ぼくっこ

よつげ @Eight_os

６７５ 次の日。 新しい学校生活の始まり。 馴染めるか不安だったけど、みんないい人だった。 わりとすぐ隣の席の子とかと仲良くなる。 うん、言われた通り。 僕大丈夫だ。 そう思っていた。 そして、下校時刻になってさあ帰ろうと昇降口を出た時。 …校門辺り、騒がしいな。 #エイトで妄想

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６７６ そっと校門に近づいて、首を伸ばすように覗き込む。 (え━━━━━) そこに居たのは。 今一番、会っちゃいけない気がする人。 何で、何でいるの。 「真白！」 その大好きな声で名前を呼ばれる。 それだけで泣きそうになる。 「横山先輩…？」 #エイトで妄想 pic.twitter.com/s21PK0V8sQ

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６７７ 横山先輩は居づらそうに辺りを見回す。 そりゃあ… これだけ女子生徒いちゃあね… すると横山先輩は敷地内に入ってきて。 「ちょお、こっち」 「！？」 僕の手を取って すぐまた校門を出た。 「うそ！？」 「あの子横山先輩とどういう関係？」 「やばー」 #エイトで妄想

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６７８ 女子生徒たちの声が遠くなる。 えっ、あの、あのあのあの…！？ 何が起きているの？ っていうか…体育祭を思い出す…思い出すけど 「よよよ、横山先輩速い！」 「あっ、ごめん…」 いつの間にか随分な距離を走って 駅近くまで僕らは来ていた。 「いえ…平気ですけど…」 #エイトで妄想

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６７９ 横山先輩まだ春休みだったんだ… そっか、始業式明日なんだっけ。 って、そうじゃなくて。 「…何か、用でした？」 そっと横山先輩を見上げて聞いてみる。 「…あー」 少し顔を背ける横山先輩。 「あの、返事…」 「え？」 「や、修了式の時の…お前言い逃げしたやつ」 #エイトで妄想

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６８０ 「え、あ、ああ！」 なんだ、そっかそっか。 気使わせちゃったか。 あんな中途半端に去って行っちゃって。 また迷惑かけたなぁ… そう思いつつ僕は答える。 「いや、返事しなくて大丈夫ですよ！ あれは単に僕が言いたかっただけで」 「いやあの、」 #エイトで妄想

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６８１ 言いにくそうに遮られて、ん？と横山先輩を見ると 「…返事したかったから、来た」 そう真っ直ぐな目で言われて。 ほらー、もう… 「また期待しちゃうじゃないですか…」 「え？」 「いや…違うんです、僕が勝手に期待してるだけなんです分かってるんです」 「は？」 #エイトで妄想

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６８２ 「いやもう、気にしないでいいですから どうぞこの場でフってください…」 「いやいや…」 自己嫌悪。 なりたいようになかなかなれない自分が、ずっと嫌だった。 もっと要領よくなりたかった。 ちゃんと男を演じきって ずっと横山先輩の傍にいられれば、それで良かった。 #エイトで妄想

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６８３ 「…ふ」 「…何笑ってるんですか」 「…や、可愛いなって」 「なっ………」 だから、そういうこと言われたら… 「あんな真白？」 大好きな声が鼓膜を揺らす。 「自惚れかもしれんけど 俺は、真白のええとこも悪いとこも、多分一番知っとる。」 #エイトで妄想

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６８４ 横山先輩の目が優しくて。 僕がその中に写ってる。 漆黒の綺麗な瞳に。 「俺はな？ これでもちゃんと覚悟決めてきたから」 「覚悟？」 「…ちゃんとする覚悟」 ちゃんとするって何だよ。 「真白」 何なんだよ。 「…好きや」 ………うう。 「何で泣くん笑」 #エイトで妄想 pic.twitter.com/yqlK6AB1gt

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６８５ そう。 涙が止まりません。さっきから。 「信じられない〜」 「えぇ笑」 「…嬉しい」 「…うん笑」 「…好き」 「知ってる」 「大好きです…」 「俺も」 何だろう、夢かな。 こんな幸せ あっていいのかな。 「あと…忘れもん」 「え…？」 #エイトで妄想

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６８６ 横山先輩が、ジーンズのポケットから取り出したのは 学生服のボタン。 え、まさか、第二… 「…来年の卒業式で渡したかってんけど お前引っ越すとか言うし」 「ごめんなさい」 「…お前にしかあげたないから、今やる」 何だその贅沢。 #エイトで妄想

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６８７ 「横山先輩がかっこいい…」 「おい笑」 掌に乗せられた第二ボタン。 それに見とれていたら 「…真白」 「は、はい？」 慌てて顔を上げた。 瞬間 …唇に、初めての感触。 「…ほわ…」 「何やねんほわって笑」 大好きな人と 両想いになりました。 「…何でしょう笑」 #エイトで妄想 pic.twitter.com/AWZovrzNXs

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６８８ あれから月日は流れ。 僕が3年生になった時、驚いたことに絵美里ちゃんが高校に入学してきた。 亮くんのこと…どう思ってるのか、聞きづらくて聞けなかったけど。 丸山くんは、大学卒業と同時に、瑞穂姉と付き合い始めた。 「真白氏ー 姉様強者すぎるわ…」 #エイトで妄想

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６８９ そしてそれからは何故か瑞穂姉を『姉様』と呼ぶ彼。 「…丸山くんが女心分かってないのが悪い」 「なっ、 女子力０のくせに女語んなや」 「はぁ！？ 家事は丸山くんより出来るし！」 「せやなぁ、最近は横山くんのおかげで女らしくなってきたしなぁ」 「…っ」 #エイトで妄想

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６９０ 大倉くんと丸山くんとは今もよく飲みに行く。 「おっぱいも揉まれてるせいか大きなってきたし？」 「触らせないよ」 「ちっ…」 そんな話をしていると ｳﾞｰｯ 携帯がバイブ音を立てる。 「あ、そろそろ迎え来たみたいだから行くね」 「横山くん嫉妬深いなぁ、早すぎ」 #エイトで妄想 pic.twitter.com/YhLpMG7Vzc

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６９１ 馬鹿野郎。 愛されてるなんて幸せじゃないか僕は。← 店を出るとすぐそこに車が止まっていた。 ドアをコンコンとノックしてから開ける。 「お待たせです …裕さん？」 「…その呼び方未だに照れるわ笑」 そう。 僕は横山先輩をこう呼ぶようになっていた。 #エイトで妄想

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６９２ 家に帰ると、裕さんが珍しく「なぁなぁ」と上機嫌。 「これ見て」 見せてきたのは携帯の画面 LINEのトーク。そこには 女の名前。 「…浮気？」 「ちゃうわ！ お前も知ってるやろ！遥花ちゃん！」 「…あぁ！」 絵美里ちゃん関連で知り合った 僕以上にアホで真っ直ぐな子。 #エイトで妄想

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６９３ そしてその画面には 「すばる…って、渋谷先輩？」 「そ、好きなんやって」 「へーー…」 顔がにやけてしまう。 渋谷先輩と遥花ちゃん… 意外と渋谷先輩の方が振り回されたりして(※大当たりです)。 「どうやって知り合ったんだろ」 「何か、電車で助けて貰ったって」 #エイトで妄想

よつげ @Eight_os

６９４ なんだそれ。 痴漢でもあったのか…？← あ、でも。 「助けて貰って好きになる気持ち、何かわかるかも」 「は？」 「あ、浮気とかじゃなくて ほら僕、裕さんと初めて会った時助けて貰ったでしょ？」 「あ、せやな 先輩に絡まれてたんよな」 お、 覚えてくれてたんだ。 #エイトで妄想

よつげ @Eight_os

６９５ …嬉しいなぁ。 「多分あの時から裕さんのこと好きなんですよ… 私」 ふざけて言ってみる。 やー慣れない慣れない。 「おっ…」 おー照れた照れた。 あの頃『横山先輩』だったこの人は、ぼくっこの原理が理解出来てなかったんだった。 懐かしいなぁ。 #エイトで妄想

よつげ @Eight_os

６９６ 「…お前それ言うたらな」 「ん？」 「俺かてあの時から気になってたし その…助けた時から」 思わぬ不意打ちを食らって。 一瞬の後、顔が赤くなるのを感じた。 それは裕さんも一緒だったらしい。 「…あー！腹減ったわ！何かない！？」 「あ！アイスあったはず！」 #エイトで妄想

よつげ @Eight_os

６９７ 何となくお互い不自然に顔を背け 僕はアイスを取りに 裕さんはソファに腰掛ける。 お互い照れ屋なもんでね…w 「真白」 「はーい、何ー？」 「…結婚する？」 …ﾎﾞﾄｯ アイス落としてしまった(中身は無事)。 「えっ、けっけっ…」 「…結婚」 「い、いいの…？」 #エイトで妄想

よつげ @Eight_os

６９８ 「…はよアイス頂戴、暑いわ」 …それ照れたせいでは。 僕は裕さんの隣にアイス片手に腰掛けた。 「…します」 小さな声で答える。 「…うん」 裕さんが答えるその耳元は例のごとく赤く 口角はほんのり上がっていた。 …僕らが紡ぐお話は ここで一旦幕引きです。 #エイトで妄想

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６９９ 「…あーんしてあげよっか？」 「恥ずいわ！！」 『僕』という一人称が繋ぐ物語。 それはちょっぴり切なく アイスのように甘い 恋のお話。 #エイトで妄想 pic.twitter.com/m6HrAnRVpJ

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