【書き起こし】過去に真正面から向き合ってこなかったことで、いま起きていること▼2018年8月14日(火)放送分(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」) #ss954

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橋本 至 @kid75

日本は、いろいろな場面ではそうしたものにコミットを示すような宣言を行うわけですよ。資金援助や人道支援をする、そうしたことも重要です。でも同時に、どこにやろうとしてどこにやらないのか、というのもだいぶ分かってきた。

2018-08-19 19:32:38
橋本 至 @kid75

要は、難民へのさまざまな支援をします、難民を受け入れている国に対してお金を出しますとは言うけれども、この国が難民を受け入れることはしません、という態度は見えてきているわけです。同時に、貧困や差別の問題について、海外に対してさまざまな支援をしていくということはあったとしても、

2018-08-19 19:32:39
橋本 至 @kid75

差別をしているような国に対して声明を出すということは、外交問題に発展するのは嫌だということでとても消極的だ、ということもわかっているわけですね。そしてこの戦時性暴力の問題も、日本が自ら積極的に行っているというわけではないので、海外にさまざまな差別実態があったとしても、

2018-08-19 19:32:39
橋本 至 @kid75

そうしたことに宣言を行うこともできない。例えば同性愛者に対する死刑を撤廃しろという国連の合意をつくろうとしても、日本はそれに対して賛成することができないというような、いろいろな状況が積み重なっているのです。

2018-08-19 19:32:40
橋本 至 @kid75

つまり、過去と向き合わないというだけではなくて、今の人権状況の改善策に対しても乗れない状況をつくってしまう。それがセットになってしまうんですよ。かつての大日本帝国が行ったことについて、現在の日本政府が事実認定したうえでできることを最大限やる、というような姿勢だと、

2018-08-19 19:35:05
橋本 至 @kid75

ある種の連続性というものに対して捉え方が変わっていくわけですね。責任主体としては連続性があるが、贖罪を担うような主体、その罪を担う主体、恨みの対象であるということについては、変化が訪れる可能性があるわけです。これはナチスドイツと今のドイツ政府の関係と同じです。

2018-08-19 19:35:06
橋本 至 @kid75

しかしながら、かつての戦争責任並びに戦時性暴力などを否定するというのは、現在進行形の人権問題として捉えるということになります。そういう状況は今でも継続中なので、少なくとも今認定されている事実は共有したうえで……といっても、市販の書籍を読むと玉石混淆で、

2018-08-19 19:35:06
橋本 至 @kid75

否定論も含めてズラッと書店に並んでいるので、積極的に勉強しようと思って間違った方向に行くこともあるのです。部分的にいろいろなものをカットアップすれば、ひとつの歴史観を作り上げることが簡単にできてしまう。良かれ悪しかれね。

2018-08-19 19:35:06
橋本 至 @kid75

でも、資料を読み解くということを丹念に行っていくと、ある程度の事実認定は避けようがないという状況になるわけです。そうした前提を共有していくためには、やはりメディアとか教育の役割はとても重要だということになるのですが、

2018-08-19 19:38:21
橋本 至 @kid75

そうしたところに非常に委縮しているような状況がこの間ずっと続いている。教科書で取り上げにくいとか、メディアで取り上げると批判が怖いとか。でも批判うんぬんではなくて、事実は事実として具体的な資料を実際に自分で読めば、ひとつの揺るぎない資料がそこに存在しているわけなので、

2018-08-19 19:38:21
橋本 至 @kid75

ある程度自分の頭で考えて結論を出すということができるはずなんですけどね。ある程度の訓練を経れば。既に20年以上こうした問題に対して消極的だった日本、という実績が与える外国への影響も含めて、さまざまなメッセージをこの国から発信するのが大変難しい状況になっているというのが

2018-08-19 19:38:21
橋本 至 @kid75

残念ではあるのですが、とはいえさまざまな歴史の実相・実態というものを共有していくことが、いろいろな議論の蓄積や、資料の蓄積などを伝えていくことで可能にはなってきますので、そうしたことをこれからも続けていきたいと思いますね。(了)

2018-08-19 19:38:22