燭へし同棲botログ：七夕

燭へし同棲bot @dousei_skhs

【七夕】 「雨降りだ」 「雨降りだねえ」 「……」 「……こ、」 「”こんな雨じゃ、織姫と彦星も会えないね” なんて言うんだろうが」 「すごいね！　なんでわかったの？」 「別に……大体わかるだろう」 「そんなもんかなあ」 「そんなもんだ」 「そっか……ふふ」

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「なんだ」 「いや別に、ちょっと嬉しいなあって思っただけ」 「嬉しいか？　言い当てられるのって嫌じゃないか」 「君は自分がされて嫌なことを僕にしたのかな？」 「う」 「冗談だよ。言うことがわかるって、それだけ普段から僕のことよく見ていてくれてるってことだもんね」

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「……まあ、うん、そりゃあ」 「見てる？」 「見、てる」 「ありがとう」 「ん……、……そういえば」 「”七夕の雨は催涙雨と言うらしい”」 「えっ」 「なんて、言おうと思ったりして？」 「……そう、だが」 「やったあ、僕も当たりだね！」

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「……今のはさすがに……怖……」 「え？　ひどいよ」 「だってお前」 「ちゃんと理由もあるんだよ。長谷部くんは雑学とか、知ったことを結構僕に教えてくれるよね」 「そうか？」

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「そうだよ。おかげで僕も結構いろんなこと物知りになっちゃった。今の催涙雨っていうのも、最近教えてくれたじゃない」 「……お前もすごいな」 「なにが」 「よく見てくれてるし、覚えてる。俺のこと」 「そりゃあそうだろ。長谷部くんだよ？」 「ふは、なんだそれ」 「あっ、なんで笑うの」

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「ごめんごめん、でも」 「？」 「わかったよ。嬉しいものだな」 「怖くない？」 「怖くないよ」 「よしよし。そんな素直な長谷部くんにはいいものをあげます」 「なんだ？」

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「光忠特製、七夕スペシャルゼリーです。中に果物が入ってます」 「また凝ったものを……」 「ジュースにゼラチンと果物入れただけだよ。前にも作ったろ」 「……そういや、そうだったな」 「今冷やしてるから、ご飯のあとで食べようか。楽しみにしてて」 「ありがとう」

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「雨だから今日はお出掛けもなし。せっかくのお休みに残念だけど……」 「そうでもないだろう」 「そう？」 「催涙雨のおかげでゆっくり出来ると思えば」 「……うん、そうだね」

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「たまのことだしな」 「よし、じゃあ今日はゆっくり過ごそうか」 「うん」 「僕の織姫さまはおうちにいるしね」 「……なんでお前は、そう、そういう……」 【了】