ライスのアニメ感想:#62 出崎統監督 劇場用アニメ4本

2011年3月17日に死去された出崎統監督追悼で、過去に監督した劇場用アニメ4本の感想です。 内訳は 『コブラ』 『ブラックジャック』 『AIR』 続きを読む
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テリー・ライス @terry_rice88

恐ろしいのは原作ものでありながら、オリジナルストーリーで、かつ原作らしさを感じられると言うストーリーの妙じゃないかなあと。出崎監督がBJを自分の血肉としており、なおかつBJを手塚キャラであることから外そうとしていないのがよく分かります。

2011-04-20 02:20:54
テリー・ライス @terry_rice88

とはいっても、本作はOVA同様にハードボイルド色の強い作品である事は変わりなく、ハードかつ重厚な物語になっているのは間違いないでしょう。BJはハードボイルドヒーローと医者という二面性で語られるキャラクターですが、出崎監督はこの二面性を先鋭化させることで作品にメリハリを付けた。

2011-04-20 02:23:32
テリー・ライス @terry_rice88

その結果が本作の中心人物ジョー・キャロル・ブレーンとの一連の会話であり、ラストシーンのBJの菩薩のような笑顔だったんじゃないのかなあと。

2011-04-20 02:29:38
テリー・ライス @terry_rice88

ジョーは一貫して、現代医療の悲劇的な存在として扱われていて、残酷かつ悲しい存在として描かれており、最後はお抱えの製薬会社から排除されてしまう。彼女自体が現代医療の警鐘であり、人間の業を描いた悲しき悪役でその佇まいは特筆するものがありました。

2011-04-20 02:39:37
テリー・ライス @terry_rice88

ブレーン製薬、MSJ(Medicai Soldiers for Justice:戦う医師団)など、作中に取り巻く環境は薬害やバイオテロやテロそのもの、はたまた環境汚染まで話が広がる。

2011-04-20 02:43:29
テリー・ライス @terry_rice88

けれど本作におけるBJはあくまで中立の立場。どちらかに染まるわけではなく、ただ人命を救う、それだけが彼にできることである。だからこそのラストシーンの笑みが出てくる。ダークヒーローである以上に命を救う医師であるということが滲み出てくる終わり方だったように思いました。

2011-04-20 02:48:33
テリー・ライス @terry_rice88

ここらへんの緩急の付け方は監督ならではのものでしょうけども、それは原作の二面性があってこそで、先ほどのコブラの感想と同じく、原作を上手く膨らませています。違うのは原作に無いBJを作り上げたと言うこと。それが新たな一面を垣間見せるようなつくりになっている事だと。

2011-04-20 02:54:14
テリー・ライス @terry_rice88

本質においては原作のBJも本作のBJもなんら変わりない。ただ描く人が違うだけで、どちらも本物のBJだと思わせる所がすごいなと。書き手によっては魅力が損なわれたり、全然違ってしまう事も多々ありますが、それがない。新たな原作を読めたと言う気分になれるだけで意味のある一本だと思います。

2011-04-20 03:01:37
テリー・ライス @terry_rice88

劇場版CLANNAD -クラナド-(2007年作品) AIRに続くKey原作ゲーム第二弾。出崎監督が最後に手がけた劇場用アニメです。こちらも筆者原作未プレイです。コンセプトもAIRとおなじく「もうひとつのCLANNAD」という触れ込み。

2011-04-20 03:05:20
テリー・ライス @terry_rice88

こちらもwikipediaを見るとやはり大幅改変が行われた上に構成された作品。さらにAIRより膨大なシナリオらしく、登場人物もある程度絞った作りにである事は否めません。

2011-04-20 03:07:19
テリー・ライス @terry_rice88

が、感想を書く前に、http://d.hatena.ne.jp/mattune/20110418←の記事を読んでいただきたく思います。特に一番上の「おそらく」という記事を。

2011-04-20 03:12:34
テリー・ライス @terry_rice88

件の記事の見方で観ると、なんとなく色々想起させられる場面があったりします、例えば智代の生徒会選挙の演説なんかは「フランス革命時の民衆」を思い浮かべますし、春原の退部時の回想には「クロスカウンター」が出てくる。そうすると渚を中心に集まった時の面々はガンバたちなのかもしれません。

2011-04-20 03:21:10
テリー・ライス @terry_rice88

そう考えると本作における出崎監督の感情移入先が渚であるということもなんとなく理解が出来る。渚=出崎監督がともに歩んだアニメと思うと、そんな節が感じられるかなあ。

2011-04-20 03:25:42
テリー・ライス @terry_rice88

AIRでは旅人である国崎がいたけれど、CLANNADにおいては旅というフレーズが出てこない。そうすると監督的には何を描くべきのかと言うことに繋がって言ったんじゃないのかなあと、それが渚の演劇部設立エピソードと重なっていく。

2011-04-20 03:29:02
テリー・ライス @terry_rice88

本作のクライマックスは明らかに渚の一人芝居の舞台なんでしょう。朋也が作中で同じ夢の中で待っていた、渚の明るさにみんな集まってきたと言っていたけれど、やはりアニメという仕事に大人数で集まる仲間と言うのを想起させられます。

2011-04-20 03:36:07
テリー・ライス @terry_rice88

渚が「心の中にシナリオがあります」というのも監督自身の、または戦後のアニメの成熟を語った言葉なのかもしれないと思うと、重いものを感じますね。原作を知ってる人は渚がその後、どうなるか知ってるわけですし。

2011-04-20 03:40:34
テリー・ライス @terry_rice88

この作品も過去と現在が交錯して、現在で物語が閉じるわけですが、作中の現在というのが、後から考えれば考えるほど、監督の亡くなった現在と符合してくるんじゃないのかなあと。一度、無くなる、なんてことを思ったのかどうかは分かりませんが何かを予見してたのかもしれません。

2011-04-20 03:44:21
テリー・ライス @terry_rice88

けれど、作中には「生まれ変わり」や「再生」もちゃんと描かれていて、それが朋也と渚の子である汐。本作は希望を感じられる終わり方になっています。これは想像に過ぎませんが、「残された者」のことが監督の頭にふとよぎったのかもしれません。

2011-04-20 03:48:13
テリー・ライス @terry_rice88

塞ぎこんでいても、仕方ない。これから「育てる」のはオレじゃない、お前らだなんてことを。それに仲間だっているじゃないか、っていう。って思うと遺言だったのかもしれない。いくらなんでも考えすぎかな。まあ、本作以降も仕事をしてるわけですし、邪推は邪推でしかない。

2011-04-20 03:53:51
テリー・ライス @terry_rice88

AIRもCLANNADも出崎監督はアニメを作るに当たって、作品の芯だけで構成しようとした節は感じられて、どちらもその点においては上手く出来ている作品なんだろうけど、作品を上手く調理するまでには至ってないのかなあと言う印象。

2011-04-20 03:57:52
テリー・ライス @terry_rice88

もしくは作品の芯が一本だけだと弱すぎて、大胆に改変せざるをおえなかった。結果、出崎監督の本音が出たのかなあとも思えなくないかもしれません。それがシナリオがAIR以上に複雑なCLANNADで顕著に出たのかもしれません

2011-04-20 04:02:55
テリー・ライス @terry_rice88

とはいっても、本当の所はどうか分かりません。そういった暗喩的な見方も出来なくないと言った所でどうか一つ。ただCLANNADも構成が上手く効いていて、ちょっと展開が早い(それはAIRも)けど、纏まった終わり方であった事は確かです。

2011-04-20 04:05:45
テリー・ライス @terry_rice88

作品の評価と言う点でも個人的には先ほどのAIRよりかはCLANNADの方を推したいかと思います。AIRもCLANNADも一長一短はあれど、思ったより悪くないと言うのが正直な所であります。

2011-04-20 04:09:39
テリー・ライス @terry_rice88

以上、4作品の感想でした。いかがだったでしょうか。チョイスに関しては近所のレンタルショップにあったものを借りてきただけなのでご了承を。あれば「劇場版エースをねらえ」とかも感想書きたかったですけども、なかったので残念です。

2011-04-20 04:11:56
テリー・ライス @terry_rice88

最後に。出崎統監督へ、最大限の賛辞を持って供養とさせていただきます。たくさんの作品をどうもありがとうございました。見たことない作品も、まだまだたくさんありますが、かみ締めるように見ていけたらと思います。本当にありがとうございました。

2011-04-20 04:14:56