無題のドキュメント:診断メーカーお題で突発Tweet連載 そのいち

読んで字の如く。今回は書き出しと書き終わりを指定され字数制限条件まで付けられる診断メーカーお題でちゃれんじ。
0
聖良紅牙 🅰️&3⃣9⃣@໒꒱ポタ地は原点回帰 @gr_starneon

聖良紅牙さんには「小さな嘘をついた」で始まり、「夏が始まる」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば12ツイート(1680字)以上でお願いします。 #書き出しと終わり shindanmaker.com/801664

2018-07-07 02:25:20
聖良紅牙 🅰️&3⃣9⃣@໒꒱ポタ地は原点回帰 @gr_starneon

小さな嘘をついたその日から、私の心は揺れ動き続けた。 大して好きでもなかったはずなのに、あの人に『好きだよ』と…。 嫌われたくない一心でそう一言。 本心と反する一言を。 なのに。 どうしてなのかな、それ以来あの人のことを気にかけ始める様になって。 頭の片隅から離れなくなったのは。 1

2018-07-07 02:28:14
聖良紅牙 🅰️&3⃣9⃣@໒꒱ポタ地は原点回帰 @gr_starneon

おかげで憧れの先輩のことより、あの人のことが真っ先に出てきてしまう。 周囲の友達からも、その異変と違和感から心配されるがそのたびに私はまた小さな嘘を吐き続けた。 精一杯のはにかんだ笑顔を見せて、わざとらしく。 「大丈夫、なんでもないよ」 だけどとある日のこと。 2

2018-07-07 02:32:54
聖良紅牙 🅰️&3⃣9⃣@໒꒱ポタ地は原点回帰 @gr_starneon

クラスメイトの一人が私に言った。 「アイツはあたしのものなの、渡したりしないんだから!」 入学当初から強気で有名な、大財閥の令嬢である彼女もまた、あの人に想いを寄せていたらしい。 その上で自分のものなのだと宣言してくるあたり完全にあの人を恋慕している、その事実のナイフが傷を抉る。 3

2018-07-07 02:37:07
聖良紅牙 🅰️&3⃣9⃣@໒꒱ポタ地は原点回帰 @gr_starneon

あの日の嘘が、ここまで真実になってしまうなんて。 今はもう、あの人の傍にいたいと願いたいほど。 だけれどあの人の傍には彼女がいて、権力も魅力も学力も何もかも持っていて。 何の取り柄もない私には…諦めて引き下がる道しかない、そう思えた。 ───でも、あの人の表情は違った。 4

2018-07-07 02:40:31
聖良紅牙 🅰️&3⃣9⃣@໒꒱ポタ地は原点回帰 @gr_starneon

見てしまった。 彼女が傍にいる時、何かと嫌そうな表情や困り顔が混ざるあの人の顔。 熱烈にかつ執拗に迫るほどの彼女に、うんざりしているようなそんな顔が、垣間見えてしまったのだ。 …助けてあげたい。 きっとあの人は、彼女みたいな人は苦手なタイプなんだ。 しつこい女も、嫌われる…よね。 5

2018-07-07 02:43:54
聖良紅牙 🅰️&3⃣9⃣@໒꒱ポタ地は原点回帰 @gr_starneon

そうだ。 もう、嘘をつくのはやめよう。 自分に正直になろう。 あの日のあの一言は、嘘なんかじゃなくて。 本当はきっと……。 勇気を出して、あの人に話しかけてみた。 どうにかして二人きりになれたら。 負けじと彼女が私を引きはがそうとするけれど、諦めずに立ちむかう。 6

2018-07-07 02:47:18
聖良紅牙 🅰️&3⃣9⃣@໒꒱ポタ地は原点回帰 @gr_starneon

「離れなさいよっ!」 「嫌だ、貴方には分からない…分かってないよ、人の気持ちなんて!自分の事ばっかり考えてる人となんか、こっちから願い下げよ!!」 「うるさいっ!アンタみたいな庶民如きが似合う相手じゃないんだから!!」 「このっ……!世間知らず!!箱入り娘っ!!」 7

2018-07-07 02:50:34
聖良紅牙 🅰️&3⃣9⃣@໒꒱ポタ地は原点回帰 @gr_starneon

無意識のうちに私は、彼女の頬を左手を使い平手で叩いた後に…思い切り右手の拳で顔を殴り飛ばしていた。 感情が爆発して、気がついた時にはもう…手遅れで。 でも。それでもいい。 彼女に嫌われても、学校から追い出されても。 あの人を救えるなら…それでいい。 「…ちょっと、いいかな」 8

2018-07-07 02:53:41
聖良紅牙 🅰️&3⃣9⃣@໒꒱ポタ地は原点回帰 @gr_starneon

不意に腕を掴まれて、あの人は私を人気のない敷地内の原生林まで連れてきた。 ああもう、私きっとあの行動一つで嫌われたんだ…。 絶望しかなくなって、涙が止まらなかった。 けれど。 それに反して、あの人が発した言葉は。 「助かったよ、正直あのお嬢様にはうんざりしていたんだ」 9

2018-07-07 02:56:08
聖良紅牙 🅰️&3⃣9⃣@໒꒱ポタ地は原点回帰 @gr_starneon

「自分の家の権力を後ろ盾にして、欲しいものは何でも手に入れないと気が済まないあの子と、どう距離を置けばいいか考えても思いつかなかった。 だけれど今日、君が意を決してああしてくれたおかげで心に踏ん切りが付いた」 追いかけてきた彼女に向かって、あの人は表情を変え言い放つ。 10

2018-07-07 02:59:43
聖良紅牙 🅰️&3⃣9⃣@໒꒱ポタ地は原点回帰 @gr_starneon

「僕は今日から、この子と付き合うことにするよ。もううんざりなんだ、君に振り回されるのは。正直、疲れたよ…。これで分かってくれるといいんだけどね、世の中には手に入らないものもあると言うこと」 さぞ衝撃とんでもないものだったろう。 歩みを止め、その言葉を聞いた瞬間彼女は崩れ落ちた。 11

2018-07-07 03:05:57
聖良紅牙 🅰️&3⃣9⃣@໒꒱ポタ地は原点回帰 @gr_starneon

「どうして…なんでなのよ…!なんで私じゃいけないの…!」 「今までは親御さんの権力とか、山ほどある財源でなんとかできただろう。でもね…人の心はそんなもので揺れ動かせるほど軟弱なこともあれば、微動だにしない強固なことだってある」 鋭い眼差しで彼女を見据え、あの人はそう言い返す。 12

2018-07-07 03:10:05
聖良紅牙 🅰️&3⃣9⃣@໒꒱ポタ地は原点回帰 @gr_starneon

それから、私の方を見やって続けたあの人の言葉が…私の心にとても大きく響いた。 「実はあの時、僕は分かってたんだ。いじめに遭い続けてやさぐれてしまった自分が嫌われるまいと、嘘をついた事。けれど嬉しかったな、好きですって言ってもらえて。そんな解答してくれたのは君が初めてだったから」 13

2018-07-07 03:14:03
聖良紅牙 🅰️&3⃣9⃣@໒꒱ポタ地は原点回帰 @gr_starneon

「……!!」 どくん。 ほんの少し、いつもより強く鼓動を感じる。 あの人の言葉を聞いてもまだ諦めきれない彼女が反論しようとしたのだけれど。 「じゃあコイツは、本当に貴方のことが好きだって…その証拠は!?」 「バカ言うんじゃない、悪いけど…今は私、本気で好きだって思えてる」 14

2018-07-07 03:18:10
聖良紅牙 🅰️&3⃣9⃣@໒꒱ポタ地は原点回帰 @gr_starneon

「さっきの勇気ある行動で、踏ん切りを付けられたのもこの子のおかげだよ」 「あんなに酷い事したのを見せてしまってもうダメだと思ったのに、逆に感謝されて…嬉しくて……!だからもう、自分に正直になろうって…」 また、感情と一緒に溢れる涙。 うつむいた顔を勢いよく上げて向き直る。 15

2018-07-07 03:26:32
聖良紅牙 🅰️&3⃣9⃣@໒꒱ポタ地は原点回帰 @gr_starneon

瞬間、涙の欠片が空に散る。 「私、この人の傍にいたい。こんなやさぐれて、喧嘩っ早くて、ちっともらしくない私だけど…それでも私を認めてくれた彼が!好き…なの……好き、なのよっ!!」 もう、そこに『嘘』の面影なんてない。 思い切り声を荒げて彼女に…言ってやった。

2018-07-07 03:34:58
聖良紅牙 🅰️&3⃣9⃣@໒꒱ポタ地は原点回帰 @gr_starneon

その日の事件のお咎めとして1ヶ月ほど自宅待機せざるをえなかったけれど、その間ずっと、あの人は毎日私の家に寄って授業の進捗だの学校の様子だの、いろんな事を話してくれた。 他愛もないことを話している時の彼は、あのお嬢様の時と違ってとても楽しそうで明るくて、こっちも心弾むほどだ。 17

2018-07-07 03:38:06
聖良紅牙 🅰️&3⃣9⃣@໒꒱ポタ地は原点回帰 @gr_starneon

謹慎がとけて、学校に戻ってきた日。 私の友達を引き連れて真っ先に迎えに来のは、あの人だった。 「おかえり、待っていたよ」 「まったくもうほんと大胆なことしちゃったよねェ」 「ごめんねみんな、心配かけ過ぎちゃった…」 「あーなんもなんも、気にしなくていいの!」 18

2018-07-07 03:41:41
聖良紅牙 🅰️&3⃣9⃣@໒꒱ポタ地は原点回帰 @gr_starneon

気のあう友達との会話も楽しいけれど、あの人と言葉を交わすだけでも胸が高鳴る。 ふと、そんな何気ない会話の中であの人は突然私に誘いを掛けた。 その誘いとは…部活動。 ずっと帰宅部だったから、一緒に何かやらないかと。 自分の所属する吹奏楽部に入らないかと、あの人は言う。 19

2018-07-07 03:44:37
聖良紅牙 🅰️&3⃣9⃣@໒꒱ポタ地は原点回帰 @gr_starneon

楽器なんて授業と学習発表会とかで触った程度だけど、あの人と一緒なら何でも出来そうだと、すぐに「はい」と返事を返す。 そしてその日から私とあの人との距離は、もっともっと近付いていった。 同じパート、立って演奏する位置もふたり揃って。 今はまだぎこちない演奏だけど、これからがある。 20

2018-07-07 03:47:36
聖良紅牙 🅰️&3⃣9⃣@໒꒱ポタ地は原点回帰 @gr_starneon

この先合宿に地方遠征にと、とても忙しくなりそうだ。 自分の腕も磨かなくちゃいけないけれど、あの人がちゃんと教えてくれるから大丈夫。 傍で大好きな人と、一緒に舞台に立てる喜びも知れた。 さぁ、目指すはてっぺんだ。 私達の戦いが、心の音色をぶつけあう夏が、始まる。 21

2018-07-07 03:51:07

あとがき:いやぁ拙い!
Twitter上でぶっつけ本番となると字数制限でどう区切るかがミソになるのでどうしても語彙力皆無が曝け出されちゃいますな…。
それはさておき、お題を見て小さな嘘からは自分の気持ちを偽ってきたはずがいつの間にか…という表現がしたかったのと、夏が始まるということは私にはあれ(Yosakoiソーラン祭り)かアレ(全日本吹奏楽コンクール)しかねぇなと。
多分結構無理矢理ねじ込んでる感満載。
それでも良ければ、また読み返していただけると幸いです。