稲川淳二のつぶやき怪談 2018年7月23日投稿分

田舎の国道であった怖い話
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稲川淳二 @Junji_Inagawa

大工さん、走っていてもなんとなくイヤな予感がしたんですね。

2018-07-23 22:24:00
稲川淳二 @Junji_Inagawa

「なんだか、イヤな夜だなぁ」 なんて思いながら走っていると、

2018-07-23 22:24:23
稲川淳二 @Junji_Inagawa

ヘッドライトの明かりの中、 突然、道路の横脇から人影が道に飛び込んできた。

2018-07-23 22:24:46
稲川淳二 @Junji_Inagawa

慌てて、 “キキーッ!” 急ブレーキをかけて車を停めた。

2018-07-23 22:25:43
稲川淳二 @Junji_Inagawa

幸い人影には当たらなかった。

2018-07-23 22:25:57
稲川淳二 @Junji_Inagawa

「よ、よかったぁ」 でも、大工さんは驚いた。

2018-07-23 22:26:25
稲川淳二 @Junji_Inagawa

「はぁはぁ………」 フロントガラスから前を見ると、 ヘッドライトの明かりに照らされて、

2018-07-23 22:26:49
稲川淳二 @Junji_Inagawa

前方の目の前の道路に片手をペタン、 と付けてへたり込むようにしてお婆さんが倒れている。

2018-07-23 22:27:16
稲川淳二 @Junji_Inagawa

しかもこっちを見ている。

2018-07-23 22:27:30
稲川淳二 @Junji_Inagawa

年配の大工さん、慌てて軽トラックから降りて、 「大丈夫ですか?」 お婆さんを抱き起こした。

2018-07-23 22:28:02
稲川淳二 @Junji_Inagawa

ライトに照らし出されたお婆さんの顔は、異様に青白い。

2018-07-23 22:28:28
稲川淳二 @Junji_Inagawa

轢き殺されそうになったからか、真っ青な顔なんです。

2018-07-23 22:28:58
稲川淳二 @Junji_Inagawa

でも、顔をしかめたりしていないし、 どうやらどこも怪我をしていないらしい。

2018-07-23 22:29:25
稲川淳二 @Junji_Inagawa

「すいませんねぇ」 お婆さん、小さなか細い声で言ったんです。

2018-07-23 22:29:57
稲川淳二 @Junji_Inagawa

年配の大工さん、 こんな時間にお年寄りがひとりで歩いているということは、 多分、家は近いんだろうと思ったんですね。

2018-07-23 22:30:16
稲川淳二 @Junji_Inagawa

「お婆さん、家まで送っていきますから乗ってくださいよ」 軽トラックの助手席に乗せて送ることにしたんです。

2018-07-23 22:30:44
稲川淳二 @Junji_Inagawa

車を走らせながら、 「家はどっちの方面です?」

2018-07-23 22:31:07
稲川淳二 @Junji_Inagawa

と聞いたら、今自分が来たほうだ、 と言うので、車の向きを変えて走って行ったんです。

2018-07-23 22:31:30
稲川淳二 @Junji_Inagawa

真っ暗な県道からそれて、田舎道に入った。

2018-07-23 22:31:55
稲川淳二 @Junji_Inagawa

ガタガタしながら走ると、家は、 ポツン、ポツン、とあるんですが、どの家も明かりがついていない。

2018-07-23 22:32:19
稲川淳二 @Junji_Inagawa

そのまま細い夜道を、ガタガタ、走っていると、お婆さんが、 「ここでいいよ」と言うんです。

2018-07-23 22:32:45
稲川淳二 @Junji_Inagawa

「こんな所でいいんですか?」 と聞くと、とお婆さんは指差して、

2018-07-23 22:33:17
稲川淳二 @Junji_Inagawa

「そこの家だよ」 見ると、斜め前に古い農家が一軒、明かりもなく建っていたんです。

2018-07-23 22:33:47
稲川淳二 @Junji_Inagawa

お婆さんは軽トラックから降りると、 ペコン、と頭を下げて、そのままトコトコと家のほうへ歩いていく。

2018-07-23 22:34:15
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