編集部イチオシ

『流星のロックマン』の世界観を改めて考察してみました。

※セルフまとめになります。 オコワ再販、サウンドBOX発売と最近話題が多かったので、夏コミ用のまとめがてら私見をメモしています。皆様の考察の一助になれましたらば幸いです……! のっけから10周年と間違えていますが、正しくは12周年です……!すいません……!
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らいおねサン @WRaione

端末をスターキャリアーに切り替えた関係かブラザー登録はゼロに戻ったものの、ルナたち友人と良好な関係で学校生活を送るようになったスバル。 再び彼の前に現れた脅威は、失われたムー大陸の電波文明を悪用したオリヒメ一派でした。

2018-07-08 05:45:25
らいおねサン @WRaione

登場するボスたちは、孤独に打ちひしがれているわけではなく、オリヒメへの協力のもと与えられた電波体を用いて電波変換します。 ハイドなど、動機が依存じみているものも若干名いますが、明らかに前作とは違い「孤独のスキマを埋めるため」の電波変換ではないわけです。

2018-07-08 05:45:25
らいおねサン @WRaione

ボスたちの様子を見るだけではその一貫したテーマを窺い知ることは難しいと思います。 ここで一旦、注目を新たなキャラクターである「ブライ」に移して考えてみましょう。 ムー族の唯一の末裔で、つまり以前の形としては滅びることが確定している民族の少年「ソロ」が変身した姿です。

2018-07-08 06:23:32
らいおねサン @WRaione

電波変換に際しては独立した電波体すらも必要としない、徹底した個人の力による戦いが対比的なキャラクターです。スバルが次々と仲間(歩いはブラザー)を増やし、力を高めるのに対し、このブライはムー族の力に純粋になることで力を高めていく点で大きく異なっています。

2018-07-08 06:23:34
らいおねサン @WRaione

劇中では電波障壁を手に入れ、他者を物理的にすら拒絶する能力を以って、スバルに襲いかかります。 ここまで“独り”になることを固辞しているのは、彼が見てきた“キズナ”が、「個人では何もできない者たちが、徒党を組んで自分を叩きに来る際の言い訳」であったためです。

2018-07-08 06:23:35
らいおねサン @WRaione

ムー族の誇りを守る以上に、彼自身の経験として、“キズナ”は無価値と考えているようです。 『流星2』の時点では最終的にスバルと和解することもなく、キズナを信じない者としての立場を表明し、『流星3』でも変わらず対立を保っていました。

2018-07-08 06:23:36
らいおねサン @WRaione

ソロは“キズナ”を毛嫌いしている一方で、ムー族としての誇りについては例外的に捉えている節があり、ムーへの侮辱はこれを一切許しません。 これは(物質的には失われたとはいえ)ムー族との“キズナ”を大切にしているとは言えるのではないでしょうか。

2018-07-08 06:23:37
らいおねサン @WRaione

“キズナ”を肯定するスバルが土壇場においては一人で戦っており、そもそも初期に「相手に依存するほど別れが辛くなる」として、友達を作ることを拒んでいたのと何が違うのでしょう。 これ以上父親のような人を作りたくないのがスバルで、 これ以上ムー族の誇りを踏み荒らされたくないのがソロです。

2018-07-08 06:23:38
らいおねサン @WRaione

両者の考え方は、『過去の“キズナ”』を不動のものにしようとすることで、新たなストレスを抱えないようにしているという点で同一と見なすことができるのではないでしょうか。 それでもソロがスバルと違う点は、「結果的にそれによって力を増すことになる」ところに集約されるでしょう。

2018-07-08 06:23:38
らいおねサン @WRaione

『流星2』では孤高の証を受け入れることで電波障壁の能力を獲得しました。 一旦はムー族としてのアイデンティティを高めることに効果を見ることができましたが、それだけでは無理があると悟ったか、『流星3』ではトランスコード登録に従っており、ウィザードとしてラプラスを所持することになります。

2018-07-08 06:23:39
らいおねサン @WRaione

ラプラスはあくまで道具として扱うもののようなので、簡単な意思疎通以外に言葉を発することはなく、ソロの孤高を阻害するものではないようです。 が、“キズナ”の力を否定することに躍起になるあまり、ソロはノイズを取り込むことで強化を図る一幕も見せています(ブライZZ)。

2018-07-08 06:23:40
らいおねサン @WRaione

「新たなものを取り入れる≒ムー以外のキズナを得る」という認識は、スバルを打倒するという目的の下にこれが誤魔化されているのかもしれません。 トランスコードシステムへの追従、ラプラスの所持、ノイズによる強化、段々と生粋のムー族の在り方から離れているのが見どころです。

2018-07-08 06:23:41
らいおねサン @WRaione

「キズナを否定するためならば」と口にして、やはりキズナを認めざるを得ないところに、彼の永遠なるライバル性は確立されています。 ソロがソロである限り、自己矛盾の解決は訪れず、スバルとの対立を続けるほかなくなってしまいました。 物語が続く限り、その答えにたどり着くことはないのでしょう。

2018-07-08 06:27:14
らいおねサン @WRaione

奇しくもそれは、本家ロックマンと対峙したフォルテの悲哀と酷似しているかと。 フォルテは「ロックマンのように他人のために戦うことができないが、それが決定的な能力の差を生んでいることを自覚している」 という永遠不滅のループを繰り返しています。

2018-07-08 10:44:42
らいおねサン @WRaione

ぶっちゃけると永遠の2番手ってそう言う構造がないと成り立たないからなんでも酷似するのですけど…… 流星の話に戻りますが、ブライの持つムーの力は、排他的な思想のもともたらされたもので、これを貸し与えられた電波人間の変身者たちもまた、その素質を備えていたものと考えられます。

2018-07-08 10:44:42
らいおねサン @WRaione

うぬぼれの脚本家、企業の乗っ取り屋、視聴率至上主義のディレクターといった、“孤立”ではなくむしろ、“孤高”の向きが強いキャラクターが電波人間となりました。 一人だからこそ強い人物に、仲間がいるからこそ強い、成長したスバルが挑んでいく構図は新たな局面を描けていると言っていいでしょう。

2018-07-08 10:44:43
らいおねサン @WRaione

最後の『流星3』に移りましょう。 多くの設定をアップデートした今作ですが、ついに『電波人間VS電波人間』となっていた物語は、明確な犯罪組織の起こす混乱のもと、暴走させられたウィザードと戦う物語に変わりました。

2018-07-08 10:44:44
らいおねサン @WRaione

有無を言わさない、ノイズカードによる暴走なので、登場するボスに特段の悲哀や欠点がある……ということはありません。前半の暴走ウィザードとの戦いが終わった後は、サテラポリスと協力し敵組織との全面対決を描きます。その中で再び電波人間が登場しますが、こちらはいつものボスと向きが違います…

2018-07-08 10:44:44
らいおねサン @WRaione

二人の電波人間は章ボスとしても登場しますが、本当の和解を迎えるのはエンディング時なので、個人vs個人という構図にはなりにくいんですね。 盛り立てるには大事なキーパーソンですが、どうにもここに代表されるように「2までの要素はほとんど取り沙汰されない前提になっている」と感じました。

2018-07-08 10:53:34
らいおねサン @WRaione

他にも挙げるならば、前作まであれほど一大行事として扱われていたブラザーバンドの登録も、モブキャラクターとほいほい結べるようになるまで安いものとなりました。 ネット対戦上のリアルブラザー格差の緩和もあったのでしょうが、良くも悪くも物語にクールな印象を与えています。

2018-07-08 10:53:35
らいおねサン @WRaione

逆に言えば、限られた数人としかブラザーバンドを結べない印象だった前作までより、ずっと外向きな印象に変わったとも言えます。 というか……さんざん“キズナ”がどうとか言っておいて、システム的に内輪の結びつきを強めるだけの危ないシステムだったとさえ言うべきですね。

2018-07-08 10:53:36
らいおねサン @WRaione

ソロもムーのことしか考えてない世間が狭い子ですけど、考えてみたら一族どころか複数人の友達のことしか考えてないスバル達も大概でしたね…… 不特定多数の人を助け、その人たちと気軽にブラザーバンドを結べるようになった『流星3』に至って初めてテーマに沿ったシステムを実現してるのでは……?

2018-07-08 11:14:36
らいおねサン @WRaione

こうしてキズナをめぐる物語は、最終作にて多くの人を巻き込んで解決にいたり、シリーズを通してのフックであった大吾が星川家に帰還することで大団円を迎えました。 最後までプレイ人口が回復しなかったエグゼの後継作品でしたが、それでも時代に即した『青い少年』の物語だったことは言うまでも……

2018-07-08 11:25:50
らいおねサン @WRaione

さて、12周年となる現在ですが、IoTの隆盛が叫ばれて久しく、“拡張現実”や“複合現実”、“位置情報サービス”に“ワイヤレス充電”など、ついに時代は『流星』の世界観に追いつき追い越そうという地点までやってきました。

2018-07-08 11:34:35
らいおねサン @WRaione

人の営みを技術が如何に拡張するかが注目されますが、『流星』が示した予見とどのように異なり、どのように変化を見せていくのかが楽しみですね。 必然、現在ではもう『流星』を創れた当時と違う想像力による新たなロックマンの模索が始まっているはずで、最新シリーズは最早過去になりつつあります。

2018-07-08 11:34:35