、さまざまな団体によって継承されている。たとえば京都大学推理小説研究会や、本格ミステリ作家クラブなどである。後者はhonkakuの創作を奨励するだけでなく、欧米や日本の過去のミステリ小説の研究も奨励している。」

2015-08-19 22:42:34
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

「honkakuの人気が「日本好き」の人々の枠を超えて米国中に広がっていくとは考えづらいが、これらの作品(島田荘司の作品や、クイーンの影響下にある法月綸太郎の作品)は黄金時代探偵小説の熱烈なファンだけでなく、一般の読者たちにとっても十分に味わうべき価値があるものといえるだろう」了

2015-08-19 22:45:26
  • 法月綸太郎先生の作品の英訳は今のところ、短編の「都市伝説パズル」(米国『エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン』2004年1月号掲載)と「緑の扉は危険」(同誌2014年11月号掲載)のみ。
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

この記事では「honkaku」が副題で「honaku」になっているほか、綾辻先生の名前(計3箇所)が2箇所で「Ayatusji」になっていたり、本格ミステリ作家クラブの英語表記が一定しなかったり(2ページ目で「Club」が抜けている)という問題も……。

2015-08-19 23:25:57
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

とはいえ、英語圏のメディアの記事に「本格ミステリ作家クラブ」(正式英称:Honkaku Mystery Writers Club of Japan)の名が登場したのはこれが初めてでは togetter.com/li/862794 。これもクラブが英文ページを作った成果の表れか。

2015-08-19 23:28:16

英訳・改訂版『占星術殺人事件』は2015年9月15日発売予定

 最初の英訳は2004年に日本の出版社から刊行されている。

島田荘司 @S_S_Kingdom

イギリス、Pushkin社の『The Tokyo Zodiac Murders(占星術殺人事件)』の見本が到着。ずいぶん早かった。発売は9月のはずだけど。ソフトカヴァー、ペイパーバック装丁だけど、大変上質の仕上がり。非常によい感じ。 pic.twitter.com/EGkkMHNzCg

2015-06-24 18:57:22
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島田荘司 @S_S_Kingdom

英、ファイナンシャル・タイムズのインタヴューを受けました。東京特派員の女性記者、稲垣さんが日本語でインタヴューしてくれました。小中高校まで米、大学は東京で院はまた米という才媛さんで、文章書きなら英文の方が得意だそうです。9月15日のTTZM刊行と同時に、英国で記事が出るそうです。

2015-09-07 21:37:55
島田荘司 @S_S_Kingdom

英Pushkin社の『占星術殺人事件』、表紙の小文字群が読みにくいと不評だったそうで、デザイン一新の新表紙が送られてきました。イタリアの大手出版社、Giunti Editore社からもイタリア語版、翻訳刊行の申し出が来ました。 pic.twitter.com/MEdrrfojWC

2016-05-04 14:56:49
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